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109. 花畑は幻惑の香り

 ティー・ロワイヤルのレシピをバーミリヲンに教えたらさっさと修復を進めろと尻を叩かれました(比喩)


 本当にそれはそう。土地を戻さないとお酒作れないからね!!

 実際の所ブランデーを持ってるか聞いたら、調合用に多少ある程度で飲むものではないと回答があった。あれかな……リアルで言うエタノールは飲まない的な。まあ飲み薬などに使うってことだから、口には入れられるのだろうけど、それはもう薬であって酒ではないよね。

 薬膳酒的なものだと飲む気も起きるんだけど、完全に薬は流石になあ。それを必要とする人を押しのけてまで手に入れようとは思わない。そもそもお酒は楽しむものですよ。


「で? それだけのために来たわけじゃなかろう」

「ああ、そうそう。普通に手伝いに。あとで種と交換して」

「ふむ。どれをやる?」


 バーミリヲンの言葉と同時に中空へいくつものウィンドウが表示される。

 ウィンドウごとにクエスト傾向が違っていて、左側が調合系、真ん中が魔法系、右側が栽培系とスキル系統で分けられている。ここで大元のバーミリヲンクエストでの推奨スキルに紐づいてくるんだよな。

 ざっくりとした分け方だから、調合の中にも魔法が必要なもの、魔法の中にも栽培が必要なものとそれぞれ関わりがあるものが入っている。そういう複数スキルが必要なやつは難易度も高いがクリア後の信用ポイント入手も高い。

 ハイリスクハイリターンよりはリターンが多めかな。

 たぶんスキル自体を持ってなくても、ここでクエストこなせば生えてくるとか……スキル取得の救済措置入ってそうだけどわからん。土魔法取得チャレンジしてみる?


 ちなみに信用ポイントが一番必要なのはやはりというか順当というか、錬金術師になるためのクエストを受けられるようになる権利なのだけど、これは信用ポイントを消費して交換というより稼いだ累計が規定数に達したら、だ。その累計は明示されていないが、バーミリヲンの信用度で類推することはできる。よくある好感度判定に近いかな? 信用度を上げればクエスト種類も増え、対応も柔らかくなっていく、らしい。


 なんで私がらしいとしか言えないのかって、どうも私は信用度を上げる前に好感度を上げてしまったようで、信用ポイントがまだそこまで溜まっていないのに、バーミリヲンの対応が現在信用度トップのパラトスと同じ感じだから。さっき紅茶をごちそうになったのだって、好感度特典みたいなもん。

 それを知ったN.N.とモルトが頭抱えてたね。エールズに相変わらずの人誑しとか言われたけど知らんわ。欲望に忠実になっている行動のどこに誑し要素があるねん。


 まあ、なので実はそんなに信用ポイントを持っていない。シェルテット希望の種を揃えようと思ったら多少稼がないと足りないわけだ。


「おすすめあるー?」

「全部」

「みんなそういう……」

『実際全て重要だからな』

「そうそう。あえて言うならお主は栽培スキルが一番伸びとるようじゃし、簡単なものなら栽培用地の雑草取り、ちょっと背伸びするなら土魔法が必要な土壌改善とかどうじゃ」

「土魔法持ってないんだよなー」

「補助用具貸し出ししとるじゃろ」


 これ、これよ。この補助用具なんてものが出てくるからスキル取得の救済措置かと思ってしまうわけ。

 実際、補助用具を使えば最低ランクではあるがクエストクリアすることはできる。スキル持ってなくても爆発したりもしないのだから、それだけでも安心。

 補助用具も色々あって、今勧められている土壌改善だとモノクル型で装着するものと、虫眼鏡型で手に持つタイプが有る。土の情報が見えるという効果はおんなじだが、内部の経験値の割り振りが違うんじゃないか、とはモルトの言葉。

