065. お呼び出し
うっかり更新忘れてたごめんね
やだやだいっても現実は変わってくれるはずがないが、現実のほうが向こうからやってくることはある。
そう、モルトが何かいってくる前にシェフレラ、レラからフレンドコールが来たのである。
ちなみにフレンドコールはチャット形態と音声形態とハイブリッドがあって、発信者が自由に選択できる。ハイブリッドはチャットと音声と両方使えるやつね。
基本ウィンドウは両方変わらないし、音声であっても文字起こし機能が、チャットであっても読み上げ機能が付随しているので、あんまり意識することはないかな。
多分みんな、特殊な事情がない限りハイブリッドから変更してないと思う。
『ホップさん、いま大丈夫ですか?』
『大丈夫。何かあった?』
『はい。家が出来て、色々開放されたんですけど、箱庭クエストで手伝ってほしいことがあって』
『いいよ!! こっちも助かる!!』
やったー! 一人じゃなかったー!!
ウィンドウをフレンドにも見えるように可視化させ、モルトに共有しながらドヤ顔をする。
「ほらほら! レラだって解放されてるし!」
「……そうみたいだな。よし、お前たち二人、俺のところに集合」
「承知!」
というわけでレラにも事情を説明してモルトの箱庭へ行くことに。
ちなみに手伝ってほしいことっていうのは、品質の高い果物を手に入れる、だった。
レラのところは果樹園があるらしく、他スキルを育てていて採取スキルがまだ低い彼女が、採取スキルの高い私に収穫してほしいってことらしい。
モルトの話の後でいくらでも収穫しますとも!
報酬は収穫物をいくつかってことだったので、楽しみである。まあ、葡萄はないってことだけど。でも林檎はあるらしいのでシードルが期待できますねえ!!
「なんだかんだで初めてモルトのとこ行くな」
「あー、まあ俺は戦闘の方が好きだし」
「素材集めいつもありがとうございます」
「アイテム作成いつもありがとうございます」
リモを頭に乗せながら他愛ない会話をはさみつつ移動。
ストゥーデフでの待ち合わせ場所へ行く途中、箱庭機能が解放されたところの事情聴取を受ける私。といっても普通に配信機能が解放されたときに同時に解放されたんで、心当たりがないかって部分ですね。ないです。なんならみんな、もう解放してそれぞれで進めてると思ってたんで。
無事にレラとエドを回収して、モルトの箱庭に到着。レラや私のところとは違って岩場が多め。
生えている草木も初期状態なのか違和感が強めに出ている。あ、でもうちと違ってモルトのとこ、草木が寒冷仕様だ。細長く鋭い葉が重なっている姿が目立つ。開始場所で違うのかなって思ったけど、所属を決めるのは箱庭作った後だったし、どちらかといえば環境設定に依存するのかもしれない。
「えっと、私も、ホップさんと同じで配信機能と同時に解放されたので……」
「なるほど……」
モルトとレラの会話を聞きながら箱庭マップを呼び出そうとしたけど、モルトのところでは呼べなかった。箱庭機能系は自分のとこのみで有効のようだ。
「それ以外で心当たりは? なさそうなら見て回って、違いを調べて欲しい」
「パッと思いつかん」
「私も……あっ、でも、私は結構、違う植物とか植えてて」
「あー、そうだね。モルト、ドロップした種ない? 適当に植えてみよ。お前のとこ、初期状態から植物増やしてないだろ」
「見て解るのか?」
「なんとなくね」
レラも頷いている。
エドは灰雪さんと追いかけっこをしていた。そっちに混ざりたい。あ、リモお前はそっちに行くんだ? 会話退屈だった? ずるいぞ。
「でもそれがトリガーになってるとは考えづらいんだよなあ」
「そうですね……配信されてる方の中でも、たくさん植えてらっしゃる方も居ますし」
「配信見るんだ?」
「はい、割と。素材加工とか、家を建ててるときの作業用に丁度よくて」
「なるほど」
ドロップ品をまとめてある場所から、種と思しきものを探し当てたモルトが戻って来る。
一応袋に詰めては居たようだ。そういうとこちゃんとしてるね。適当に放り投げてれば植えた判定になったかもしれないのに。
「まあ、やってみるわ。疑わしいの潰していけば違うっていうのも解るし」
「よっ! デバッガー!」
「誰のせいだ誰の」
実際問題バグではないだろうから、デバッガーは違うんだろうけどね。おれは雰囲気で発言している。
軽い応酬の中、私達二人の眼の前で、モルトは豪快に袋の中身を草原にばらまいた。
すぐさまフラグを回収するんじゃない!!
