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#025 課金をしよう ~⑧溶岩地帯

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〈最奥採掘場〉→→→〈???〉


 ソウル達が降り立たされた空間は、元いた場所よりも更に空気に紅みを増していた。

 それも当然だった、今度は鉱石の紅さではない──熱を持った【溶岩地帯】だったのだから。


「マイン、大丈夫か?」

「は……はい、ラインさんのおかげです……ラインさんがいなければ溶岩に呑まれていました……」


 抱き留めた腕の中でマインの心臓の高鳴りがソウルにも伝わってくる。高さにして数百メートル降下したソウル達はなんとか無傷でその場に降り立っていた。


(似たような経験があって助かったな……ネザー要塞にもあった溶岩地帯……)


 ネザー要塞に張り巡らされた罠には当然、落とし穴も存在した。その時は勿論……為す術もなく溶岩に呑まれ死亡していたソウルは【箱庭】により対策を講じざるを得なかった。

 『鉤爪』と『縄』、それらを【合成(シンザシス)】で自作し合成させた『鉤爪ロープ』をアイテムボックスに収納していたのだ。彼は爆発音を聞いて咄嗟(とっさ)にそれを使い急な落下を防いでいた。

 その後は崩れていない地層を連続で【箱庭(クラフト)】してゆっくりと下に降りてきたのだ。


「ソウ……ラインさん、魔術防護を施します。失礼します」

「あぁ、頼む」


【ルフト・ミア・ムノ・リアス(加護纏う氷)】

 

 マインの氷魔術はソウルの全身──装備品ごと肌から薄皮一枚隔てた空気を覆う。熱を遮断する加護魔術である、時間制限はあるがこれで溶岩地帯でもある程度活動が可能になる。


「エリーゼさん……あの女性は……マイン達を巻き添えにしようとして溶岩に呑まれてしまったのでしょうか?」

「どうかな、道連れ覚悟でやったようには見えなかったが……ミランダを崇拝していたようだからその可能性もなくはない。とにかくせっかく掴んだ手がかりをこちらも逃すわけにはいかない。注意しながら探索しよう」


 溶岩地帯ではあったものの、そこには人が歩ける地面は広々と存在していた。朽ち果ててはいるがトロッコの走るレールも敷かれているのは……かつては採掘場だった名残であろうか。

 蜘蛛の巣のような網目状になっている通路のすぐ横十数メートル下にはマグマが煮え(たぎ)りソウル達の足下へと溢れんばかりだった。だが道幅は広いため、よほど注意を散漫としていない限り足を踏み外して落下する恐れはないだろうと周囲を見渡す。

 ソウル達のいる地点からかなり遠目には唯一つの出口らしき洞穴が見えた。


「マイン、加護の持続はおおよそ10~20分だったか?」

「はい、ですがイルナさんからマナの霊薬を頂きましたので……それを飲めばもう一度いけます」

「なら充分だな」


 活動限界は最長40分──エリーゼが生きているにせよ死んだにせよ……焼かれずに捜索する時間は充分にありそうだとソウルは歩を進める。仮にもう死んでいた場合……何処かで新たにミランダへ繋がる手がかりを見つけなければならない──と、考えていると何かが落ちている事に気づいた。


「ラインさん、あれは何でしょうか……?」

「……剣、だな。それだけじゃない、通路のあちこちに色々と武器やら道具やらが落ちているな」


 通路の至るところに物が点在している。よく見るとその周囲の地面だけ微妙に土の色が違うことにも──嫌な予感を抱いたソウルは【土】の魔術を発動させる。


【ジ・アーツ・オブ・ヴルド(感知する大地)】


 この魔術は大地を伝い、数メートル先にいる人や魔獣の位置を教えてくれるもので……彼が【白銀の羽根】時代に重宝していた斥候魔術の一つだ。


「マイン。ストップだ、この先あちこちに『地雷』が仕掛けられてやがる」

「……! 地雷っ……ということは……」


 聡明なマインはそれによりあちこちに落ちていた物の意味を悟った。この先に待ち受ける障害よりも、その意味に想いを馳せて哀しみを見せる。

 落ちていた道具や武器はこれまでに行方不明となっていた冒険者達のものだった。エリーゼに騙され、実験台と化し、この溶岩地帯へと追いやられ……この溶岩地帯で尽き果てたものだった。亡骸(なきがら)の処理もここであれば容易に行えただろう。


 ソウルは通路出口を見る。魔総導力の精度が大幅に増え、進化した斥候魔術が示したこの先にいる『敵』を。

 両者の目的は合致し、『敵』もゆっくりと二人へと向かってきていた。


「あははっ、よく気づいたわね! ま、それに引っ掛かって死なれても興冷めだったけどね……あんたはもうあたしがこの手で殺すって決めたから!」

「なはは、なるほど。やけに通路が広いと思ったが『それ』の通り(みち)だったわけだ。さながらここはそいつの可動実験場か……それに新米達は殺られたわけだ」


 『それ』は大きな足音と地響きを伴い、ゆっくりと姿を見せた。巨大な『それ』の上にエリーゼは乗っている、どうやったか知らないが五体満足な様子で高笑いしていた。


「あんた達も今までの奴等と同じ目に合わせて遊んであげる! あたしの実験を拒否するのは御姉様を拒否するのと同じ! それは絶対に許さないわ! だったら弱者(ゴミ)はゴミらしく無様に逃げ回りながら捨てられなさい!」

「……なはは、エリーゼ。確かにお前さんはミランダの部下らしい、言う事があいつそのまんまだ……なはは……」


 通路には無数の地雷、道を外せば溶岩、道を塞ぐは巨大な敵、活動時間は40分──。

 

「あはははっ! あんた達の逃げ場はどこにも無いわ! さぁ行きなさい【ゴーレム】!!」

「──なははははっ! こっちの台詞だ! てめぇはもう逃がさねぇ!」


 そんな状況でも、ソウルは嬉しそうに笑った。


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VS【人型兵器ゴーレム】★★★★★★★☆☆☆

・固い岩石や土、鉱物により形成され意思を持つ事もある魔獣。別名【泥人形】。全長10~15メートル、マナを多く内在しており独自の魔術を扱う者もいる

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