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さぁ、旅立てない

実際半日ってそこそこの時間。

ツイッター➡︎飯倉九郎@E_cla_ss


「やっほー」

「どういう神経をしてれば、昨日の今日でそのテンションで私の前に現れられるんだ」


 昨日と同じ状態のまま、玉座に座るイヴィドギが呆れたようにぼやく。


「いや、よく考えた結果なんです」

「聞かせてみろ」

「僕はこれ以上魔人さんに迷惑を掛けたくない」

「うむ」

「そのためにはここから離れなければいけない」

「そうだな」

「でも怖い」

「知るか」

「まあそう言わずに。そのソーラスとかいう街? 国? に行くための方法論を一緒に考えてほしいんです」

「何故私がそんなことを」

「僕に立ち去ってほしいんでしょう? 悪い条件じゃないと思いますよ」

「どや顔でなに言ってるんだ貴様は。愚かか」

「その罵りははじめてで新鮮ですね」


 何を言っても暖簾に腕押し。

 イヴィドギは渋々といったように息を吐く。


「して、なにがわからない?」

「なにもかも。アイハブノーアイディアです」

(ひね)り出せ」

「優しくない……例えば、どうやってソーラスまで行けばいいのか」

「現実的なのは馬だな」

「どこにいるんですか?」

「お前はここに馬がいるように見えるのか」

「嫌味ったらしい外国人みたいな返しをしますね」

「馬がないなら走れ。何のための足だ」

「漫画を立ち読みするための足です」

「意味はわからんが、(ろく)でもない理由なのはわかった」

「じゃあ仮に走ったとして、どれくらいかかるんですか?」

「休憩を挟みつつ走り続けたとして、丸一日だな。愚かな貴様であれば道を間違えるとして、倍は掛かる」

「愚かであることは受け入れますがせめてもの抵抗として一日半としましょう」

「なんだそのささやかな抵抗は」

「で、その一日半。僕が飲まず食わずで走れるとでも?」

「私に問うな。腹立たしい」

「走れません」

「走れ」

「魔人の尺度で適当なこと言わないでください。なにか、食べ物と飲み物はないんですか?」

「あったとしてどうして貴重な食料を貴様に譲らねばならん」

「どうせ食べないでしょ? 死にたいんですし」

「私に必要が無くても、貴様に無償でやる理由にはならん」

「確かに。では交換条件はどうでしょう。食料を貰えれば、僕が魔人さんの前から立ち去ります」

「悪くない取引だ」


イヴィドギは少し考えるように、肘掛をその白い指で叩く。


「残念ながら、食糧はない」

「ないんかい。下手に出て損しました」

「しかし当てはある」

「ご指導ご鞭撻(べんたつ)の程、どうぞよろしくお願い致します」

「貴様に矜持(きょうじ)はないのか。男の癖に」

「男がなんだって言うんですか!? 関係ないでしょう!? 僕は長いものには巻かれる人間なんですよ!」

「清々しいまでの(くず)だな……食料が必要なら作物を育てればいい。種はたくさんあるし、この国は作物がよく育つ土壌がある」

「それ何ヶ月スパンの計画ですか」

「3日で育つ野菜がある。満足感は少ないが、一時しのぎであれば充分だろう」

「もやしかな。肉はないんですか肉は」

「家畜がいるように見えるか?」

「いたような形跡はありました。しかしことごとくその姿は見えず」

「食いたければその辺りの獣でも捕まえればよい」

「どうやって?」

「その短剣は何のためにあるのだ」


言われて足元の碧色(へきしょく)の短剣に気がつく。

先日、宿代にと置いていったままそこに置かれていたのを見るに、あの時のままなのだろう。


「返してもらっていいんですか?」

「元々受け取ったつもりもない」

「綺麗な宝石がついているのに」


 そう言いつつ、七海は短剣を拾い上げる。


「食料はなんとかなりそうですけど、飲料水はどうすればいいんですか? 昨日は()でるからその辺の(つぼ)に入ってたのを使いましたけど」

「貴様……おそらくそれは(つば)吐き壺だぞ」

「なんですかそれ?」

「唾や口を洗った水なんかをためておく壺だ」

「おえっ」

「冗談だ。そんな壺はない」

「殺しますよ」

「是非頼む」

「冗談ですよ。それで、綺麗な飲み水の場所を教えていただけないでしょうか」


 七海が丁寧に頭を下げて言うと、イヴィドギは少し考えるようにした後、


「貴様の世界では飲み水が空から降ってくるのか?」


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