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VRMMOでお酒が飲みたい!性別不定の酒探索〜どうしてここにはお酒がないんですか!?〜  作者: 猫又
解禁、配信、大波乱

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068. 見せてもらおう! その力!

「どうする? 湖突っ切る?」


 そこそこ横幅の有る湖、その左右に広がっているカーブを眺めながら最短距離を提案する。

 手前は水深があるので泳がないとだが、奥の目的地へ近づくにつれて浅くなっているため、クエストの採取には影響しない。左右から迂回していっても、最終的には水に入らないと辿り着けないから、まあ、時短のための提案です。


「水泳スキルあるのか?」

「オレ、SP枯渇してっからとれねーぞ」

「無くても気合で泳げ。生えるかもしらん」

「あ、あの……私も、持って無くて……」


 三々五々、好き勝手な発言が交差する。発端が自分のせいなんだが、収拾つくのかなこれ。


「なー、レラ。あれ」

「えっ?」


 エドが湖の奥の方を指さしながら、レラの肩をつつく。それにつられて、言い合ってた皆の視線もエドの指差す方へ。


 なーんか、水しぶきあがってますね?


 目的地の手前、湖の直径にして中央部分が波立ち、水面に光が歪に反射する。違和感の正体に思い至るよりも早く、空に向かって幾筋もの線が突き上がった。


「うげっ」

「!?」


 生理的嫌悪を呼び起こす軟体生物のような線。それは触手のようで、濁ったゼリーのようで、ぼたぼたと水滴を落とす姿はどう見ても友好的ではない。徐々に水中から浮上しこちらへと向かってくるそれは、一体ではなく複数いるらしく、触手と思われる線も増えるばかりだ。


「っ、戦闘準備!」

「退却って手は!?」

「初見戦闘は最初の嗜みっ!」

「お前が戦いたいだけだー!?!?」


 モルトに進言するもサラッと流された! この戦闘狂が!!


「連携確認するのにもうってつけ、だろ!?」

「お前の口元が全部を否定してるんですけど!!」


 綺麗な弧を描く口角を指摘しながら、装備していた短剣を二本抜き放つ。こうなっては止めるだけ無駄なのは経験によりよく知ってる。


「【緑の護り】【宣誓】! ヘイトは引き受けます! お願いしますっ!!」


 長剣を抜き放ち、盾を構えたレラが近づきつつある一群へ向けてスキルを放つ。自分の役割をタンクと定めているようで、その動作に淀みはなかった。

 頼りになるけどお兄さんはそんな子に育てた覚えは……!!


「いっくぞー! 【覇気爪】!」


 ぶんっ、と、勢いよく振りかぶったエドが伸びた爪を振り下ろす。まだ敵と距離はあるが、その動作でスキルを発動したのだろう、黄色みを帯びた三連の光が飛んでいく。狙いは大雑把だが、密集した的に当てるのはそう難しくなようで、何本かの触手が切り飛ばされた。

 ぼとりと落ちた先端は煙を上げて消えていった。が、切られた触手は切り口が泡立ち、すぐに新しい部位が生えてくる。


「うっわ、キモチワル」

「再生するだけか回復もしてるかどっちかな」

「足場がないのが痛いな。引っ張ってもらわないと攻撃が当てられない」


 レラから少し離れるようにしてモルトが剣を構える。装備更新したのか、前回とは違って持ち手と鍔に豪華な装飾が施されている。が、全体が黒寄りのマットな灰色のせいか、華美な印象はなく堅実といった感じ。灰雪さんも姿勢を低くして臨戦態勢だ。


「遠距離ねえ……【ウィンドカッター】」


 エドに倣って、大雑把な照準と最大出力でぶっ放す。リーナから貰ったリップも使用してるのでそこそこ削れはするはず。

 つーかこのリップ、地味に回数制限アイテムなんだな。単発でないのはありがたい。効果時間は120秒、再使用可能には240秒か。品質によってここの秒数変わってくるんだろうね。


 さて攻撃がヒットした敵はといいますと……もうちょい近づいてこないと鑑定は通らないか。見た感じ傷は再生されるし、動くスピードも落ちた様子はないし、HPが見えないとどれくらい削れたのか判らないな。


