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40 再び大森林


俺は、今大森林を進んでいる。

また戻ったのかとお思いだろうが、スギン王国へ行く国境が閉鎖されてしまったためだ。

どうも、厄災が起きなかったこともあり、それから5年が経った。

元々マツキオン王国とスギン王国は、仲が悪かった。

昔、ツルハシ帝国がスギン王国を侵略して来た。マツキオン王国が反対側となり、全面的に兵をツルハシ側に配置できない。

そこで、マツキオン王国に親和条約を結んだ。

そうは言っても全面的に信用は出来ない。防衛線を20km程撤退し、ツルハシ帝国側へ 向かったと見せかけ罠を仕掛けたところ、条約無視でマツキオン王国が攻めて来た。

マツキオン王国は、スギン王国とはなんと馬鹿な国だと油断したのだろう。

国境から15km入った渓谷に挟まれた場所で先頭と最後尾を岩で塞がれ、丸太の荒しを上から浴びせられ、火をつけられた。マツキオン軍は、剣を交えることなく10万の軍勢の内9万を失うほぼ全滅と言う大損失を被った。

これで、経済的にも人材的にも多くの被害を出したマツキオン王国は、国王が責任を取り、廃位したが、王太子派と王弟派に分かれ内政が荒れ、攻めるどころの話では無くなった。裏でスギン王国の暗躍があったことは、言うまでもない。

