THE HAPPEN’s‐4‐
「やっぱり名前大事だよな」
俺たちは帰りに学校近くのファミレスに入った。達平くんが加入してくれて、涼汰がお祝いしたいと半ば強制的に連れてこられた。だけれど、こうして放課後ファミレスに集まるなんて青春な気分だ。
「バンドメンバーも集まったんだし、バンド名決めたいじゃん?しっかりとインパクトのある感じのやつ!」
「なんかざっくりしてるね」
「涼汰くんらしいけど...」
「だから!今日はバンド名考えよう会議を開催しようと思う!」
涼汰の勢いに圧倒されそうだけれど、確かにバンド名は重要だ。覚えやすさ、言いやすさ、キャッチ―感、唯一無二感...どこを優先するかでもどんな名前にするか変わってくる。それに、他のバンドと名前が被らないようにしなくてはいけない。
「なんかいい案あるかな...」
「今ポテト食べているから、フライドポテトとかにする?」
「涼汰くん冗談だよね...」
「ごめんごめん、でも覚えやすい感じがいいよなぁ...。奏は何かいい案ある?」
「そうだね...俺は、バンド名にTHEは最初に付けたいかな」
「ビートルズとかストーンズみたいな感じか!かっこいいな!」
「じゃあ、THEの後に何をつけるかですね」
「色々あるから難しいなぁ...うーん...」
メンバーで色々意見を出し続け数時間、窓の外が薄暗くなってきていた。大事だからこそしっかり話し合って決めたいところだ。
「あーーー、なかなか決まらないなー」
「難しいですね...」
「なんかこう順調に色々起きてたから、バンド名もパッと浮かぶと思ってたんだけどなー。難しい」
「あの...僕思ったんですけど」
「どうした?達平」
「僕、バンドは永遠に続くものじゃないから加入したら解散も付き物だってそう考えて、バンドをまたしたいって思えなかったんです。だけど、2人が楽しそうに演奏している姿を見て、たとえこの時間が永遠でなかったとしても、何か起きるかもしれない。この2人とだったら何か起こしていけるかもしれない...そう思ってこのバンドでベースを弾きたいと思いました。何か起こす、起こしていく、そんな意味を込めてTHE HAPPEN'sて言う名前はどうでしょうか?」
「THE HAPPEN's...」
「おお!いいな!!すごく覚えやすいしかっこいい!!うん、もう気に入った!」
「達平くんすごいよ...。ありがとう」
「これでよりバンドらしくなりますね」
THE HAPPEN's始動