街のヒーローと後方サポートガール
名前は日本風で時は現代ですが、現実世界にはいない能力が存在しているのでパラレルワールドのタグを付けました。
連載の作品の息抜きで企画のテーマをベースで書いた作品です。せっかくなので応募に入れました。
楽しんで読んでいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
都会というには小さくて、田舎というにはそれなりに人口が多いとある町。多くの警察を置くには小さすぎて、すべての隣人の顔を覚えるのに大きすぎる町。だからなのか、町の治安がずっと悪かった。事件までは滅多にいないが、リンチやカツアゲのようなことは毎日のように起きていた。
その夜も、女子高校生が不審な男に迫られていた。女子高校生は何とか逃げようとしたが身体能力の差に苦戦としていた。
「ぐへへ。こんな時間に出歩いてるのが悪いんだよ。お嬢さん。さあ、大人しくついてきな。天国に案内してあげるからさ」
「……っ!」
女子高校生、名は平田友希江、男に弱みを見せないために悲鳴を出さずに男を睨んでいた。そうしてもこの状況から脱出ための方法はなかった。そう分かっていても平田は男に屈することを拒み怖くても目を閉じることはなかった。
そして、男の手が自分に触ろうとその時、男は突然横に飛んだ。いや、ぶっ飛ばされていた。不審な男がいた場所には、暗いからよくは見えなかったが別の男が立っていた。平田はその男に感謝しようとしたが、男は何もせずに不審なの男を引きずってどこかに行った。
平田はただ呆然としてその出来事を見ていた。
翌朝
平田は通っている国立高校の門前に立っていた。次々に登校する生徒たちに挨拶しながら彼女はある人を待っていた。予冷の数分前、平田の待ち人がようやく姿を現した。
「おはようございます。影山洋助さん」
「...っはよう」
平田の待ち人、男子生徒の影山はフルネームで呼ばれることに少し驚いたが、深追いをせず挨拶を適当に返してそのまま校内に入った。平田はただその背中を見つめていた。だが、その時に彼女は確信を得たのだった。
その日の昼、平田は影山がいつも一人で昼ご飯を食べている所に訪ねてきた。影山は彼女の登場にいやな顔になった。
「今朝よりひどい挨拶ですね」
「いえ、すいません。生徒会長さんはなんか自分に用っすか?」
「ええ。昨夜のことだけど」
「人違いです」
「貴方、正体を隠す気あるのかしら?まあとにかくありがとう。そう言いたいだけよ」
「違うと言ったんだけどな。まあ、なんのことか分からないがどういたしまして」
「言い終わる前に否定されたら逆に肯定としてとらえるのが当然だと思うけど素直に受け止めているからいいか。あ、それでお礼に...」
「あ、そういうのはいいんで。ホントに大丈夫だから」
「なんでそんなに警戒されてるのかしら?」
影山は平田が何かを差し出そうの時体の向きを変えて少し引きずっていた。完全に平田の事を警戒としていた姿勢だった。平田はそんな影山の態度を見て呆れながらも気にせずに彼の隣に座り影山にお礼の缶コーヒーを差し出した。
「私のおごり。コーヒーは大丈夫の方でしょう?」
「ええ、まあ、ありがとう」
「お礼にお礼言われたら意味ないでしょう。というか釈然としない感じですね。これでは足りません?まあ、命の恩人だしやはりもっと…」
「いや、いい。これでいい。命の恩人とか知らないけど、知らないうちに平田さんを助けたなら絶対大したことではないし」
「必死ですね。ええ、助かったからもらってください。せっかくだから私もここで食べますね。あまり時間が残っていませんし」
そう言った平田は持ってきた弁当を開けて食べ始めた。影山は戸惑いながらも食べかけた自分のごはんを改めて食べ始めた。
