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プロローグ

ぶっちゃけ『ホモバナ』です〈汗〉とはいえ、ソフトモーホーなんで、性描写もラヴいことも微妙な表現にしかなりませんか。苦手な方は避けられたほうが賢明です〈汗〉でも少しでも楽しんで頂けると幸いです!

日本を中心に、世界を又にかける超大手医薬品メーカー、アリスコーポレーション。


株は上々。

売り上げはいまだ右肩上がりで赤字知らず。

さまざまな分野に進出し、健康食品、漢方は勿論。

医療器具、ダイエットマシーン、化粧品、果てはランジェリーにまで手を出す始末。

女性は勿論、男性の支持も得、愛用者はそれこそ世界各地に点在する。


しかし、会社が大きくなればなるほど、周囲に敵が増えてくるのも事実。

アリスの警護にあたる警護〈ソルジャー〉班は、自衛隊以上の腕と度胸と頭を持った親衛ぞろい。

日々訓練に励み、一度応援要請があれば、我先にと飛び出す血気盛んな猛者ぞろい。


そんな警護班のもう一つの役目。


それは医薬〈メディカル〉班、科学〈サイエンス〉班の新薬開発の為の協力。

早い話が、人体実験の為の被写体である。


勿論、被写体による人体実験に移る前に、科学者自らによる人体実験を何度も行なう。

加えて、アリスのモットーは

『自然に優しく人にも優しく』

である為、全ての素材に対して、危険と思われるものは一切使用しないように心掛けている。


が、しかし。

どんなに安全性を主張されても、未知なるものを使用するのは少なからず抵抗があるもの。

それを仕事とはいえ、自ら進んで被写体になるなど、凡人からすれば考えられないもの。

いつからか、警護班には、《マッドラビット/イカれウサギ》の異名が付いていた。


そして、その《マッドラビット》に、この春最年少で入隊した、いまだ少年の名残ある青年達。

『麗〈うらら〉・クレーメンス』、『伊織美人〈いおりよしひと〉』、『天野華鈴〈あまのかりん〉』

の三名。

入隊してわずか半年の彼らに、警護とは別の特殊任務が下された。




「…任務機関は長くて半年間。

勿論、他言無用。

シークレットだ。

社内でも情報が漏れた時点で、君たちにはアリスを去ってもらうことになる。

任務中は充分注意して行動してくれ。」


深く椅子に腰掛け、褐色の肌の男は云った。


警護班、班長室。

百人近い警護班隊員を束ねる人物の部屋。

とはいえ、常に最前線で警護や戦闘にあたっている班長にとって、この部屋はもはや無用の物でしかないのだが。

彼がこの部屋を使用するのは、多くても年間十回程度であろう。

それくらい、警護班、班長である『アルフレッド・エメリッヒ』は多忙なのである。


昨日まで海外遠征に行っていたと噂されるアルフレッド。

遠征先でもやはり多忙だったのか、少し長めの不精髭が、かすかな疲労感を見るものに与えた。

本来は、顔に似合わず色白であろう肌は、日々太陽の下で訓練に励んでいるせいで、綺麗なブロンズに焼けている。

時計とゴーグルの跡が見事である。

迷彩服の胸元からは、銃弾の跡がはっきりと見て取れた。

厚く、たくましい胸板を貫いた銃弾。

その跡から、通常の銃弾よりも大きなものが使用されたのだと分かった。


余談であるが、アルフレッドの左腕は義手である。

ご丁寧に、二種類の仕込み銃つきの。

以前、遠征先で動乱に巻き込まれた際、子供をかばって失ったということだ。

利き腕だった。


しばらくは普通の義手をつけていたが、やがて科学班と機械工学〈エンジニア〉班が彼専用の独自の義手を開発した。

