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転生ヒロインの使命は、悪役お姉さまを守ることです!  作者: 鳴田るな
転:四天王制圧編~vsタルトレット
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4-10.何がどうしてこうなった 後編

 口から出てしまったものはもう撤回できない。そしてタルトが大爆笑しつつ受理してしまったからもうゲームするっきゃない。

 自ら退路を断っていくスタイル。人それを考えなしとか馬鹿と言う。


 タルトは告げました。


「オッケー。じゃあ、めいっぱい努力して貴婦人レディっぽくなる、それを認めるかどうかのゲーム。期限は今日から一か月――うん、それにしようよ。それで、淑女かどうかってのはボクが判断していいのかな? いいんだよね? どっちに転んでも楽しいね。あんたが淑女に化ける日なんて来るとは思わないけど、試行錯誤してるの見るのは面白そうだし、本当に化けたら化けたで、そりゃあもちろん認めるよ。……んー、判定基準を数値化して出すとかした方がいい? でも項目作って判断するのはちょっとなあ、やっぱり全体の印象と言うか、感性だよね、うん。やっぱそう思う? ああ、ボクも宣言しておくね。本当は認めたけど悔しいから嘘つくとか、そんなけち臭いことはしないから。ぎゃふんと言わせてね、楽しみにしてるよ――じゃじゃ馬さん」


 そんなわけで、アデラリード淑女化計画ゲームは思い直す暇もなく開幕してしまったのです。


 ……もうね。何回目だ、このパターン。そしてタルト相手だと極端に煽り耐性低くなるぞ、私。

 いつも低い? やかましいですよ!


 ま、まあ、やっちまったものはもう仕方ないので切り替えましょう。大失敗してもさっさと立ち直って次に行けるのが私の長所ですよ、うん。過去起きたことは変えられないんだから、今と未来だ、重要なのは。




 それに、ちょっと言ったけど勝算がゼロなわけではないのですよ。

 原作でタルトを落とすのに必須だった要素の一つに、ずばり魅力なるものがありましてですね。まあ武力、知力、魔力とかと同じ、育てることができるステータスの一つです。


 これを上げると大抵の攻略キャラの好感度に補正が付く(大抵の、と言うのは揺るがぬ賢者と文官が存在するからです。フラメリオはそんなやすい色仕掛けなんぞに惑わされてくれませんし、文官はデレ時代なら普通に好感度上がりますが、ツン時代に下手に魅力を上げ過ぎるとむしろマイナス補正になってしまうのです。根暗モッさんだし、派手な女性が苦手ってことなんですかね)上に、大抵一定以上になるとまあ魅力に釣られて男性陣がちょっとハッスルするようなイベントが起こります。

 しばらく触れてなかったけど原作は18禁ゲームですからね。お察しください。


 武官は武力、文官は知力、賢者は魔力、神官では魅力が、それぞれのキャラの好感度やトゥルールート攻略のために重要な要素となってくるわけですね。

 そして蘇る犬ルートのトラウマ。武力って項目あって武官が攻略者だったら、そりゃあ普通は武力上げまくるよ。上げまくったせいで友情ルート突っ込んだからと反省して二週目で下げまくったら例のバッドエンドだよ。もう少しその辺の難易度なんとかならなかったのか。だからマゾゲーと言われるのだ。


 って大いに脱線した。


 あ、ちなみに朕と侍従は特に対応している項目があるわけではないです。

 強いて言うなら、朕ルートはやり方によっては選択肢だけでトゥルールートに行けるので、全然育成しなくてもなんとかなります。育成したらしたで、イベントが増えるのと選択で失敗した時に多少リカバリーが効くってメリットがありましたが。まあ初心者向けと言うか、ある意味センターヒーローに相応しい難易度だったのかもしれない。


 一方、侍従と駆け落ちしたかったら、すべてのパラメーターを高くしておかなければなりません。

 他の三つはともかく魅力が高かったら朕に執着されるんじゃないのって思うところですが、魅力って要素にはどうやら社交性や交渉力、世渡りの器用さのようなものも多少含まれているようなので、味方を増やして逃げやすく環境を整えるために必要ってことらしいですよ。

 あとはステータスの上げ方にも若干のコツがありまして、駆け落ち直前に一気に上げればいいというものでもなく、必要な月に必要な分を上げないと出現しないイベントと言うのが存在します。これらをこなして死亡フラグを地道に潰しておかないと、駆け落ち本番で侍従は死にます。

 まったく、世話の焼ける野郎だ。まあ隠しヒーローに相応しい難易度かもしれないですけどね。



 で、タルトの話に戻ってこよう。

 わかりやすく外面で人間を判断するこの男は、魅力値がある値以上にならないと、そもそも接触を図ってきません。こちらから近づこうとした日には逃げられることすらあります。

 マジでこの不良神官なんとかしろ。お前普通は宗教とか、そう言う要素が絡んで来るんじゃないの。なんでよりによって魅力なの。魅力ないと近づく事すら拒否られるとか本当になんなの。


