44 冒険者始動準備-マリオン
―――――チュン・チュン―――――
朝、目が覚めた。
凄い、いい匂いがする。
段々、彼女のうなじが赤くなる。
起きたかな?
あ、元気な男の子の生理現象だ。彼女のスパッツに刺さってる。
いや、これわざとじゃないよ。健康な証拠だぞ。
後、俺もパンツ履いてるからね。
俺とマリオンは同時に飛び起きた。
「お、おはよう。それとごめん」
「昨日はありがとう、話を聞いてくれて」
。
気まずい雰囲気の中、起きてご飯を食べに行った。
二人で一階に行き、サンドイッチを食べながら今後の事を話した。
「マリオンは、今後一人で冒険者をするの」
「・・うん」マリオンは、また下を向いてしまった。
「え、俺と冒険者する気は無いんだ」
「いや、したいけど。昨日話したとおり、私と一緒だと・・・」
「そんなことないよ、俺はマリオンと冒険したいなー」
とちろちろ見たら
「本当か、だったらずっと一緒に冒険したい。色々な所に行ってみたい」
ぱあーと明るい顔になった。げんきんな奴め。
「そしたら、戦うのも寝るのもずっと一緒って事でいいんだな」
おれは、強気だ。昨日のチョロさからすればここは押し時だ。
「いいのか、本当にいいのか」
「ああ、だが、色々約束は守って貰うからな、
まず、パーティーリーダーは俺だ。
俺の指示に従ってもらうぞ。NOは無しだ。
それから、二人の秘密は何があっても他には喋らない事。
裏切りは、即決別だ。いいな。」
「ああ、約束は守る」
「そ、そ、それから俺たちは男と女だ、一緒にいれば、そのー何というか、そのーそうゆう関係になるかも知れないが」
・
・
マリオンは起ち上り大きな声で言った。
「また一緒に寝てくれるか?
また、抱きしめてくれるのか?
こんなわたしに、こんなわたしに、あんなことしてくるのか」
「しー、しー 声がデカい」
周りで食事していた人たちから“御盛んね”“若いっていいわね”“今日もがんばれよ”
温かい目で応援を貰ってしまった。
恥ずかしい。何もしてないのに。
昨日の事なのに忘れていたよ。こいつ拾ってきた子犬と一緒なんだっけ。
こいつは、俺と同じぼっち仲間なんだよな。間違いなく男性恐怖症だろうし
手なんか出せないよ。
はー、萎えたわ。
下半身全開の俺がこんな気分になったのは母親ぐらいだぞ。
やっぱこいつ、暫くノーカンだな。
今、二人で服屋さんに来ている。
「私は、今のままでいいぞ、まだ着れるし、薄くて動きやすいからな」
こいつ何言ってんだ。お前の服、雑巾にしたら一擦りで手の形に穴空くぞ。
スラムの子だって捨てるレベルだわ。
まああ、そのお陰できれいな小豆が見れたけど。
「リーダーの命令は絶対だと言ったよな、ここで決別か?」
彼女はしぶしぶ中に入った。
マリオンを値踏みし、店員が嫌な顔をしながらこちらに来た。
俺は何も言わず、金貨を数枚見せた。
「いらっしゃいませ。今日はどういったご用件でしょうか」
ニコニコ顔である。俺は商人の息子、勘所は分かっている。
要は金である。
下着10着、タオル類数着、装備用の着衣5着、普段着のズボン、パンツ5着
後、女性用のヘアバンド、スカートなどなど
店員と彼女がごにょごにょ話している。
“・・面積・・付けてないのと ・・”“・・全部透けて見え・・”
“殿方は・・喜・・”
・
「こんなに買ってしまって本当にいいのか、持ち運ぶだけでも大変だぞ」
ちょっと裏路地に入った。
俺は、収納に仕舞った。
「タケオ、消えたぞ。誰かに盗られてしまった」
彼女は辺りをきょろきょろしながら、焦っている。
「これは、最初の秘密事項だ。
俺は、収納持ちだから心配しなくていい
誰にも話すな。これを知られたら攫われるんだ。密輸なんてお手の物だからな」
マリオンは、驚くどころか喜び出した。
「二人の秘密、二人だけしか知らない内緒。ふふふ・・」
不気味だ。何かこいつ怖い。
・
次は、風呂屋だ。
久しぶりの風呂だ。思えばまともに風呂に入ったのは、厄災の日までだったな。
あの日鍾乳洞の家ごと無くなっちゃたんだよな。その後5年間武者修行だったし。
マリオンも森にほとんど居たみたいだし似たようなものか。
この世界にも三助さんがいる。ほとんど行水が普通なので、全身をきれいに洗うことは、一般市民にすればエステみたいなものなのだ。
女性の三助さんに銅貨1枚のところ3枚も渡し念入りに洗ってくれとマリオンを預け、男風呂に入った。
体を念入りに石鹸で洗って湯船に入った。
「ぷーう、温まるぜ、最高!」
因みに、石鹸は自前だ。この世界では、石鹸は貴重品とまではいかないがちょっとお高い。そこで風呂に入る時は、サイコロ状に切って1回使い切りにしないと置引きされる。
