序章
初めての作品ですので、ところどころ壊れた文体であると思います。
少しずつ勉強しながら続きも書いていきますのでよろしければ少しだけお付き合いください。
この世に生を受けて、一番最初の食べ物の記憶がうっすらと焦げ目のついたたまごやきであった。
我が家の卵焼きはしょっぱいタイプのものかつ作り方も至ってありきたりなもので、数個の卵をといて少量の塩と白だしを加えてから焼き始めるものだ。
一見作るのに何ら手間のかからないものだが、作る人の「さじ加減」によって幾重にもその味を変えるまさに千変万化の料理である。
そしてその千変万化する味の中で、最も「うまい」と言わしめたのは母のたまごやきであった。
「あさーーーーっ!!!!!ごはーーーーん!!」
その絶叫で、目覚ましでは覚めることのなかった私の目はわずかに開かれ、重い足取りでリビングへと向かうとすでに食卓には炊き立てであろう米粒が総立ちしたほかほかの飯とインスタントの味噌汁、それから『いつもの』たまごやきが用意されていた。
まずは水を一杯飲み、それからたまごやきへと箸を伸ばす。わずかな塩味がほんの少し私の目を覚まし、その味が消えてしまわないうちに白飯を口の中にかき込む。この一連の所作が、私にとって『もっともおいしくたまごやきを食べる方法』に他ならない。
台所でせわしなく動いている母のことなど素知らぬ風に、私の朝食は平穏かつささやかにすませられる。
はずだった。