 それでまあ、私が貴婦人云々って言いだしたのはですね。実際にあるんですよ、そういう感じのルートが。

 そもそも魅力値が一定以上じゃないと逃げるような男タルトレットですが、あえて低いまま追いかけまわしていると、三度目に「魅力のない人間に興味はない」とオブラートに包んで言われるんですね。それでも低いまま追いかけまわすと、最終的に嫌われてイベント自体が起こらなくなってしまうのですが、なんとかお眼鏡にかなう段階まで上げて会いに行くと、見直してくれる上にようやくまともに相手をしてくれるようになります。


 で、ここのリベンジイベントにちょっと工夫をしてですね。

 基準点を越えてもすぐには会いに行かず(そうするとノーマルルートにしか入らない。魅力が低いうちに会いに行かず、最初から高い魅力で会いに行く場合も実はノーマルルート止まりである)、さらに魅力を鍛えながら期間を置いて会いに行く、と言う戦法を取ります。

 すると、時間と魅力値の両方のフラグが立ったことでタルトの反応が変化し、普通に会いに行く場合と違ってキョドった挙句、「ひょっとして自分のために頑張ったの?」と聞かれるのですかさず、「はい」「もちろん」「あなたが好きだから」とフルコンボ。

 そうするとその後のイベントも多少変化するのです。まあ具体的に言うとですね、プレイの内容がより過激に陰湿になります。……神官、お前って奴は。

 しかしそこでめげずに「好き!」「大好き!」「ご主人様!」を言い続けていると、ある日突然「もう飽きた。自由にしてあげる」と解放されます。当然本心ではないので、フリーになろうがしつこくタルトを追いかけます。相手が泣くまで追いかけまわします。(そしてこの追いかける過程でよく事故って死ぬ。バナナの皮とか)

 無事に泣かせることができたら、追い詰めすぎて激情させて殺されないようにだけ注意しながら、年上の余裕で包み込み、今までしでかしやがったことの責任を取らせ(要するに結婚し)ます。これがタルトのトゥルールートの概要です。


 まあ私は当然お姉さまのために頑張るわけですしタルトが世迷言を口走ろうものなら心を込めて全否定しますが、つまりここから言えることはだな。

 低パラメーターのステータスを爆上げすれば、タルトは確実に反応する。そして私は腐ってもアデラリード。武力がここまで鍛えられ、魔力も日々向上している私なら、魅力も絶えぬ努力を投資すればたぶん行ける!


 と、思った結果があれでした。

 ……うん。冷静に考えたらかなりの博打ですよね、これ。でもまあおかげで相手の博打師はノリノリだ。向こうの機嫌がいいってことは悪いことじゃない。不正をされる確率や星の寵児の幸運を使われる確率が抑えられるし、むしろ下手すればこっちの要求を少し飲ませたり、果ては協力してくれる可能性もある。タルトは根が子ども、感情のままに突っ走ってくるので上機嫌でいてくれて悪いことはありません。気分屋だからいつ変わるかわからないところはちょっとあれですが。




 繰り返しになるかもしれないけど、宣言してしまったものはもうどうしようもない。決まったら時間が惜しい。早速某知人たちに教えを乞い、このまま貴婦人道を突っ走ってやります!




 と、意気込んだ結果がこの大惨事である。


「アデル……。その、淑女と言うのは……カッと来ても抑えて微笑むもの。多少気が強くても……理知的な言葉でなんとかする。だから間違っても……靴を脱いで服を乱して、しかも……男を殴り飛ばした……そんな生き物であってはいけない、はず」


 ウルルを殴り飛ばした私はフィレッタの必死の呼びかけで我に返り、ゼナさんは私の奇行を受けて呼吸困難に沈んだ。親友に飾ってもらって結構いい出来だと調子に乗り、ゼナさんの挑発に乗って武官コーナーへ邁進した愚行に対する適切な答えともいえる。


 でもここまでフルボッコな反応が返ってくるとはさすがに思ってなかったんだよ。驚くかなとは思ったけど、気持ち悪いて、気持ち悪い……裏表のないウルルの言葉なだけ、後からじわじわ来るんですが。


 武官たちと一緒の空間に置くのにはまだ早いと親友に思われたらしい私は、とりあえず静かに出来る場所に移動しましょうと言う事で半ば強制的に図書室まで引っ張ってこられました。そしてゼナさんが笑いながらモッさんに状況を説明し、私はよりにもよってこの男から、なぜか淑女とは何かについての説教を受けることになったのでした。


 そう言えば忘れていたけどモッさん一応貴族のはしくれなんだった。ぐぬぬと思うけど一言も言い返せない。

 ゆっくり静かにくどくど言い聞かせるモナモリスの声を聞きながら、私はいろんな意味で深くため息をつきました。幸先悪すぎるスタートでしょう。


 いや、いかん! 暗い方向に考えてもいいことなんてない。切り替えてポジティブに、テンション上げていかなければ。

 そう、まだ、一か月ある! なんとかするんだ、一か月先までに! 私ならできる!


 図書室なのでうるさくするのはアウトですから、私がひとまず拳をぐっと握りしめて決意を新たにすると、周囲の三人はなぜか一斉に視線を彷徨わせ、頭を押さえたのでした。

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