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第8話 地味豚公爵は大活躍していた・③

 「陛下!こんなニンゲンを信用するおつもりか!」

「ニンゲンなぞ私達を恨んで滅ぼすつもりに違いない!」


 まあ、普通はそう思いますよね。

魔族の皆様は俺とドミニクを囲んで小声で猛烈に抗議してきた。

「もう俺様がコイツを信用した。それに、邪神に従っていたこの100年で何か状況はマシになったか?」

きっぱりとドミニクが断言した瞬間に、その全員が黙った。

……何も良くなっていないんだ。下手をすれば俺達以上に悪化していたんだ。

俺は無礼にならない程度に視線を『聖なる緑の園』の中心にある世界樹の方へ向けた。

あまりにもジロジロと見たら怒られそうだったからさ。

世界樹の名にふさわしい巨木……と言うより、かつては天までそびえ立つ巨大な木の柱だったのだろう。

しかし、その途中でへし折られていて、そこから木が腐り始めていた。辛うじて残っている枯葉が枝先で揺れている。根元には刺激臭のする腐敗毒まで撒かれていた。

「このままでは世界樹様が枯れ果てて、俺様達も死に絶えるだけだ!」

俺も、「人間側だって毎年の洪水で土地がメチャメチャになるのに、加えて皆様から襲撃され続けたら本当にたまらないですよ」と言おうと思ったが空気を読んで黙っていた。

魔族の皆様は俺を見て、

「……作戦を聞かせて欲しい」

「そうだ。勝ち目のある戦いなら……」


 まず、魔族を二つに分ける。戦闘部隊と封印部隊だ。

 戦闘部隊が反乱を起こして、邪神を誘き出す。

 邪神に適当にやられて退散するふりをする。

 ここが要で、邪神を誘いながら退散しなければならない。

 邪神が追いかけて来なかったらその時点で俺達の負けである。

 そのため、邪神を挑発しまくりながら、かつ悲壮感と敗北感たっぷりに逃げるというとても高難易度な逃げ方をしなければならない。

 邪神が世界樹の所まで追いかけてきたら、封印部隊が罠を作動させる。

 あらかじめ作成した『檻』の中に邪神が入り込んだ所で、扉を閉めて鍵をかけるのだ。

 ここも凄まじく難しくて、『檻』は邪神を全部収納できるように全員で細かな修正を続ける必要があるし、鍵にはありったけの魔力を注ぎ込まないとダメだろう。

 

 「俺様が戦闘部隊を率いる」俺はうんうんと頷きながら聞いていた。「封印部隊は……ニンゲンが指揮しろ!」

「えっあっ」

咄嗟のことで言葉に詰まった。

「文句あるのか!」

「だって俺は人間だろう!?俺が指揮したらみんなから不満が出るんじゃ……!?」

「ニンゲンが一番【生活魔法】に詳しいだろう。ニンゲンの指揮に従わない者は俺様直々に処断する!……これで黙れ!」

「あっ、はい」

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