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-翼妖異の疵釁の翼-

作者: -Sare-
掲載日:2017/01/06

 どうも今日は。うーん、年末年始って本当忙しいですよね。御蔭で余りと言うか全く小説が進んでいません。

 むむ・・・。世界の神話や、幻獣図鑑、目を通したいんですけどね。此は時間掛かりそうです。

 さて、其は置いといて、今回はハルピュイアさんです。

 上半身が人間で翼を含む下半身が鳥。醜く、貪欲で、汚物を撒き散らすと言う正に迷惑しか掛けない悪魔的な鳥です。ゲームとかでも良く下級のモンスターとして出て来ますよね。

 でも何か筆者、此の子には愛着があって、可愛いんですよね。名前もハルピュイアやハーピーって、春とかハッピーを連想しちゃって可愛らしいです。だから先の悪事も、一寸質の悪い徒の様な気がして、態と芥をばら撒いて、怒らせつつも、片付けている様を少し離れてじっと見ていてくれるみたいな。何となーくな可愛さを感じます。

 そんなハルピュイアさんですが、だからなのか何なのか、今回は割とHappy End。

 醜いと語られるハルピュイアですが、其の翼がどんな彩なのか御存知ですか。


 とある渓谷(ケイコク)に棲(ス)む翼妖異(ハルピュイア)には常(ツネ)に付(ツ)き添(ソ)う大鷲(オオワシ)が居(イ)た

 大鷲(オオワシ)は翼妖異(ハルピュイア)の艶(ツヤ)やかな翼(ツバサ)を、翼妖異(ハルピュイア)は大鷲(オオワシ)の勇敢(ユウカン)さに恋(コイ)をした

 二羽(ニワ)は常(ツネ)に隣(トナリ)に寄(ヨ)り添(ソ)って飛(ト)んでいた

 其(ソ)の渓谷(ケイコク)の近(ノ)くには小(チイ)さな村(ムラ)があった

 凱風(カゼ)の強(ツヨ)い此(コ)の地(チ)に棲(ス)む者(モノ)は皆(ミンナ)弓矢(ユミヤ)を携(タズサ)え、鳥(トリ)を捕(ト)らえて生(イ)きていた


 或(ア)る日(ヒ)二羽(ニワ)が渓谷(ケイコク)の隙間(スキマ)を縫(ヌ)っていると其処(ソコ)を通(トオ)り掛(カ)かった男(オトコ)は翼妖異(ハルピュイア)の醜(ミニク)さに恐(オソ)れをなし、直(ス)ぐ様(サマ)矢(ヤ)を放(ハナ)った

 翼妖異(ハルピュイア)は直(ス)ぐ様(サマ)大鷲(オオワシ)を護(マモ)ろうと翼(ツバサ)を広(ヒロ)げた

 だが大鷲(オオワシ)は其(ソレ)を潜(クグ)り抜(ヌ)けてしまい、矢(ヤ)を胸(ムネ)に受(ウ)けて絶命(ゼツメイ)した

 嘆(ナゲ)きの囀(サエズ)りを上(ア)げて翼妖異(ハルピュイア)は男(オトコ)に飛(ト)び掛(カ)かり、其(ソ)の心臓(シンゾウ)を啄(ツイバ)んだ

 もっと翼(ツバサ)が大(オオ)きければ屹度(キット)届(トド)いたのに

 斃(タオ)れ、動(ウゴ)かなくなった男(オトコ)を踏(フ)み締(シ)め、翼妖異(ハルピュイア)は男(オトコ)の衣服(イフク)を剥(ハ)ぎ取(ト)り、捕(ト)らえていた鳥(トリ)の羽根(ハネ)を毟(ムシ)った

 そして其(ソレ)等(ラ)を己(オノレ)の翼(ツバサ)に巻(マ)き付(ツ)けた

 一回(ヒトマワ)りは大(オオ)きくなった翼妖異(ハルピュイア)の翼(ツバサ)

 でも此(コレ)では未(マ)だ未(マ)だ足(タ)りない

 もう大鷲(オオワシ)は戻(モド)らないと言(イ)うのに、失(ウシナ)った心(ココロ)の隙間(スキマ)を縫(ヌ)う様(ヨウ)に翼妖異(ハルピュイア)は翼(ツバサ)を大(オオ)きくする事(コト)に次第(シダイ)に執着(シュウチャク)して行(イ)った


 其(ソレ)から翼妖異(ハルピュイア)は屡々(シバシバ)村(ムラ)を訪(オトズ)れ、人(ヒト)を襲(オソ)っては其(ソ)の衣服(イフク)や羽根(ハネ)飾(カザ)りを命(イノチ)と共(トモ)に奪(ウバ)って行(イ)った

 村人(ムラビト)は翼妖異(ハルピュイア)を警戒(ケイカイ)する様(ヨウ)になり、翼妖異(ハルピュイア)を捕(ト)らえようと何度(ナンド)も弓(ユミ)を引(ヒ)いた

 だが翼妖異(ハルピュイア)の巧(タク)みな翼(ツバサ)使(ツカ)いと鋭(スルド)い動体(ドウタイ)視力(シリョク)により中々(ナカナカ)捕(ト)らえる事(コト)が出来(デキ)なかった