日常では義手とは思えぬ程の細やかな動きをし、戦場では銃として戦いをサポートする。

生涯現役を願っていた彼にとって、この義手は最高のプレゼントとなったのである。



そんなアルフレッドの前、三人の新人は姿勢を正しなおした。

と、三人の中では一番背の高い、

〈とはいえ、平均身長185センチの警護班の中では、かなり小さいほうになるのだが〉

伊織美人が尋ねた。


「しかし班長。

自分達はまだ任務の内容を聞かされておりません。

命令が下った以上、最善を尽くす次第でありますし、内容は一切他人に洩らすつもりはありません。

ですが、そのようなトップシークレットの任務を、我々のような日の浅い者どもに任せても大丈夫なのでありますか?」


セピアの瞳が見つめる。


名前のとおりの美貌の青年である。

頬のところに、まだ少年特有の丸みが残っている。

が、それでも背筋を伸ばして立つ姿は、好感を持てる青年そのものである。

すらりと伸びる四肢が美しい。

程よく付いた筋肉は、ダビデ像を彷彿とさせた。

ココア色のショートヘアはさらさらのストレート。

自身の美貌と解け合い、チョコレートケーキのように甘かった。


美人の問いにアルフレッドは小さく


「ふむ」


と頷き、長めの不精髭を撫でた。

脚を組み、三人を順に見渡すと、にやりと笑った。

本当に

《にやり》

とである。


その笑みに、三人は何かしら背筋がぞっとするのを感じた。

《不安》というよりむしろ《恐怖》を感じた。


〈絶対よからぬことを考えてる!〉


アルフレッドの笑みに三人は思った。


「まあ、内容としちゃあ、そんなにびびるものじゃあない」


三人の緊張した面持ちに、アルフレッドは明るく云った。


「お前達、ここに入隊したとき、医療班から支給されたものがあっただろう?

ん? 何をもらった?

云ってみろ」


不気味な笑みはそのまま、からかうような視線を三人に送った。


「携帯用救護ボックスと、何故かボディソープのボトルを3本。

ご丁寧に3本とも香りが違うものを頂きました」


ハニーゴールドの髪の、これまた美貌の青年、麗・クレーメンスが云った。

美人と同じように、頬にまだ若干の丸みを残しているが、切れ長の目元や整った眉根は、やはり好感を持てる青年そのものである。


また、思わず目を引いてしまうのは、彼の左右の瞳の色のせいでもあった。

色素の薄いサファイアの左目に対し、右目は赤み掛かったトパーズである。

光や角度によって赤みを増すその色は、ともすればガーネットのように深く、紅く、鮮やかであった。


本人は気にしているのか、見事なハニーゴールドの髪で、常に右目を隠すような髪型をしていた。

もっとも、毛先を跳ねさせてみたり、髪の一部を立たせてみたり。

右目を気にするのと同じくらい、髪型も気にしているようだが。


美人よりもいくらか小さく華奢な印象を受けるが、それでも腕や胸には、それなりの筋肉が付いていた。

美人がダビデ像であるならば、こちらは熾天使〈セラフィム〉であろうか?

もしも本当に天使が存在するのなら、きっと彼のような姿であるに違いない。

そう思ってしまうほど、少年の美しさ、初々しさを残すその容姿は、輝かしかったのである。


麗のセリフに、アルフレッドはうんうんとにこやかに頷き、


「それで、そのボディーソープはちゃんと使ってるのか?

一本使いきるのにだいたい一ヵ月から二ヵ月はかかるが、それでもそろそろなくなる頃なんじゃないか?

使った感想はどうだ?

