60 炊き出し改造計画
―― チューー・チュチュ・チュン・・チューー・チュチュ・チュン ――
ああ、異種恋愛、レベル高いな。
昨日は、“未亡人シリーズ第5弾 配達人と妻”だった。
結構、肉体系は、きつい。
次の配達もあるので、玄関先で短時間での攻略が難しい。
次の配達が終わると戻って速攻を決めまた配達。
マリオンから、「これ、失敗ね」と駄目だしと言うより没になってしまった。
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俺達は、今、組合長と今後の炊き出しについて、議論をしている。
組合長
「えー、今回、領主への嘆願書は棄却されました。
えー、尽きましては、タケオさんの支援体制の継続をお願い致します。」
タケオ「組合長、棄却された理由は何ですか」
組合長「理由は聞かされていません。恐らく、領主の娘が公爵家へ嫁ぐため、金が掛かり、増税を考えているのに、出費は出来ないだろうと噂話に聞きました。」
タケオ「私としても、今は援助できますが、冒険者ですからいつ出来なくなるか、又はここを離れるかは分かりません。
組合長は、そうなった場合、どうしますか」
組合長「その場合は、昔に戻すしかないですね」
タケオ「うーん、では、私がやり方を変えてもいいですか」
組合長「場合によりますが、元々の趣旨、食べれないものに救済をの気持ちがあれば良いと思います。私もその気持ちだけでやってきましたし」
という事で、改造計画を立てようと思う。いや、立てない。行き当たりばったりになるが、収支出るばかりの事業は、いつか破綻する。バランスと発展が大事だ。
先ず取り敢えず、仕入れの改善を始めた。
炊き出しの時、野菜を市場から仕入れていたが、農家から直接仕入れに変えた。スラムの子と施設の子の合同チームがスラムの大人の指揮のもと、各農家からなるべくクズ野菜も含めて仕入れ、直接運ぶことで、スラムの人、子供たちの収入、逆に仕入れ高の削減を行った。
副産物として、子供たちが繁忙期の農家への手伝いのパイプが出来たことから、幾ばくかの収入の道が出来てきた。
次に炊き出しの手伝いの改善
いままで、マリオン、ウンクロ、近くの婦人会の数人で行ってきたが、他の婦人会の方の参加をお願いした。街の殆どの婦人会から参加の意思を頂いた。
ただ、無理のない運用をお願いした。
炊き出しの時、参加した人の名前を貼り出し、必ず食事を受け取ったら感謝の言葉を掛けるよう貼りだしたら、婦人会の適齢期の女性参加者が増えた。
特に都会で暮らしたい農家の娘が、知り合いの伝手で婦人会に加盟し来ているようだ。
これは予想外だ。
次に、数百、多い時は千を超える人が来ると、周りにあやかり商売屋が出来る。
まず、水屋、椅子屋、傘屋である。
これは、ちらほら出来て来たが、炊き出しの道の脇の家の人に木戸銭を払い、置かせて貰った。数か所にスラムの大人を配置し、子供たちに営業させた。
意外に儲かったが、一割程度炊き出しと教会に寄付させた。
面白かったのが、机・椅子4基・大きい日傘付きのレンタルだった。
並びながらごそごそ移動しながらカードゲームやオセロか何かのゲームをやっていた。
おかしいのが、串焼き屋、お菓子屋、漬物屋、一杯飲み屋である。
なぜ、無料の炊き出しに食べ物屋が出来るのか全く不思議だが、要は街のイベントになりつつあるのだと思う。
お土産物屋に至っては、聖水でつけた漬物や神様饅頭を売っていた。ちょっと胡散臭い。聖水って何の水だろう、神様の顔が丸だけだけど。
とにかく、便乗商売をしているものには、炊き出しに寄付をお願いした。炊き出ししている所に毎月の寄付者の名前と寄付額を大々的に貼り出した。
御願いしても払ってくれないお店には、店名が書かれ、寄付金0と貼りだしてやった。
これは、街の人との自浄作用を狙ったものだ。
一般の人にも少額寄付の賽銭箱を置いてみた。
1ヶ月の収支を計算すると、肉、調味料、野菜の代金は、賄えるようになった。
収支報告と余剰金の使い道も貼りだした。
収支報告作成、貼りだしは、街の名士を煽てて署名付きで書いて貰った。
これは、公平性を演出したものだ。
次に舞台を作った。
これは、情操教育の一環である。
台本は、俺が作った。
1作目が、“メロンジュース王子とアンパン姫の恋物語”
2作目が、“お漏らし勇者と引き籠りドラゴンの決戦”
3作目が、“あんずぱん姫と真実の愛”
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台本は、前世の記憶を頼りに適当に作ったが、ボランティアで参加した人達が意外と頑張ってくれて何とか形にしていった。
アドリブばりばりである。
この世界では、娯楽が少ないので、こんな舞台でも多くの人が見に来てくれる。本当暇なのな。
恋ものは、女の子、リア充や若夫婦が良く見に来る。
決戦物は、男の子たちがわいわいやっている。
20作ほど作り、段々監督を立候補してくれる人が出て来たので、少しづつ任せるようにしている。
ただ、問題になるのがセットや舞台衣装だった。
最初は、大工代、縫製代は、タケオが出していたが、寺銭取って運営してくれ。
次に取り掛かったのは、寺子屋である。
孤児やスラムの人達は、識字率が壊滅的である。算術など片手しか数えられない。
仕事をするにもお店など絶対できない。
なので、孤児院のシスターにお願いして、寺子屋を開いて貰った。
教本等は、王都から買い付け、算術書は、仕方がないのでタケオが書いた。教科書は、生徒に写させ、汚い字が綺麗に書けるようになることが卒業とし、本数を増やしていった。
算術書は、数字の数え方と四則演算までなので、教本さえあればいい。
出来るようになった奴に段々と教える側に引き込んだ。
活版印刷があれば、もっと簡単かも知れないが、この国の文化を著しく変えてしまうかも知れないので、余り突っ込まないことにした。
応用編として、契約書の読み方、書き方、公的文書の解釈を月二回領主の事務官を呼んで無料で教えて貰うことにした。
無料に出来たのは、文書を通達しても解る者が少ないため、皆が知るのに大変時間が掛かる。
大変困っていたそうで、喜んで協力してくれた。
紙と鉛筆は、収支がプラスの時補充することにした。
炊き出しを中心に門前町のビジネスプランを実行した。
今回のビジネスプランの重要な点は、永久機関の様に回り続ける事。
途中のトラブルが解決できる。又は、少々停止しても修復出来て元のサイクルに戻る事が重要なポイントである。
もう一つは、参加するメリットにある。
美味しい食事以外に、教育や娯楽が増える事で楽しみの場の提供だろう。
まあ、アッパーパラダイムに乗るかは分からないが、良い未来を期待しよう。
懸念点としては、暴漢・乱入などの取り締まりを衛兵隊にお願いしている。
衛兵側も街の治安部隊がいる。逆に民衆が集まるので、治安維持にこちらから協力している。今の所は良好な関係にあるが、領主の考え方次第では、あまり信用できない。
まあ、これで取り敢えずは、これ以上の支出は抑えらているので、これで良しとしよう。
あ、台本はこれからも増やすよ。50作は作りたいな。




