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108. 仕事を作ろう

 大変です皆さん。社畜が増えました。


 まあそんな冗談はおいといて、我が箱庭に住人家族が増えました。五家族ほど。集落のキャパ的にはこれで1/3くらいかな。半分に足がかかってるかもしれない。

 こちら、案の定シェルテットが爆速で見つけてきましたよ。といってもそもそもアマヌスも原初復帰組?なので、その伝手を利用するため彼女を引っ張ってあれやこれやしてきた模様。

 私は箱庭のドアマンと化していた。アマヌス、クラヴィンで外と出入りできなくなってるからね。

 で、ちょっと不自由なところがあるけどお試しってことで過ごしてもらったんだが、思ったより感触は悪くなく、このままここに住みたいということで。正式に移住手続きや何やら行いました。シェルテットが。


 そして冒頭に戻る。

 いくら外の土地がないから都合が良いとはいえ、やっぱり、住んでる以上何かしらの対価を払いたいと。私としては変なホラーになっちゃった集落がちゃんとした集落になることが報酬なんだが、それって結局タダで住んでるってことになるわけで。

 みんな真面目だな……もらえるものは貰っとこ〜!! でいいんですよ!


 そういった背景もあって、住人の仕事を探そうとしているのです。


 っても、やりたかったこと全部できるようになってるんだよなあ……。

 造園も建築も養蜂も植物栽培も鍛冶も運営もあるし、足りないのは薬品とか料理くらいだけど、料理はそんなに困ってないし、薬品は適正がないと振れないし。

 移住してきたのはなにか特色がある才能持ち、というよりは、本当に一般人って感じの人達なんで、出来ることは料理や農業や清掃っていうスタンダードなものなんだよな。

 海の側だから漁が出来たらいいのだが、まずは魚が居ないしそもそも移住者たちの中に漁村出身はいない。まあ、記憶がないだけかもしれないけど。


 そんな状態なもんで、何もやることが……ない!! こう考えると結構トントン拍子に必要要素が揃ったんだな。

 うーん、やれることがないならば作りましょう。考え方を変えまして、それぞれの技能からやってほしいことを捻り出す方向へ。


 攻略に必要そうな目新しい要素としてはバーミリヲン関連。

 錬金術の開示はまだ見合わせている状態なんだけど、身内メンバーしか島に案内していない関係で進捗具合はそこまで早くない。そのうち全プレイヤーへ開示することになるだろうが、パラトスが錬金術師になれるかどうか判明してからかな。

 リーナの方で開始条件の知識管理施設での一幕は流したそうだけど、その後たどり着けた人はまだ居ないみたい。秘匿されてたらわからないけども、同じ島では身内以外見たことがないのでいないんじゃないかな? インスタンス化されてて別軸でイベントが進んでいる可能性も無きにしもあらず。


 なにも攻略のために出稼ぎにいけー!ってなわけではなくて、バーミリヲンからの細々としたクエストを達成すると、信用ポイント的なものがもらえまして。これを消費して報酬を受け取る仕組みなんだが、種をもらうことも出来るんだよね。

 まあ、彼女いわく、いまは発芽するかしないか賭けみたいなもん。なので、割と交換レートはお安い。種類を指定することも、ランダムで適当にガチャることもできる。ここでもガチャ要素入ってきたよ……幸運を信じろ。

 交換レート的に、このゲーム特有のものはお安め、名前から内容が想像つくようなやつはお高め、ガチャはその中間って感じかな。ゲーム特有のほうが安いんだ……ってなったけど、運良く育ったとして使い方がわからないからかな?


 そんな条件ですが、ほら、住人ならゲーム特有のものであっても利用方法知ってるかもでは? と思ったわけです。幸い、みんな菜園とか農業とかの栽培系スキルはあるんだよね。そのものズバリ栽培スキルは持ってないんで、種類特化なのかな? なにげに栽培さんの範囲は広かった説。


 ここまででお解りですね……そう、実験農場を作ろうかと!!

 仕事がないなら作ればいいじゃない! 試行回数を増やして発芽チャレンジだ!!