好きな香りはあったか?」


強面の顔からはおおよそ想像できないほどにっこり笑い、


「どうだ?」


とアルフレッドは一番小柄な華鈴に振った。

華鈴は一瞬


「俺?!」


というような顔をしたが、すぐに姿勢を正し、素直な感想をのべた。


「自分はとても気に入ったんで、本当に毎日使ってます。

泡切れもいいし、何より訓練で掻いた汗の臭いが一発で消えるんで、本当に重宝してます。

もうすぐなくなりそうなんで、頂けるのであれば是非頂きたいです。

香りはマグノリアが一番好きです」


そうのべると、華鈴は屈託なく笑った。


その笑顔は、焼きたてのパンケーキかスポンジのようにふわふわでやわらかく、甘かった。


華鈴は三人の中で一番幼い印象を受ける。

それは、一番背が低い、という理由だけではないのだろう。


大学をスキップし、三人とも二十歳という若さでこの警護班に入隊したわけであるが。

しかし。

麗、美人に比べ、華鈴はまだ学生気分が抜けていないというか。

いまいち緊張感に欠けるというか。

早い話、頭はよいのだろうが、馬鹿なのである。


もっとも、そんな少々お馬鹿なキャラクターだからこそ、生真面目すぎる残る二人を和ませることができるのであろう。

〈癒しにはなっていないだろうが〉


何より、少々お馬鹿と云えども、華鈴も麗、美人に負けず劣らずの美貌の青年である。

少し癖のあるプラチナブロンドの髪はやわらかく、触っていて飽きが来ない。

年齢よりも幼い印象を与える大きな瞳は鮮やかなスカイブルー。

笑うと白目を潰してしまいそうな勢いのそれは、とても愛らしく、見るものを和ませる。


二人以上に残る、少年特有の丸み。

頬と、肩の部分にもまだ残るそれは、ともすれば少女に触れているかのような錯覚を起こす。


麗と美人は、その触り心地が気に入っていた。

二人にとって華鈴は、なんというか、愛玩動物的な存在であった。

容姿といい、お馬鹿なキャラクターといい、とにかく和むのだった。



華鈴の無垢な笑顔にあてられたのか、アルフレッドも相当にこにこ顔になり、


「二人はどうだ?」


と、麗と美人に振った。


「自分も華鈴と同じく、とても重宝しております。

臭いを消してくれるのも勿論、洗い流したあとの潤いも気に入っております。

また頂けるのであれば、是非、自分も頂きたく思います。

香りは、自分はラベンダーが一番好みであります」


姿勢を正して、だけど表情は先程よりいくらかやわらかく。

美人は応えた。

そして。


「自分も気に入ってます。香りは、自分はローズが一番気に入りました」


と、麗も応えた。


三人の好みの違いに、アルフレッドは満足そうに頷いた。


「予想通りだな」


と呟くと、椅子から立ち上がり、


「よし!」


と三人の前に立った。

手を後ろに組み、威厳に満ちた眼差しで自分達を見るその姿に、三人は改めて姿勢を正した。


「麗、美人、華鈴! お前達に任務を言い渡す!」


「はっ!」


野太い声が班長室に響き、三人の若者は威勢よく返事した。


「さっきも云ったように、期間は三ヵ月から長くて半年間!

お前達にはイメージキャラクターをしてもらう!

ただし、只のイメージキャラクターではない!

今度の新商品と、当社のイメージキャラクターも兼ねているのだ!

よって、その辺の可愛いだけで脳のないモデル共と同じでは困る!

美しさと強さを兼ね備えた人物を演じてほしい。

勿論お前達のことは一切口外しない。

さっき社内のものにも洩らさないよう云ったのも、お前達がイメージキャラクターを演じるのは、本当に一部の人間しか知らないからだ。

社内のものには、イメージキャラクターはあくまでどこかのモデルを起用すること。

お前達はそのモデルの護衛の任にあること。

と、すでに通達済みだ。

くれぐれも!

お前達自身がそのモデルであることが他のものに気付かれることがないよう!

今後の言動には充分注意を払ってくれ!

分かったか?!

何か質問は?!」


そこまで一辺に説明し、アルフレッドは三人を見渡した。


三人はしばらく、互いの顔を見合わせていた。

が。


「その新商品というのは、先程からおっしゃられてるボディーソープ、のことでありますか?」


ほんの少し眉間にしわを寄せ、美人が尋ねた。

何やらよからぬ気配を感じているようである。


しかし、アルフレッドは短く


「そうだ」


と応えただけで、それ以上は何も云わなかった。


「しかし班長。

自分達は男ですが、よろしいのですか?

そういった、いわゆる化粧品と呼ばれるものには、やはり女性を起用したほうがいいと思うのですが…」


控えめに麗が提案する。


アルフレッドは、今度は腕を組み、


「確かに…」


と再び話し始めた。


「確かに、一般的にはどこのメーカーも女性を起用するだろう。

当社も最初は女性を起用するつもりだった。

しかし!

それでは他のメーカーと一緒なのだ!!

いまだかつて男が化粧品のモデルをするなど見たことなかろう?!

話題性でも見た目のインパクトでも充分注目されるのだ!

その辺も考えて、お前達には任務にあたってもらいたい。

一つ云い忘れたが、社内のものにもお前達がモデルであることがわからぬよう、カツラなり多少のメイクなりはしてもらう。

そこは悪いが、我慢してもらいたい。

それからもう一つ。

ここまで説明してきたが、この任務には一応拒否権がある。

だから断ってくれてかまわないそうだが、ボーナスははずむそうだ。

それから任務終了後には、有給とは別に一ヵ月のリフレッシュ期間をくれると云っていたぞ?

悪い話じゃないと俺は思うがね?」


『ボーナスははずむ』

の一言に、華鈴の目は輝いた。


『有給とは別のリフレッシュ期間』

に、美人もまんざらではなさそうに頬を染めた。

入隊してから半年。

厳しい訓練の毎日で、なかなかゆっくりできないでいたからだ。


麗は、興味なさげにただじっと立っていた。

が、断る気配はない。

アルフレッドはそれを肯定と取り、


「三人ともやってくれるようだな?!」


と確認を入れた。


「はっ!」


再び姿勢を正し、三人は勢い良く返事をした。


「よおーしっ、ならついてこい!

さっそく衣裳合わせといくぞ!!」


三人の返事に気をよくしたのか、アルフレッドは満面の笑みを浮かべ、班長室かをあとにした。

麗、美人、華鈴もそのあとにつづく。

向かうは医療班と美容〈ビューティー〉班と企画〈メディア〉班。

アリスコーポーレーション始まって以来の一大プロジェクトが、静かに幕を開けようとしていた。


そして三人は知るよしもなかった。

この任務が、後に『伝説』と呼ばれるほど、波乱に満ちたものになるなど…。


プロローグなんでまだ何もありません。私の文章でどれだけ伝えられるか分かりませんが、とりあえす三人とも超絶美形と云うことで〈苦笑〉『受』か『攻』は次で判明します!

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