後顧の憂いを払ったスギン王国は、ツルハシ帝国の侵略を跳ね除け現在に至る。

スギン王国の密偵は、押され気味だった王弟派に武器や財力を提供したが、結局は苦難の末、王太子派が勝った。

王太子は、何度となくスギンからの刺客に命を狙われ、死の淵を味わった。

現在の王がその時の王太子なのだが、当然スギン王国とは犬猿の仲と言う訳である。

国境線では、厄災が無くなって5年、小競り合いが始まった所だ。

と言う訳だ。

仕方がないので国境を避け一度大森林に出てから入る事にしたのだ。

マツキオン王国から両国に接するココファン王国を通ってスギン王国に行く方法しか一般的には無いが、凄い遠回りになる。ここは勝手知ったる大森林と言う訳である。


ヘアカラの街から大森林の奥100km入り、1000km西に移動し、沢を100km下ればシャプリンの街である。


なぜ奥に100kmかと言うと安全マージンを大きくとっただけだ。


各国は、通常辺境伯が国境警備隊を持っている。

国境警備隊は、大森林にも駐屯地がある。国境の大森林を経由して超える奴を取り締まるためだ。

大森林の駐屯地は、国境近くの大森林の入口と奥15km位に設置されている。

まず軍隊が抜けるなら、大森林の10km以上はあり得ないからだ。

10km位だと兵士でも対応できる魔物が殆どだ。

しかし、30kmを超えだすとA級B級モンスターが出てくる。

30km奥まで軍隊100人以上が行くには、最低でも2泊は必要になる。

夜の魔物は、活性化する。100人ぐらいなら1時間もかからず全滅だ。相手からすれば見つけ易い団体さんの餌が来たと大喜びである。1000人でも数時間だ。

人数が多ければ多い程、魔物は餌が豊富なのと見つけ易いので寄ってくる。

当然食料を沢山食べる大型種は大喜びだ。

つまり、越境するにも命がけだし、有効範囲は10~20km奥くらいなのだ。

偵察には、気配遮断・気配察知の優れたものが駐在する。

後、通信使だ。通信スキル持ちは、100km位は念話通信が出来る。

彼らは、戦うためではない。軍隊を通しても辺境伯に連絡が行けば森を出たところで一網打尽に出来る。

また、15kmに駐屯地があるのには理由がある。兵士のレベルアップだ。

王国内から兵士志願者を集め、ここで鍛えているのだ。

15km奥ぐらいでも滅多には無いが、大型種やS級モンスターが出現する。

一回でも出現すれば、砦など壊滅してしまう。

その為、入口の狭い鍾乳洞を利用し、S級モンスター、大型種などの侵入を防ぐ自然の要塞を築いている。

鍾乳洞は、風穴があり焚き火の煙も問題ない。水の調達も出来て大変便利だ。

外の沢まで水を汲みに行くとか外での焚き火はいつ襲われるか分からず大変危険なのだ。

ここでは、小隊に分かれ訓練が行われている。

自給自足の食料調達も含め、魔物狩り、木の実、自然のキノコ、野草の採取などを行う。

常に危険な現場で隊を作って魔物と戦いレベルを上げる。

1年ぐらいすると数倍強くなって帰ってくる。。

小隊での力は、大森林で鍛錬されていない国の兵と比較すると、1個小隊(20~30人くらい)で2分隊(200人以上)を相手にしても負けることはない。

普通はここで本国に戻るが、

戦闘狂だと3年ぐらい志願して残る奴がいる。すると森林に隣接しない国の兵士では、一人でも1分隊(100人以上くらい)を蹴散らすほどだ。

なぜ訓練を3年にしないのかだが、半分が死亡、生き残りの3割が殺人鬼になり手が付けられない。


通信使だが先ほど100km位と言ったが、500km以上通信出来るものがいる。双子の兄弟、姉妹の場合通信距離が伸びる傾向にある。個人差が大きいので500km以上としているが、1000km以上でも可能な姉妹がいるらしい。

王都と地方都市が遠方にあるとこの通信使を使って緊急連絡を取り合うのだ。

少し脱線したが、これらの条件から、100km以上であれば絶対捕まらないという事だ。

当然100km奥だとSS級等も遭遇する。


特筆すべきは、クィーンジャイアントスパイダーだろう。

大きさは、ジャイアントスパイダーより逆に小さい。クィーンに進化するには、数百年以上の年月と死闘の数が必要だ。

クィーンになる個体は、大森林といえども殆どいない非常に希少な種なのだ。

一般種と何が違うかと言うと、糸の柔軟性と強度にある。

魔力を纏った糸を張って魔刃回天(絶)で切りつけると切るのに1秒近くかかる。

オリハルコンより硬い。

糸を張らないでひらひら状態で切ろうとしても切れない。

この糸を大量にゲットした。


戦った訳ではない。

通りがかりに観察していたら、小さい小蜘蛛を大量に抱えていたので、軽い気持ちで「母親は大変だな」

と言ったら、念話で「そうなんです」って返ってきた。

じゃあと、途中で狩ったが使い道のなさそうなゴブリンを5匹出したらみんなで“ちゅうちゅう”吸っていた。


折角なのでどのくらい保管できるのか聞いたら「幾らでも」と言ってきたので今まで9年間溜めに貯めた使い道の無いゴブリン(ダンジョンは消えるので野生ゴブリン)の死体を3000匹くらい全部出してやった。


1mくらいの蜘蛛が5匹くらい出てきて器用に数匹ずつまとめて団子にしていた。

魔石も大きいのがあれば少し欲しいと言うので、幻影種やキングの魔石を2,3個上げたら、凄いびっくりされた。どうも10年に一度くらいA級以上の魔物の魔石を食べないと硬化した足などが劣化していくらしい。

この魔石だと50年は持つそうだ。


折角なので「クィーンの糸くれない?」って聞いたら沢山くれた次第だ。


ちなみに1mの蜘蛛5匹は、旦那だそうだ。

小さな穴倉に潜んでいる。

なぜかと言うと奥さんが興奮すると知らずに食ってしまう事があるらしい。なので、必要な時以外は穴に入っているそうだ。

不思議なのは、子供は食わないが雄は食うらしい。

何かわざと憂さ晴らしに食ってんじゃねーかと思ってしまった。


蜘蛛に生まれなくてよかったよ。雄は惨めだな。


実際には食料が無くなると子供も食うらしい。この世界の蜘蛛怖えー。


それを聞いたので、何とかスネークも大量にあったので小さめのやつを渡しておいた。

大きいのは取っておいた。使い道あるかも知れないし。

最初食料が乏しいころ、できれば食いたくなかったが非常食として全て保管していた。

今は、ボア系100体、オーク系500体など結構豊富だ。

無限とはいえ、大分倉庫が整理できた気分だ。


また、ゴブリン溜ったらここに来よう。糸と引き換えに。

後はドラゴンだろうか、エアーサーフィンしていると偶に遭遇することがある。

え?戦うのかって?

