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飛脚の黒彪  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第一話『幻の飛脚走り』
4/10

#4

 授業が始まり、校庭の直線トラックでは男の子達が走っていた。その中には彪太郎と金光もいて、それを見るクラスメイト達は様々な反応をしていた。金光に黄色い声援を送る女の子達、そして、大爆笑しながら彪太郎を馬鹿にする男の子達。

 それもそのはず、綺麗なフォームでトップを独走している金光と、左右の手足が一緒に動いた奇怪なフォームで最後尾を走る彪太郎が、あまりにも対照的で特に目を引くからだ。


『キャーーー‼ 金光ク~~~ン』

『いいぞー‼ 彪太郎~‼』


 冴子も男の子達に混じって彪太郎を指差し、声を上げて大笑いしている。


「ちょっと、冴子ぉ・・・・・・」


 隣に座る美嬉は口元に手を当てながらも冴子を(たしな)めるが、


「だって、ロボットみたいじゃ~ん!」


 と、彼女の彪太郎に対する嘲笑は止まらない。


「くそぉ~、こんなはずじゃ・・・・・・」


 彪太郎は真剣な表情で、涙を滲ませながら悔しがる。



『彪太郎は昨日の裏山での特訓を思い出していた。半袖短パン姿の彪太郎が、超人アスリート列伝の高地トレーニングが書かれたページを開いている。


「体内にたくさんの酸素を取り込めるようになるトレーニングか」


 彪太郎は山道から見える住宅街を見渡した。


「ここが、この街で一番高い山だ。よぉし、ここで練習して、一ヶ月後の持久走大会では皆をアッと言わせてやる」


 裏山の平地で秘密の特訓をしていた彪太郎。彼は左右の手足を交差させて歩く。


「歩くのはできるんだ。だから、走るのだって、できるはずさ!」


 手足を交差させたフォームのまま、彪太郎は走ってみるが、次第に手足が一緒に出てしまう。』



 彪太郎は直線トラックを懸命に走りながら唇を噛み締める。


(ちゃんと練習したのに・・・・・・どうして直らないんだよぉ!)


 歯を食い縛って心で叫ぶ。その瞬間、


「うわっ!」


 左右の足が交差して絡まり、ダイビングヘッドで滑り転んだ。


「あっ・・・・・・‼」


 美嬉はハッとなり彪太郎を見つめる。


「くそぉ・・・・・・」


 砂にまみれた顔を上げる彪太郎。その姿を見て周囲が大爆笑をする。冴子も腹を抱えて笑っていた。金光も首を振って呆れ顔をしている。


「夏輝君・・・・・・」


 美嬉は心苦しそうに胸に手を当て、心配するように彪太郎を見つめていた。


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