「げえ……あいつ再生と同時に回復もしてるぞ。高火力で押し切らねえと消耗戦になる」

「ほ」


 ギャジーのぼやきに息が押し出される。


「お前見えてんの?」

「見えてる見えてる。何、スキルないと見えない感じ?」

「へぇ、後で詳しく。レラ! ヘイト維持よろしく!」


 モルトが獲物を見つけた目になった。ちなみにターゲットはギャジーだな。こと戦闘に有利なスキルってなると、根掘り葉掘り聞かれるのは必須じゃろうて。自分が対象でないんで後方腕組み仕草です。


 そうこうしているうちに、モルトの攻撃範囲まで敵が近づいてきた。私とエドはもっと近づかないと武器攻撃は届かないね。なんかねばねばしてるし大人しく遠距離から引き撃ちしよう。お、エドは空中からの飛びかかりか。水に落ちないようにしろよー。


 なんて、悠長に観察できたのはそこまで。

 エドの爪が触手に届き、モルトの剣が水面を薙ぐようにして攻撃を加え、灰雪さんの爪が根本に振るわれる。三者からの攻撃で、近くに切られた触手が散らばった。

 近づく前に見たときと同じように溶けた触手は、その場にどう考えてもやばめなフィールドを作り出す。


「っ!?」

「きゃっ」


 その範囲には全員含まれていて、ビリリとした刺激と身体に負荷がかかった感覚。とっさにデバフ表示を確認すれば、毒1の表記がされていた。


「【エリアプリフィケーション】! っち、【アンチトキシック】【アンチトキシック】! 飛ばせ!」


 ギャジーの声に合わせてデバフフィールドが消え、身体が軽くなる。

 とっさの判断でウィンドボールではなくただのウィンドを敵へ叩きつけ、こちらへ向かっていた再生した触手をのけぞらせることに成功した。


「くっそ、麻痺入った! 解除は!?」

「毒しか持ってねえ! 1くらいなら動けるだろ!」

「回避失敗の回復は任せたからな!」


 微妙に精彩を欠いた動きでモルトが剣を振るう。といっても切り飛ばしたら同じことになるので、牽制の意味合いが強い。


「エド! 大丈夫!?」

「ぐうぅ……びりびりするぅ……っれらは」

「私はまだ【緑の護り】が効いてるから…っ」


 立て直しのための現状把握途中で触手が寄り集まりレーザーのような光線が放たれる。散開して避けた跡地に着弾したそれは地面を抉り、水が流れ込む。水、みず……!


「ていっ」

「えっ、おっ」


 思いついたことを説明する前に実行! 散開で近づいていたモルトの背を蹴って湖に突っ込ませる。盛大な水しぶきとともに沈んだ姿に皆の注目が集まる中、すぐさま岸に上がってきたモルトが何かを言うより早く、デバフ欄を確認しろと告げた。


「……消えた」

「水洗い有効!」

「ひと声かけてからやれ!」


 ごもっとも。

 そんなやり取りの間、敵は待ってくれるはずもなく、集中攻撃を受けているレラのHPは減ったり増えたりを繰り返している。


「お前ら! 漫才やってる暇あったら早く討伐しろ!! ヒールにだってリキャストがあんだからな!!」

「あの…私も自己ヒールを……」

「ああ!? そんなことしなくても落とさねえよ! 安心しろ!」

「は、はいっ」


 台詞は頼もしいが口調で台無しである。ただ責められているわけでないのはレラに伝わっているんだろう。怯える様子もなく懸命に触手をさばいている。


 これは私達に非がありますね。はい。


 しかしやはりヒーラーが一人はいるだけで安定度合いが違う。こんな無茶苦茶やっても死ぬ気はしないね。


「モルト大技行ける?」

「条件が悪い。地道に叩くぞ」

「ヴウウ」


 灰雪さんもデバフを受けているのか苦しそう。だが頑なに水から距離を取っているので水洗いは出来ないかな!





誰がどう喋ってるかは雰囲気で察して

とくに重要じゃないのでテンポ重視しました

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― 新着の感想 ―
ストーリーも内容も楽しく、一気読みさせて頂きましたー! 続きを楽しみに待ってます(/ω\)
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