「ちょっとお! 節分か!」
「土いじるの面倒」
「だからって、え、あれ?」
「わあ、鳥さんだ!」
ばらまかれた種に向かって、どこからか鳥が群がってくる。それも一種類だけじゃなく、把握できる範囲でも五種類ほど。
「って、まてまてまて! 種食べたら生えないだろ!!」
「あー、それもそうだな。お前ら、後でやるから散れ、散れ。……いやいいわ、そこの食べていいからこっちは手出しするなよ」
モルトは再び別の場所へ種をばらまく。今度も節分スタイルで。
流石にこれで植えた判定は五分五分かなと思っていたらば、今度はどう考えても豚のフォルムの動物が群がってくる。っていうか豚だ。
そいつらが泥遊びでもするように器用に鼻を使って土を掘り返し、種の姿は瞬く間に見えなくなった。
いや耕作放棄地を耕すのに豚は良いといいますけど! なんで種に突撃してきたの!?
「見てくださいホップさん! エドが狼に乗ってこっちに!!」
「なんでもありかよ!! なんなのここ!? 動物王国なの!?」
「んー、なんか、機械のボス周回してたらそれぞれ集まってくるようになってな。世話は出来ないが好きにしていいぞって箱庭に入れたら居着いた」
「お前も大概おかしいよ!」
「普通に公開情報だわ。お前と違って適宜落としてます」
「筆不精でごめんね!!!!」
「お、なんか出た。生える速度か? これ?」
「タイマーみたいな丸ならそう」
ちょっと予想外のサプライズが過ぎて本来の目的を見失いそうになった。
そうそう。箱庭クエストその他発生条件を調べるんだった。
「広がっていくのは時間かかるので……どうしましょう?」
「そうだな、これ以上箱庭に手をいれると条件分かりづらくなりそうだし。他に思いつくことは?」
「なんだろ。クエストの種類?」
「調査、討伐、採取、みたいなあれか。でもお前より多い気がする」
「討伐の数が、だろ。レラは?」
「えっと、私はあんまり……その、ギルドでは受けてなくて。個人の方とか、ユニオンの方が多いです。種類は、どうだろ。調査多め? かな?」
「へえ、個人は解るがユニオンは珍しいな。ギルドのほうが報酬良いのに」
「あー、私もギルドはやったことないや。じゃあ違うか」
「……いや、ちょっと待て。二人ともギルドのクエストじゃなくてユニオンのクエストメインでやってるのか?」
「ギルド行こうと思うんだけど同時には受けられないし、消化する毎に追加が投げられるんだよね」
「私は、その、ギルドにあまり良い記憶がなく……いえ、ギルドそのものっていうか、場所がなんですけど!」
それぞれの答えに、モルトがしばし沈黙する。
ああ、確かに……ユニオンのクエストは誰も受けてくれないってケトゥンもぼやいてたっけ。
「そういや、チュートリアル受けに行った時、実績がどうとか言われたような」
「よし、今受けてるの消化してユニオン行こう。時間大丈夫そうならこのまま付き合ってくれ」
どうやら光明が見えた模様。
レラもエドも時間は問題ないってことで、この四人とぷらす二匹で検証の旅と参りましょう。