「それで、なんでそんなにお礼をもらうのが嫌なのですか?今まで助けてきたお嬢さんたちと何かありました?」
「話続くんだ...嫌ってわけじゃないんだけど。大げさにお礼されたのはちょっと、重い。あ、これは別にオレの話じゃないから。助けたお嬢さんたちとか知らないんで」
「往生際が悪いですね...しかし、大げさではないでしょう。命の恩人だもの、それこそ惚れてもおかしくないと思いますが」
「命の恩人ねぇ...そんな大したことをやるつもりはなかったけどな」
「ようやく認めましたね」
「は、しまった!くそ、謀ったな!?」
「いいえ、ただの自爆でしたが」
「そこは自白だろ!?オレ爆発してねぇけど!」
「失礼。かみました」
影山はうろたえていたが平田からしたら見え見えな隠し事だったのただ影山の態度にジト目で見ていただけだった。ようやくあきらめたのか、影山はため息を吐いた後に語った。
「オレは人助けするつもりはない。ただ...力を持っている。それを使う所を探していたら結果人を助けることになっただけ」
「なるほど。趣味で人助けをしているというものですね。分かりました。ハゲるのですか?」
「ハゲねぇよ。なんでそうなるんだよ。まあ、言った通り趣味みたいなものだ。だから、大げさに感謝されるとなんだか楽しみが薄くなって人助けに義務感を感じることことになっちゃうんだよな。そういう期待で見られているから、重い」
「二回言いましたね、重いって。言葉選びはどうかと思いますけどそれは大変ですね。あ、ハゲるのはどこかで読んだ話だから気にしないでください。主人公はハゲたけど最強のヒーローでしたよ。あ、そうです。ヒーローですよ。仮面やコスチュームとかで正体を隠せばそれが影山洋助だなんて思う人はいない思いますよ。なんて...」
平田は半分冗談で言ったつもりが、影山は、その手があったか!、と言わんばかりに自分の掌をもう片方の手で軽くたたいた。そして先に食事を済ました影山は早速その場から立ち去った。平田はまたその背中を呆然と見ていただけだった。
「...冗談、なんですけどね」
数日後
町にはヒーローの噂が広まっていた。曰く、悪さをしていた悪漢たちを成敗してくれる。曰く、火事になった家の中に出られなかった人を助けてくれる。曰く、川に流された子供を助けてくれる。等々。
平田はそんな記事を載っていた学校新聞を生徒会室で読んでいた。件のヒーロー、影山も同室で椅子に疲れているように座っていた。
「街のヒーロー現る!ですって。凄いですね」
「ほんとだな。ひいろおかつどうなんてものずききなやついるもんだ。ハハハ」
「棒読みにもほどがあるでしょう。それで、珍しくこんな場所にきて何かありましたか?」
「いや、その...みんながヒーローの話をずっとしていてな...」
「なるほど。いたたまれなくてこちらに避難しましたか。さてはあなた、バカでしょう」
「バカはひどすぎるだろ!?元々はお前のアイデアだぞ!」
「私は冗談だと言うつもりでしたがね。仮面で正体を隠しても結局はそれが自分のペルソナの一つなのだから、褒められたのが自分自身ということは変わりませんよね」
「それをもっと早く言ってほしかった。はあ。まぁ、直接オレの話にならないのが前より楽だからいいか。なんで、ほらよ」
影山は呆れて吐息をしながらも平田に感謝を述べ彼女の机に缶コーヒーを置いた。
「これは?」
「差し入れでお礼だ。助かったのは確かだからな。コーヒー、いけるクチだろう?」
「大したことした覚えはありませんが、まあありがたく頂戴しますか」
「おう、そうしとけ」
平田は缶コーヒーを開けて飲んで、影山は先ほどの椅子に戻り雑に座った。少し気が楽になったようだと見て平田は影山にある話題を持ち出した。