 土魔法持ってたら魔力を通しつつもっと細かな成分を把握するとかできるらしいんだけど、それがないのでこういった外部装置に頼って表示させ、石灰とかなんかわからん薬品とか肥料とかを配合して指定の数値に近づけるというミニゲームをクリアしていくって感じかな。


 雑草取り? 単純に草抜いてくだけ。解散。

 一応、これも栽培がないと抜きにくかったり抜いた草が消えちゃったりするらしいから、栽培スキル持ちがやることにも意味はある……と思う。抜いた草は調薬にまわして肥料や薬品の材料になるというエコシステム。あと、これは推奨スキルに入ってないんだけど、採取知識とか植物知識とか、知識系あると有利な気がするな。間違って栽培中の薬草抜かないから。


 全部に通用しそうな鑑定というオールマイティなスキルは今のところないんだよね。

 所持スキルポイントに対してスキルの数が膨大だから、スキルポイントの貴重さと、スキルポイント無しで自力取得できる重要さが増していってるのが現状。

 クエスト報酬でスキルポイントがもらえるのは今のところ聞かないし、イベント的なものも開催される気配がないので、スキルポイントの取得って称号に付随する報酬か、スキル自体を育て上げたときに還元されるものかしかない。


「じゃあー、調合素材の下処理しよっかな」

「どれでもないとこ行きおったわ」

「今はなんとなく動かずできることがしたい」


 土壌改善も動かずできる範囲にギリギリかかってるけど、一回やったことがあるので目新しいものをですね。土魔法くん、しばらく眠っててくれ。


 クエストを受諾して作業場所に向かえば、うず高く積まれた花、花、花。一種類だけではなく複数種類の花がそれぞれ適当に積み上げられている。

 やることは種類ごとに適切な下処理……葉を摘んだり水につけたり乾燥させたりといったものなのだが、まずはこれ種類ごとに分類したほうがいいな。

 分けるだけなら爆発はしないでしょう。

 その後の下処理は……一回は補助用具無しで挑戦しよっかな。調合とか取れたら儲けもんだよね。


 やることを確認して作業に移る。部屋の中ではなくて、外の作業場所だからたまに風が吹く。これ、山になってるからいいけど数本ずつにしたら飛ばされそう。なぜ部屋の中ではないのか。部屋の中に持って入るのは、あ、出来ないんですね? 持って入ろうとしたら幻覚作用が強くなるのでおすすめできませんとアラートが……幻覚!? これ毒物なの!? ハイになる葉っぱじゃないか!


 ちょっと危険な予感がしてウィンドを使って顔周りに風を流しておく。マスクや防護メガネないから、それ代わりに。じみーにMP削られるなあ。


 軽く注視確認はしてみるが、それぞれ黄色の花とか赤い花とか色合いのみの説明だった。詳しく見るには植物知識とか薬物知識とか必要そうだねえ。

 しかし、これ風下のほう大惨事なのでは? それとも花本体から離れたら効果がなくなるタイプなんだろうか。そっちっぽいな、なんとなく。


「りゅっ」


 久しぶりに元気な鳴き声を上げたと思ったリモが、危ないなあと思った風下へ跳ねていった。地面に平べったくなって落ち着いたんだけど、もしもしリモさん? 流石にその距離は近すぎると思いますが?


「危ないぞ」

「りゅー」

「大丈夫なの?」

「りゅふ」


 テコでも動きません! という確固たる意志を感じる。毒物を浴びたいと……なんだろうか、もしかして毒性のある食べ物とか好物だったりする? レモンじゃなくて? そういや最近レモンそんなに欲しがらなくなってるな。


「あとでバーミリヲンにこの花の種分けてもらう?」


 まさかな、と思って聞いてみれば、めっちゃ小刻みに震えながら上下に跳ねられた。ちょっとまって本当に育てるなら危険区域として隔離したうえで防護マスク調達しなきゃ!!!!



幻惑の香り(リモ特攻)

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