7 ポンコツステータス
念話の場合、今後サイが話す時、便宜上”*”を、タケオの場合は、”>”を頭に付けて区別しました。
俺は焦っていた。半年間 お掃除大作戦を敢行したが、全く成果は上がらず、謎のスキルを覚えるのみで全く進展しなかったのである。
毎日のステータス確認を行う。
名前:テル
種族:人類
ジョブ:廃人
HP 1/1
MP 0.99/1
筋力:1
耐久:1
俊敏:1
魔攻:1
魔耐:1
知力:1
幸運:0
スキル:ステータス表示、
生活魔法クリーン、マルチタスク、並行思考、マルチスレッド、高速分析、高速処理、聞き耳
技能:すり身(中級)、掃除(達人級)
※技能はMPのいらないスキルのことで、魂の力と肉体の力の融合
加護:(神の呪い 10才の誕生日に幸運値マイナス1万)
称号:
と表示されると言っているが、これ以外に灰色になって押せないメニューバーなどのボタンやリンクが沢山ある。意味が解らないので放置である。
ただ、このステータスは、良くフリーズしたり、色々なところが点滅する。早くなったり遅くなったり、クローズと念じても中々閉じなかったり本当こいつポンコツである。
イライラして画面にあたってしまった。
「お前 本当にポンコツな!」
そうすると、名前の所で勝手に点滅していたキャレットが、二回点滅して止まった。
・・・・・何か変だな
「お前 本当は頭いいの?」
そうすると、一回点滅して止まった。
・・・・・これ何か訴えてる?。
「何かして欲しいことある?」→一回点滅
「画面閉じていい?」→2回点滅
「こちらが見える?」→1回
そこで50音のあかさたな表15X5を作った。濁音も忘れずに
順に点滅で確認していくと、
「らいとさいどすくりいんとねんじる」
「ライトサイドスクリーンと念じるでいいのかな?」一回点滅
そして念じるといろいろな機能の画面が出てきた。あいうえお順に並んでいたが
画面左端にカーソルが点灯していた。
あかさたな表でまた確認を繰り返した。
数画面押していくとリンク会話画面の中にボリュームがゼロになっているので最大値まで上げた。
すると、
*初めまして マスター わたくしGNSSAIと申します。*
頭の中で10代後半の女性の声でしゃべった。
*マスター 私は、あなたの行動を補助するナビゲーションシステムです。
私に自我は在りません。あなた自身ですから、頭の中で話しかければ応答できます*
>ひょっとして俺のしたことは全て見てるの?
*ナビゲーションシステムですから*
何か納得できない部分もあるが、自分自身じゃ仕方ない。今後健康的な男の子が大人になるための発電行為をした場合、声が女の子だとなんか背徳感があるが、男だったら小象ちゃんはパオーンしなくなる。困ったもんだ。
ん?よく考えたら自分なのに女の子の声なのはなんでだろう?
*それは、マスターの願望です*
ああ、健康な俺ならそりゃ女の子の声がいいわなと妙に納得してしまった。
なぜか話していても驚くことなく受け入れている自分に違和感はあるが、嫌な感じはしない。
>まず、なぜ君が付いているのか教えてくれ
それから、今までの事が頭に入ってきた。
要約すると。
GNSSAIは、最上級神が使用していたナビであったこと。
この度、新しいNEW―GNSSAIが出来たことから引き継ぎが終了し、廃棄処分となったが、あまりにも優秀なシステムであったため、中級神が保留し利用方法を模索していたところに俺への投入が決まったようだ。
GNSSAIは、単なるスキルではなく魂に付着し脳の成長にリンクしながら、サポートする唯一無二のスキルとのこと。つまり世界で一人しか利用できない。
今回、移植された背景には上級神から名前が変更可能にすると軽い気持ちで命令があったが、ステータスに出ている名前は真名と呼び、魂に刻まれた固有名である。
真名を変更することは、最上級神以上でないと変更できなかったがGNSSAIだけは補助者として出来たため投与された(権能がないので自分の名前だけしか変更できない)。
GNSSAIは、数百の世界を同時並行で管理・運用代行を行う究極のシステムである。
最上級神の権能代行を行使すれば、数個程度の世界なら一瞬にして中級神以下 全滅・改変(消滅・創造は出来ない)ができてしまうもので、決して人が保有すべき能力ではない。
そこで、マイステータス管理表示機能、他ステータス表示機能以外の全能力を削除された。削除率99.999%である。いかに膨大な能力を持っていたかわかるだろう。
しかし、魂と脳に付着するシステムであるため、物理的にリンクするシステムの共有部分を削除することは出来なかった。これがリンクコミュニケーション能力をボリューム0にした理由であった。
サイの現状を例えるなら月が頭で手足が蟻ぐらいの態をなしている。
なんか話を聞いていると俺より酷い扱いを受けているような気がする。最上級神の権能を代行・管理しているものがいきなり廃人のステータス表示機能にされたのだ。
99.999%って数字は、品質管理なら5Σに近似する数字だ。
純金だって99.99%だ。
その残りカスが俺に与えられたシステムと考えると何とも俺とこいつのカスっぷりは純金についていても無視される程度の存在だ。
やっぱりこいつポンコツだった。俺もポンコツだった。
そうだ俺たちポンコツコンビ何があっても生き延びてやる!と意気込んだ。
タクヤと別れてはじめての相棒ができた。
GNSSAIでは言いづらいので、”サイ”と名付けた。
何でもいいと言っていたが、なぜかコイツが嬉しそうなのが伝わってきた。温かい波動でルンルンしている感じだ。
俺は本当にうれしくて、その日は野山をかけ廻った。(ミイちゃんの匂い付きで)
ヒャホーーといいながら「サイ サイ」と叫びながら走っていたら野つぼに落ちた。
ここが中世ヨーロッパぐらいの文明だということを身に染み込まされて教えられた瞬間だった。
家に帰った。エンガチョされた。
服は燃やすと近所迷惑になるので、川に捨てた。麻100%なので自然に帰るだろう。1週間ぐらい匂ったが、家族は1Mの距離を保ちながら生活していた。
ちょっと失敗はあったが、俺にとっては100万の兵を得た将軍の気分だった。