女風呂の方から
「きゃー」と言う声が上がった。
「何この黒いドロドロこっち来ないで」
とか聞こえた。
・
・
しばらく風呂屋の前で待った。中々出てこない。
こちらに、超絶美人が歩いてくる。
背丈は、マリオンと同じくらいか。
金髪碧眼の透き通るような肌、眉毛も金色で、まつげも長い、吸い込まれそうだ。
見とれていると
「タケオ 風呂は気持ちいいな。だけどこれでは臭いがバレて森に入れないな」
やっぱり、マリオンだった。先ほど買った白いワンピースを着ている。
薄々は気が付いていた。俺の下半身、妖怪女の子センサーは敏感に反応していた。
街行く人たちは、誰も股間を押さえない。偶にニキビ面の少年が股間を押さえているが意味が違うようだ。
次に防具屋だ、エアーサーフィンを頼んでいる鍛冶屋の奥さんが経営している。
フルプレートにすればと言ったが、ビキニ以外は着ないそうだ。
胸当てには薄いミスリルプレートが入っている。
腰のミニスカぽいガードにも入っている。
肘当て、両手にはミスリル入り手甲を買った。
彼女は片手剣を使いたいらしい。
一つこの店オリジナルがあった。
ブーツは、膝まであるロングブーツでミスリル入り膝ガードも付いている。
足裏が通常踏み抜き防止用に鉄板が入っているが、これだと微妙な足捌きが出来ないし、歩くだけでも疲れる。
そこで、細かい鉄で編んだチェーンが敷かれている。
全部で金貨30枚もした。大出費だが、命には代えられない。
代金はミスリルで払った。
相手がミスリルで払えと煩い。どうも質が相当高かったようだ。
まあ、鉱山からミスリル銀を抽出組成したものより、ミスリルが自然錬金されたものにはこの世界の技術は追いついていないのだろう。
・
宿屋の少し離れた場所にいた。
マリオンに剣を使えと渡した。
「この剣、青く光ってないか、ミスリルより青いな、重さも軽い」
「それは、アダマンタイトとミスリルの合成魔剣だ。
魔力を少し通すと切れ味が上がる。」
「これを使っていいのか、俺の知識だと国宝級に見えるが」
「それは駄剣だ。気のせいだ。ミスリルゴーレム中間までしか切れないし、すぐ折れる。
鞘に入れて魔力を流すと自動修復するんだが使い道が無くてな。
ゴブリン・オークなら大丈夫だから使ってくれ」
レイピアを長く太くした直剣で刃渡り90cm、両手、片手どちらも行ける半端な剣だ。
マリオンは、ゴーレムに出会ったことが無いが関節を突く以外攻撃方法は魔法と聞いていたが、切れるんだと認識を新たにした。
「コホン、それでは剣術の稽古に-入る」
「あー、剣は両手で握って、上から降ろす。以上だ」
タケオは剣術など知らない。昔の大剣豪と同じで只ひたすら振るだけだ。
100回ぐらい振ったマリオンは、止めた。
「満足したのか、早いなマリオンは」
「いや、ただ振っているだけでは上達すまい。駆け引きとか、突いたり躱したりあるだろう」
「何言ってるか分からん、剣など相手を倒す道具だ。何振ったって変わらん。
お前振ってるとき何考えてた?」
「それは、綺麗に真っ直ぐ均等に力を使って振るよう心掛けた」
「お前機械か?剣は切る道具だ。仮想する相手を切る叩くが基本動作だ。
相手を切れると思えるのでは、切られる。切ると心が確信しなければいつか切られるぞ。
相手が真っ直ぐ来たらどう切る?横から来たらどう切る?不意に後ろから来たら?
そう思って触れ、どう振ろうが自分の勝手だ。
お前が、金的を条件反射で行えるのと同じようにだ
今は、そうだなこの前のハイオークを思い浮かべて切ると確信するまで振れ。
今日が駄目なら明日も振れ、とにかく切るまで振れ」
そう言って夕方までずっと振らした。
心配性なので見つからないようガード丸を出しておいた。
集中している時はどこから誰が何が何を起すかわからない。
・
その間に俺はG級見習い冒険者のクエストを行った。
・どぶ掃除は、お手のものだ。大きい川から水を亜空間にいっぱい入れてきて流すだけ。
(飲み水とは分けてるよ。見られない様にもね)
・郵便配達は、大変だった。
でも、街が詳しくなるので勉強だと思って頑張った。
俺は、5年間魔物の中で生活していた。街の事を忘れてきていた。
10日後F級冒険者になった。
マリオンは、ちょっとだけ様になってきたところだ。
夜は、マリオンの豆だらけの手を軽い軽いヒールをかける。
軽いヒールは、自然治癒力を高めるだけなので問題ない。
普通のヒールをかけると前に戻ろうとしてしまうので皮が厚くならない。
俺が寝ると、彼女は、俺のベットに入って来て、背中を向けてくっ付いて寝る。
俺がくるっと回ってくっ付いてお腹に手を回すと手を重ねて眠る。
朝の生理現象は毎日だ。




