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W.W.  作者: [take]
3/16

(3)新たな日常……に向けて

……やっぱり、一話と二話の間を一週間あけたのは失敗だった気がする。……という訳で三話は早めに投稿。

取り敢えず後書きで日にちの指定するのはもう止めようと誓いました。

ちなみに、この小説を書き終えて毎日更新するのにはもう少し時間がかかりそうです。

……それではよろしくお願いします

   

 さて、早速だが、

   

Q. どうする?

A. ……現実逃避。……これしか無い。……そして異論も認めない。

   

 という訳でまずはこの世界に付いて考えよう。

 いきなりではあるがこの世界は“二つ”ある。

 比喩では無い。そして自論でも無い。

 本当に、世界が二つあるのだ。

 一つは『リアル』と呼ばれる元から在った現実の世界。

 もう一つは『デジタル』と呼ばれる、新しく“創られた”世界。

 リアルに関しては文字通り、説明の必要も無いだろう。……というかそれ以上は説明出来ないし、むしろ俺が聞きたいので割愛する。

 そしてデジタル、これはリアルにある全ての物質、事象、法則などを含めた、ありとあらゆる物をデータ化し、その中で生まれた擬似的な世界。

 擬似的と言ってもリアルの全てがデータ化されている為、現実のそれと何も変わらない世界だ。

 とはいえ所詮はデータであるため、作ろうと思えばいくらでも作れるし、事実いくつかある。そういう意味では世界が無限にある、と言えるのかもしれないが、それらは同質の物だし、少なくとも今は回線などで根本が繋げられているので、結局は世界が二つと言える。

 ちなみに二つの世界の行き来には、リアルで全身をスキャンし、原子レベルよりも更に細かいレベルで分析、データ化して分解、デジタルで再構築することで出来、逆はデジタルでデータを読み込み、分解、リアルにおいて物質で再構築することで出来るそうだ。

 どちらも数分とかからず出来る上、面倒な手続きも無いため、割と――いや、かなり簡単に出来る。……簡単に出来る様になった為に実用化したのだから、当然といえば当然である。

 また、デジタルは現在、リアルにある複数のサーバーにより成りたっているが、テロ防止の為のダミーと、不測の事態に備えたデータの転送先が多数あるため安全管理は問題無いし、リアルよりも快適なため、住む人は多いのである。

   

 二つの世界については以上だが、デジタルとデジタルが生み出した物については、もう少し説明がいる。

 デジタルはいわば電脳世界だ。設定や数値の変更変換だって当然できる。例えば、気温や天候を操作したり、宇宙の様な無重力空間を作ったり、などだ。また、時間の進み方を変えて、速くしたり、遅くしたりだって出来る。

 そしてそれを応用、世界から個の設定にする。構成物質の変更。体積の増減などだ。

 さて、問題はここからである。

 そしてそれらを更に応用、設定を変える対象を、単なる物体から生物へと変える。

 それによって生まれたのが、俺の様なハイランカーだ。

 とはいえ生物を作り変えるのは簡単な事ではない。一部を変えれば思はぬ所に影響が出る。それがやがて生物としての機能を全て停止させ、死へと誘う。

 ならば可能な範囲で行えば良いのではないかと思うかもしれないが、動物実験の結果などから、個体差があまりにも大きいことが分かっている。個体によっては筋肉量を増やしただけで影響が出るものもいる。

 その上、それによって死ぬ場合かなり苦しいらしい。

 余程のことがあっても行われないのはこのためである。

 以上の理由から、ハイランカーを生み出すことは、ある種の禁忌に触れる改造とされているのである。

   

 さて、ここまで――もしくはもっと前の説明で、さらなる禁忌の可能性についても、気づいただろう。

 そう、人間の“複製”である。

 結論から言おう。

   

 “何故か”出来ない。

   

 理由は本当に分からないらしい。

 人間の分解、再構築は出来るのだから、思いつきさえすれば出来そうなことだが、何故か出来ない。形は成せても生きてはいないそうだ。

 俺をハイランカーにした奴らが言っていた。間違いない。奴らならそれくらい普通にやる。

   

 ……論点?がズレたな、……まあ、これ以上は特に何も無いから問題はないか。

   

 と、丁度まとめたときだった。

 俺の手が取られ、ゆさゆさと揺すられ、

「レイー!レイレイ!レーイー!レイ!!」

と、言われた。……名前を呼ばれたと思わないのはせめてもの抵抗だ。

 が、

「……なんだ?」

揺すられている以上、反応しない訳にはいかないのが現実だ。……正直もう聞かなくても分かる。

「『リア』って呼んで下さい!」

 そもそも俺が現実逃避していたのは、これが理由だ。

「……リア。」

 一体これで何度目か?およそ百を数えたのは遥昔のことだ、とだけ言っておこう。……途中からだが、ついつい数えてしまった。それすらももう止めたが……。

 まあ、――

「はい!」

まあ、嬉しそうで何よりだ。そしてその笑顔には癒される。

 だが、

「レイレイレイレイ!お願いがあります!」

物事には限度があると思う。

「……なんだ?――リア。」

 ハイランカーたる俺の思考は速いのだ。

   

「うふふ、何でもないです。」

   

 ……俺が新たな日常を受け入れるのには、もう少し、時間がかかりそうだ。

   

「レイ!あの!レイに!お願いがあるんです!」

   

拙作をお読みいただきありがとうございました。

次回間話なので、早めに投稿すると思います。

次回は間話なので予告は無しですが、よろしくお願いたします。

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