 ***



「いいんではなくて?」


 思いついたら即行動、ということでシェルテットに話を持っていきました。元々食料自給のために、農作物系が栽培できるひとを優先的に迎え入れていたとのこと。有能。

 食事、お肉だけだと偏るもんな。アマヌスにはうちの家庭菜園で採れたものお裾分けしてるけど、集落丸ごとは量が足りないし。

 色んなところにいろんなものは植えてるが、やっぱりよく使うものは自分で育てた方が便利。


「これが成功したら他の人も迎え入れましょう。やはり食料がネックになっていましたから」

「そうなんだ……諸々任せた」

「集落は拡張しても?」

「え、これ以上増やすの??」

「あまり箱庭に迎え入れている方がいらっしゃらないそうなんですの。人は増えるばかりですし、それ自体は喜ばしいけれど外の土地は有限だわ」


 シェルテットの言葉に集落の方向を眺める。現在自分たちがいる場所は集落から少し離れた所で、水源をどうしようかと測量していたそうな。飲水は確保されてるけど、農業するならもうちょっといるよねっていう。なんか先回りして作業が進んでて末恐ろしいぞ。これが管理能力。


「んー、あそこそもそも利便性無視して作ってるんだよね……周辺環境が良さそうなところにイチから作ったほうが良くない?」

「それでも構いませんわ。ではこちらでいくつか候補をピックアップしておきますので、あとでご覧になってください」

「あ、はい」


 どうしよう、私にも仕事が増えた。いやまあ、仕事っていうかゲームだからマイペースに作業できるのでプレッシャーはないはず、なんだけど、シェルテットが言うとなんか圧を感じてしまう。うん、まあ、まだ建築スキル一次カンストしてないし、作業があるのは嬉しいんですけどね。大抵のものはアマヌスが作っちゃうだろうし倉庫的なものとか外壁とか任せてもらおう……。


「いつごろ種は入手できそうなんですの?」

「え、ええーっと、軽いものならこのあとにでも……?」

「必要そうなものをリスト化します。上から順に優先度で並べておきますのでお願いしますわ」

「な、なかったら????」

「それこそ上限いっぱいランダムで交換すればよいのでは?」


 淡々と計画が詰められていって、リストを貰って箱庭から追い出されました。いや、私が逃げ出したともいう。

 もっと、もっと力抜いてゆっくりやろうよぉ!

 シワシワの顔になりつつ任務を果たそうとバーミリヲンの下へ向かえば、外の広場にテーブルと椅子を設置して優雅にティータイムをしている二人……一人と一匹に出会った。煙のように流れる湯気が、こっくりとした香気を運んでくる。


「なんじゃ湿気た顔しおって」

「ああ、やっほー」

『息災で何より』


 手招きされ椅子に座れば、バーミリヲンが飲んでいるのと同じものがサーブされた。アブチロンは静かに身を横たえているが、ようやく目を覚ましたリモがその背に飛び乗る。ここのところずっと頭の上か肩で寝てるんだよな。行動は一緒にしたいらしくて、置いてこうとすると起きて飛び乗ってくるから、最近はインしたら頭に乗せるというのがルーティン。


「ああー染み渡るぅ……」


 いただいた飲み物は紅茶だった。赤茶ではなく紅茶でしかもミルクティ。まあ緑茶があるなら紅茶もあるよね、って感じではある。栗のような香りがしているから、フレーバーティ的なものなのか、そういった種類の葉っぱなのかも。味に砂糖や蜂蜜の甘みはなくて、優しい乳の甘みだけ。するすると飲めるね。


「ブランデー垂らしてティー・ロワイヤルにしたいぃ」

「お主、ブレんな」


 ブランデーは知っていたようで、お褒めの言葉をいただきました。あとでリアルのレシピ教えてみよう。




濃いめの紅茶にスプーンに乗せた角砂糖にブランデーを染み込ませ火をつけ溶けたら混ぜるのがティー・ロワイヤル

ミルクティではあんまやらないけどそっちでも美味しいと思うんだ

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