どうしてこうなった
どうしても今日中に出したかったから時間制限でめっちゃ短い…また今度追加する(予定)
なぜ僕はここにいるのだろうか。
あの夜僕は特に理由もなく街を歩いていたはずだったのだが、信号待ちをしているときに車がこちらに向かってくるのが見えた。
逃げなくては本能的にそう思ったがそう思ったときにはもう遅く、車のライトで目が眩み、避けることができなかった。
そのとき僕は死んだ。
しかし今意思を持っている。体を動かすこともできる。しかし死んだからと言って幽霊になったわけではないようで、足が地面についていて触れたいと思ったものには触れることだってできる。それに生きている人誰もが僕のことが見えている。
しかし今僕は生前とは真逆の場所にいる。絢爛豪華な調度品に囲まれてた煌びやかな大きな部屋。その中でも一番高い場所に位置する3つの椅子 その真ん中の椅子に僕は今座っている。そしてこの部屋に負けないほど綺麗なドレスやタキシードを身に纏った人々に挨拶をされている。
事の発端は一週間ほど前、強い雨と風の吹く日だった。庭にあるバラの花が全て散ってしまったほどの強い風、窓を閉めていても聞こえるほど大きな雨音。遠くに落ちたであろう雷の音が轟いてきて、嵐の大きさを物語っている。遠くに聞こえた雷もだんだんと近づいてきて目の前が死に際の時のように目が眩むほど光った。そのとき僕は一度死んだということを思い出した。
そして今日、今世での僕『セシル』の6歳の誕生日だ。1つの国の王子として生まれた僕『セシル』 そのため今日は国内外の貴族や王家を招待しての誕生日パーティーが開かれている。
招待された人は僕に挨拶と誕生日プレゼントを持ってきてくれる。やはり6歳なだけあってプレゼントは中身が23歳の僕にとってはかなり幼稚なものばかりで、中身はぬいぐるみや絵本が多い。見た目的には問題ないが僕自身は少し抵抗がある。しかしこの世界ではそれが普通だ。僕は普通でいなければならない。 なぜなら、、、
前世の記憶を取り戻してすぐの頃、今までは明るく元気で活発な子だったが急に大人しく、静かな子へと変わってしまったことを心配した僕の母でありこの国の王妃『ルピア』が僕に話しかけてきた。転生者だと話していいものかと思い別のことを行って誤魔化そうとしたが母の目はごまかせないようで本当のことを言うしかなかった。転生者であること・前世の記憶を思い出した時のことを告げると目から涙をこぼした母。
「そう、ごめんなさい。すぐ気づかなくて、でもこれからはなんかあったら私に言って。この世界に来てこの王宮以外のことはまだ知らないでしょう?国のこと、このせかいのこと、おしえてあげるわ」
僕の目を見ながら力強く言った。 僕は謝る必要はないこと、この世界がどんな世界なのか、そしてなぜ泣いているのかを尋ねた。すると
「この世界に転生者がくることはたまにあるの、その度に戦争が起こっているわ。転生者は神からの使徒として送られてきたから、転生者には特別な力が授けられているの。 その力を巡って各国が戦争を起こす。それで亡くなった国は数え切れないほどあるわ。
貴方はこの国の王子。そして私の大切な息子。そんな人が戦争の原因になるなんて私には耐えられない、もし戦争が起こったら、この国の民が意味のない血を流すことになる。それに苦しむのは私達王族よ、もしそうなったら、そう考えてしまったから涙が出てきてしまったみたい ありがとうね、心配してくれて。」
この世界のこと、そしてなぜ泣いているのかを教えてくれた。それと同時に転生者であることを言うリスクまでも教えてくれたのだ。 この世界に生を受けて6年になるが母が泣いたところはその時しか見たことがない。
もう二度と母を泣かせないようにと僕は転生者であることを悟られないよう普通に生きることを決めた。だから、この国の“普通”を勉強してボロを出さないように、と1人でいる時以外は常に気を張った状態でいる。ただしそれを悟られないように。
100を超えるほどの人が挨拶をしにきたからだろうか、僕と同じぐらいの歳の女の子を連れたこの国で王家の次に偉いという候爵家の人が挨拶に来た。挨拶に来た誰よりも可憐で美しい少女。一目で僕の心は彼女に奪われてしまった。
「お久しぶりですセシル殿下。私は『ゴーシュ・ヴェルハルト』と申します。そしてこちらが」
「お初にお目にかかります 『リリアンヌ・ヴェルハルト』と申します。以後お見知り置きを。」
その後もヴェルハルト卿は話を続けていたようだったが僕はリリアンヌに見惚れていて右から左へと受け流していた。 ヴェルハルト殿から貰ったプレゼントを確認すると剣のホルダーだった。6歳になったばかりの子供にはいささか似合わないようなものだが 「殿下はこれから学園に入り剣を学ぶことがあるでしょうからその時につけていただけるようにと選ばせていただきました」とのことだ。
そう僕セシルは半月後から聖月王都学園月への入学が決まっているのだ。
そしてこの学園で彼女、リリアンヌと再会して‘婚約者’になることをこの時僕はまだ知らない。