「ところでこの前の悪漢、彼の”薬“の仕入れ先が分かりましたか?」
「...そういえば平田さんや、この前真夜中に町を出歩いていたのはなにゆえなのか聞いても?」
「え?最近町に配られている“薬”の調査ですが」
「ですが、じゃねぇよ。女子高校生が危ない事件に首を突っ込んでいけないの。お兄ちゃんの言うこと分かる?」
「貴方に言われたくありませんね。それとも何、男子高校生ならいいの?差別反対、です。後、誰がお兄ちゃんですか?ハゲの兄なんて願い下げです」
「あのなぁ、男女とは関係なくてでね、オレは自分の身を守れるからいいの。ってかハゲねぇつったんだろコラ!え?お前コレ、なんだこりゃ?」
影山はノリで平田のディス発言に対して彼女の机まで追い詰めるとしたが、彼女の作業パソコンの画面を見て思わず素に戻った。平田はそんな影山の疑問を何喰わぬ顔で答えた。
「え?町の監視カメラの映像ですが」
「だから、ですが、じゃねぇーんだよ。まさかコレ、ハッキングというやつか?」
「そんなまさか。私にそんな技術は持っていませんよ。普通に警察の方からアクセスをもらっただけですよ」
「悪い。オレの認識ではほいほいと監視カメラのアクセスをもらうのは普通ではないと思うが、どうよ?生徒会長さんよ?」
「はて、どうでしょう。そもそも普通という概念は人それぞれが異なる認識を持つだと私は思います。まあ、私が生徒会長だからなのでしょう」
「生徒会長ってそんなに権力持ってんの?」
「国立学校の生徒会長だから?」
「ぜってー違う。もういいや。なんでこんなことやっているんだお前は?」
「なんで、ですか。そうですね...あまり考えたことはありません。ほぼ好奇心で動いていたからですね」
「お前な...それが危険だとー-」
「ただ、“薬”のせいで人生が崩壊した人を見ました」
「......」
最後に自分の言葉を上乗せられて、影山は黙った。そして、影山は問うのも疲れたとの様子で後ろ頭を掻きながら机から離れた。そんな彼を平田は見つめていた。表情は変わらないが、彼女は決意し影山に言った。
「影山さん」
「平田」
これにはさすがに平田も驚いた。同じタイミングで影山はいきなり振り返り自分の名前を呼んだ。影山も同じく、二人はしばらく黙ってお互いを見つめていた。それがおかしくと思ったか二人ともやがって笑い出した。おそらく、二人は同じ考えで相手の名前を呼んだなのだろう。それに気づいた二人はただ笑っていた。
気が済むまで笑った後にさっきまで言おうとしたことを言わずに二人は突然か必然か別の話に、いや、最初の質問に戻った。
「あの夜の野郎はハズレだ。”薬”は仲介からもらっている」
「やはりそうですか。では次はその仲介を調べないとですね。悪漢から仲介の身元は分かりますか?」
「名前は知らないが、特徴は...」
影山と平田はそれぞれで調査した結果を共有した。影山は現場で使用者たちから得た情報、平田はコネで警察署から得た情報を照らせ合わせした。すらすらと話した二人は答え合わせしながら、次の一手を決めて、作戦を立てることをした。二人だけの秘密作戦。
そうだ。二人はお互いに協力を頼もうとしていた。不思議な身体能力を持つ影山、街を走り回り悪漢たちを相手できるが情報分析するためのデータは持っていない。逆に平田は市役所や警察署に不思議なコネを持ち、なぜかそのデータや監視カメラのアクセスまで取得ができるが、身体能力も低く戦う力もなく現場を回っても体力不足で対応できずにいた。だからお互いが協力を乞うのは不思議ではないが、彼らから見ると同じ気持ちを持つ人など稀なのでしょう。だから、二人は笑っていた。笑いながら作戦を立てていた。友達と悪巧みをするかのように。