 次第(シダイ)に翼妖異(ハルピュイア)の翼(ツバサ)は継(ツ)ぎ接(ハ)ぎだらけのちぐはぐな大翼(タイヨク)となって行(イ)った

 余(アマ)りの重(オモ)さに蹌踉(ヨロ)めく事(コト)もあったが、其(ソレ)でも翼妖異(ハルピュイア)は求(モト)め続(ツヅ)けた

 彼(カレ)を、大鷲(オオワシ)を護(マモ)れる翼(ツバサ)を


 或(ア)る日(ヒ)、翼妖異(ハルピュイア)がとある母子(ハハコ)の帯(オビ)を狙(ネラ)って襲(オソ)うと、母(ハハ)は子(コ)を庇(カバ)った

 だが子(コ)が其(ソ)の隙間(スキマ)を縫(ヌ)って母(ハハ)の前(マエ)に立(タ)ちはだかった

 其(ソ)の為(タメ)翼妖異(ハルピュイア)の鋭(スルド)い嘴(クチバシ)が深々(フカブカ)と突(ツ)き刺(サ)さり、子(コ)は命(イノチ)を落(オ)とした

 帯(オビ)を奪(ウバ)った翼妖異(ハルピュイア)の目(メ)の前(マエ)で母(ハハ)は子(コ)の亡骸(ナキガラ)を抱(ダ)いて涕(ナ)き崩(クズ)れた

 翼妖異(ハルピュイア)は其(ソ)の光景(コウケイ)に知(シ)れず彼(カ)の大鷲(オオワシ)を重(カサ)ねた


 噫(アア)、やっと分(ワ)かった

 彼(ア)の時(トキ)、私(ワタシ)の翼(ツバサ)が足(タ)りなかったのではなく、大鷲(オオワシ)が私(ワタシ)を庇(カバ)ったのだ

 そして彼(カレ)は余(アマ)りにも勇敢(ユウカン)だった、死(シ)を恐(オソ)れぬ程(ホド)

 そんな彼(カレ)が褒(ホ)めてくれたのは私(ワタシ)の彼(ア)の翼(ツバサ)だったのだ

 翼妖異(ハルピュイア)は纏(マト)っていた偽(イツワ)りの翼(ツバサ)を裂(サ)いて捨(ス)てた

 姿(スガタ)を現(アラワ)したのは此迄(コレマデ)の日々(ヒビ)で傷付(キズツ)き、羽根(ハネ)が抜(ヌ)け落(オ)ちてみすぼらしくなった己(オノレ)の翼(ツバサ)

 そんな翼妖異(ハルピュイア)に一本(イッポン)の矢(ヤ)が放(ハナ)たれた

 身軽(ミガル)になった翼妖異(ハルピュイア)には其(ソレ)を躱(カワ)す事(コト)等(ナド)造作(ゾウサ)もない

 だが翼妖異(ハルピュイア)は敢(ア)えて其(ソレ)を自(ミズカ)らの胸(ムネ)に受(ウ)けた

 翼妖異(ハルピュイア)の躯(カラダ)は成(ナ)す術(スベ)もなく渓谷(ケイコク)へ落(オ)ち込(コ)んだ


 もう翼(ツバサ)は痺(シビ)れて動(ウゴ)かない

 でも分(ワ)かっている

 もう直(ス)ぐ此(コ)の躯(カラダ)は凱風(カゼ)の様(ヨウ)に軽(カル)くなって此(コ)の旻(ソラ)を舞(マ)い、羽搏(ハバタ)くだろう

 大鷲(オオワシ)が愛(アイ)した此(コ)の翼(ツバサ)で

 然(ソ)うすれば屹度(キット)、彼(カレ)も彼(ア)の旻(ソラ)の彼方(カナタ)から私(ワタシ)を見付(ミツ)けてくれる筈(ハズ)だ

 薄(ウス)く笑(エ)みを湛(タタ)えた儘(ママ)、翼妖異(ハルピュイア)は瞳(ヒトミ)を閉(ト)じるのだった


  -Fin-


 ね、Happy Endでしょ?え、人間からしたら堪った物じゃないって?もっと早く気付いたらあの子は死ななかったんじゃないかって?あ、いや、子供嫌いなんで別に・・・冗談です。ま、あの子は命を張ってハルピュイアに気付かせてくれたんだから十分ですよ、うん。

後つい発動しますね。恋人(人じゃないけれど)は死んじゃう法則。取り敢えず誰か身近な人が死ねば悲しい物語の出来上がりです。今回のシリーズは割と然う言ったパートナー系に集中してみました。

 ・・・割と今回の話は筆者的に気に入っています。実は村で死んだ者は渓谷に捨てられると言う背景も考えていたんですが、だからハルピュイアは谷底で今も死肉を食らっていると。でも然う考えるとラストの落下シーン、絶対凱風に乗って腐乱臭が漂い、臭かっただろうな、と。其はムードとして如何よ、と言う事で却下にしました。只此の設定は何処かで使うかも知れませんね。

 死は「過程」であって「結論」じゃない。そんな話が好きなので今後も其の方面で行きたい物です。今はユグドラシルでの場面場面にでも焦点を当ててみると良いかも、と思ってたり。又間が空きますけれど、忘れた頃に書けたらなと思います。

 では良い物語を。

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