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番外編 詐欺師だった僕・①

 僕は今でこそまともに働いているが、かつては犯罪者だった。

頭の悪い富裕層を相手にした詐欺師だったんだ。

……我ながらあくどい稼ぎをしていたから、さぞ恨みを買ったんだろうね。

僕を狙うごろつきに襲われて殺されかけた。実際に大けがで死にかけていた。

夜で、王都の外だったから誰も助けてくれず、野良犬だけが寄ってきたその時……僕の頭をよぎったのは、死への恐怖と、死ぬ前なのに思い出すべき人もいないという孤独だけだった。


 男爵家の次男坊として生まれたはずなのに、僕は『存在しないモノ』だった。

貴族なら誰しもが使えるはずの魔法が何も使えない、『魔力なし』。

僕は貴族でも人間でも、ましてや家族でも無かったし、召使いにさえ迫害された。

耐えきれなくなった12の時に家を飛び出して、それからは詐欺師として生きてきた。

運が良いのか悪いのか、僕は口も回って見目も悪くなかったし、生きていくために独学で勉強したことも幸いして、貴族相手でも騙せるような悪知恵や、知識もあったから。


 架空の投資の話を持ちかけて金をだまし取ったり、見た目を逆手にとって貴族の令嬢を食い物にした。処女には手を出さなかったよ、それだけは誓って良い。

何の犯罪を犯しても全く罪悪感を抱かなかった。

僕を虐げた連中への一つの復讐だと思っていた。

純粋なくらいにこの復讐は正しいと信じて疑っていなかった。

貴族も王族も全員腐っている、だから僕が食いあさっても良い、って。

あれほどに虐げた魔力なしの僕に良いようにされる貴族を見て、幾度も溜飲を下げていたんだ。


 ああ、確かにざまあみろと思ったよ。

 見事に騙した時には本当にスッキリした。

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