いつの間にか、二人は事件の元凶を突き当てて警察と一緒に真犯人を取り押さえるために、彼が上玉のお客との取引する現場で待機していた。
「なんでこんなことに...」
『活躍しすぎですね。まあ、私も警察との連絡役とかで大掛かりに活動しすぎたと思いますが』
影山はヒーローコスチュームを着ていてトランシーバーで生徒会長室でパソコンのモニターとにらめっこしている平田と会話していた。
影山も警察とは無縁じゃなかった。彼が街道で趣味で人助けしているのは巡回の制服警察官とは顔見知りであった。だから彼がヒーローとして活動しているのも知っているしいざ連携の作戦を行うと計画はスムーズに進めた。
『別にいいじゃないですか。聞いたら貴方のような“気”使いは結構こんな作戦を手伝うことが多いらしいですよ。有名なのは桜ヶ丘高校の人たちですかね』
「あいつらの事ならオレも知っているわ。ガキんときから覚醒したり、家が代々”気“使いの武術家だったりの人たちだろ。オレよりレベルが段違いだろうが。あいつらに比べたらオレは覚醒が最近で通りすがりの“気”使いからちょっとした師事をもらっただけのひよっこなんだけど」
『相変わらず往生際悪いですね。作戦を立てていた時にあんなに生き生きしていたのに。あれですか。悪戯は計画するまでが楽しくていざ実行するときにビビる小学生ですか。後で私に責任を押し付けないでくださいね』
「誰が小学生だ!責任はちゃんと自分で背負うわ!大人だもん!」
『はいはい。それならお姉さんも安心しましたよ。ほら、あっちらさんも動き始めたよ。シャキとしなさい』
「ううぅ。もっと優しい姉ちゃんが欲しいわ。ったく、しゃーねーな」
影山はダルそうにも立ち上がり顔を引き締める。出動するときの内のスイッチが入った顔であった。
「そんじゃまー。いつも通り、OPを頼むぜ。平田」
『ええ。私の分まで暴れてくださいね。影山さん』
平田も平田で、いくつかのモニターを前に些細な情報を見逃さず影山をサポートするために姿勢を正した。
今夜もまた、街のヒーローは後方サポートガールの支援で町の平和を守っていく。
「聞いて驚け!悪党ども!今夜はお前たちが外の空気を吸える最後の夜だ!なぜならお前らの悪事はこの、Shadow M.が暴くからだ!わははは!」
『前から思ったのですが、Mって何ですか。そいう趣味ですか。え、貴方そんな趣味なの?引く』
「違うわ!MountainのMだっつーの!」
『うわー。小学生みたいなネーミングセンス。二文字で略するとSMですか。やっぱり引く』
「もうお前黙れ!」
***
町の国立高校にて、時間が夜になってもたまには生徒会室の電気はついた日がある。あそこには関係者しか知らず、ヒーローの後方支援を行う女子生徒が街のヒーローをサポートしていた。一仕事終えると彼女は自販機に行って缶コーヒーを買って生徒会室に戻る。
その日には一人の男性生徒も夜に学校を訪れ生徒会室に足を運んだ。その男子生徒こそが関係者しか知らず街のヒーローである。彼は作戦を終えた後に必ず帰る前にここに来る。部屋にたどり着く前も決まって自販機で缶コーヒーを買っていく。
生徒会室に男性生徒が入ると女子生徒は何も言わずにただ笑顔を見せていた。男子生徒も同様で、さらにその足を彼女の作業台に近づく。そして、男子生徒は女子生徒に、女子生徒は男子生徒に自販機で買った缶コーヒーを差し出した。
「「お疲れ様。今日もありがとうな」」
お互いを労い合って感謝を述べた。お互いがお互いのできないことを補う関係から始まった。その初心を忘れないためにこれからもやると、どちらからも提案はなかったが、お互いが心で決めた相手。ならば切実な気持ちは心に秘めて大げさせずに大事な言葉だけを贈ろう。なぜなら二人は同じ思いを持つ相棒なのだから。