#~029 番外編『マインside』
これまで起きたことのマイン視点によるおさらいです。
ソウル様とマインは身分紋章を手に入れるため、宿場町カルデアでギルドに所属する事にしました。
そこで見つけたのがハイエルフの【イルナ】さん(略称)が経営する魔術師ギルド『エレクトロ・ブレイブ』でした。ギルドでは魔術師を良く思っていないならず者達が横柄な態度で絡んできましたが……そこは流石のソウル様。
いえ、ソウル様をならず者などと比較するなどあってはならないことーーハイエルフのギルドマスター以上のステータスを見せたソウル様にならず者達は当然屈伏し、退散しました。ソウル様の前には全ての存在は無力であり、ソウル様以外の男は塵以下の価値すら無いという証明になりました。
そして、無事にソウル様とマインは身分紋章を手にして『エレクトロ・ブレイブ』の一員となりました。
次いでソウル様とマインは【ネザー要塞】で手にした無数の財宝を換金し活動資金を得るために大手商会に足を踏み入れます。
道中ーーきらびやかな衣服に身を包んだ女性にマインは目を付けられてしまいます。確かに……ほんの少しではありますがその衣服に目をとられ羨んだ気持ちがなかったといえば嘘になります……ですが、それがソウル様のお手を煩わせる結果になってしまった事に申し訳ない気持ちで一杯でした。
しかし、お優しいソウル様は意に介さず商会にて得た資金をマインなどの衣服のために費やしてくれました。服を買って贈ってもらうなど初めての経験で嬉しさでソウル様のお顔を見ることができません。マインなどにあんなにも綺麗な衣服を沢山……改めてソウル様の優しさに触れ、更に忠誠を誓う(既にこれ以上ない程に誓ってはいますが)ようになります。
ですが、大手商会の頭取さん【ワヲン・クサナギ】さんやイルナさん、ルルリラさん(要注意)などソウル様にはマインとは比べものにならない程に綺麗な女性達が当然のように群がるのは由々しき事態と言わざるをえません。もっと、今以上にアピールしなければっ。
活動資金を得たソウル様とマインは宿場町周辺の狩り場の一つである『レッドストン鉱山』に踏み入ります。そこでソウル様の【箱庭】に課金というものをして能力の更なる強化・進化をするためです。
「大丈夫か? マイン、怖くないか?」
お優しいソウル様は鉱山の通路にてお声をお掛けくださいました。マインはソウル様のお手を煩わせないよう努めるつもりでした……が、卑しくも姑息に今の年齢しかできない振舞いを思いついてしまい実行してしまいました。
「ーーいえ、やはり怖いです。よろしければ手……手を繋いで頂いて宜しいでしょうか?」
(申し訳ありませんソウル様……ただ手を繋ぎたかっただけなのです。卑しくてごめんなさい……それにソウル様とラインさんを混同して『ラインさまん』と噛んでしまってごめんなさい)
廃坑と化した鉱山の奥でソウル様は新たな能力を次々と会得しました。もうこれでソウル様は完全無欠ーー万能の神になったと言っても過言ではありません。
ソウル様に魔術で攻撃しろとソウル様に言われた時は心臓を掻きむしりたい程の葛藤に悩まされましたが……やはりソウル様は神様。魔術を無効化し自身の【箱】とする能力にて更に飛躍を遂げられました。
そして、魔獣をいとも容易く葬っていくソウル様とマインの前に謎の死体と怯え逃げる女性が姿を現します。事前にイルナさんからこの近辺の狩り場で【新米ランクの冒険者の行方不明になる率が増加している】と聞かされていたその問題が形となりソウル様に襲いかかってきたのです。
怯え逃げていた女性はリゼと名乗り、ソウル様に同行する事になります。聞けば廃坑奥で男性に襲われたということ。
結果を先に述べてしまえば……それは全て創作話であり、この炭鉱にて冒険者達を研究の実験台として殺め、ソウル様とマインもその毒牙にかけようとしたリゼもとい【エリーゼ】の狡猾な罠でした。マインは悔しくも騙され、その術中にはまってしまうところでした。
しかし、神であるソウル様は初めからそれらを見抜いていました。エリーゼの罠をなんなく躱してマイン達は溶岩地帯にてエリーゼの秘密兵器『ゴーレム』との決戦に挑みます。
ですが、あの手この手で立ち回るゴーレムも全てソウル様の掌の上の傀儡同然。ソウル様の【箱庭】の前に呆気なく破壊されました。
その後、捕らえたエリーゼがソウル様の怨敵【白銀の羽根】幹部【ミランダ】の部下である事が判明します。エリーゼは取引の結果、今持っている全ての情報を吐露します。
新米狩りはミランダと繋がりのある政務官の支援の元で行っていた事……【白銀の羽根】が一年間に辿った足跡。マインにとっても仇敵であるそのギルド連中はあろう事か自らの失態をソウル様に被せ非難していたようでそれを聞いた時は怒りに呑まれてソウル様にお恥ずかしい姿を見せてしまいました。
やはりマインはまだまだ未熟です。もっとソウル様のお役に立てるよう精進しなくてはなりません。
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「………ふぅ」
マインはギルドの部屋で一人、これまでの事を思いだし溜め息をつきます。その原因の割合の90%はソウル様の輝かしいこれまでの軌跡に馳せる想い……炭鉱では思わず聞こえる位の声量で『好き』と囁いてしまいました。反省しなければなりません、ようやく怨敵の尻尾を掴んだソウル様に余計な問題を抱えさせるわけにはいきません。
もう10%は……これまでほとんどお役に立てていないマインのこと。ゴーレム戦では加護の維持に手一杯で手出しすらできませんでした。
(このままではいけない、マインにも『武器』がいる……ソウル様を援護できる精度のなにかが)
すると、ノックと共に部屋の扉が開かれます。マインは入室してきたその方に相談する事にします。実はそれ以外にもその方には御用立てがあるのですが……それはソウル様に関わるお話なのでマインは語りません。全てはソウル様の御心のままにーー
「イルナさん、ご相談があります」