する訳ないだろう。俺は、無益な戦いはしない。

(本当はチキンなだけだ。ドラゴンの顔が怖い)


ウンクロが殺るのか?と“シュッシュッ”とシャドウボクシングの真似をする。


こいつ、ドラゴンに勝てるのか?

ハニトラは失敗だったのか?

俺のモテモテライフが・・・・

捥ぎって捨ててくか。一瞬頭を過ったが、思い留まった。


>無益な殺生をするな。ドラゴンは希少種なのだ。


#たくさん飛んで来るっすよ。赤いの青いの白いのとか

主、今まで弱い奴は、殺りまくりだったじゃないっすか

まさか、ビビリじゃないっすよね。

ぼっちビビリは、モテないっすよ。マジで。#


こいつ、本当ムカつくわ、ぼっち弄りはやめろ!

ほんのチョットだけ当たってるだけだ。

ウンクロをハウスして岩陰に隠れる。希薄幻影をするといなくなる。

ドラゴンに気配遮断は通用しないようだ。


エンシェントドラゴンには会ったことはない。

通常のドラゴンは、10m~30mで、大きいのだと50mはある。

ブレスを吐いているのは見たことはない。

上から降りてくるとそのまま爪で握り魔獣を“ぱく”っとして終わりだ。


だいたい、こんなとんでも生物がいっぱいいたら皆食われちゃうよ。


ドラゴンは攻撃的な誇り高い種族だ。

同族同士で良く戦いをする。普段は、森の深淵も深淵の奥深くで行われるが、極ほんの稀にこの辺でも戦闘になることがある。


丁度、戦闘が終わり、何キロかに渡ってボロボロになった森の中央に息絶えそうなドラゴンに会った。

体長は30m行くかどうかといった所だ。


これは、チャンス!ドラゴンの素材ゲットだぜ。

息絶えるまで近くで待っていると、ドラゴンが念話で話しかけてきた。


「おい、そこのお前、もう俺は長くない。躯は、くれてやるから最後の話し相手になれ」

と言ってきた。

最初は自慢話や冒険話をするのかと思っていたら、財宝が埋まっている場所などを話し始めた。

気を引いたのが、世の理を外れたものの話だった。

話を聞いているとサイが彼は生かしておいた方が将来マスターのためになると言い出したので助けることにした。


助けることにしたって言ってもドラゴン何て解らないし、虫の息だぞ。


サイに指導を受けながら、全身アナライズをかけた。

心臓の上にある魔石にヒビが入り、魔力が大量に漏れているようだ。

これが致命傷の様なので魔石の修復に取り掛かった。


サイが言うには、魔石と一概に言っているが、実際には中心に魔力を循環する動力回路のようなもので、生きている内は、そんなに硬くはない、魔力幕で覆ているので死んで結晶化した時より頑丈だ。魔力の心臓と言っていい。

魔石の中心、言い換えれば魔心は傷ついていないようだ

何十万本とある伝道官の破損を体感能で調べ、超高速処理を使って場所を特定した。ここに自身の魂魄オーラと魔力を混ぜ強化した1mmに満たない小さな小さな絆創膏を移動スキルで貼っていく。数千か所貼っただろうか、ほぼ魔力漏れは無くなった。

通常は相手の魔耐に阻まれ、侵入出来ないが、死ぬほど弱っていたため出来たのだろう。

数時間経つと、絆創膏が吸収され馴染んだのか体が勝手に再生し始めた。

さすがドラゴン自己再生するんだ。



「ありがとう。お前、治療する時、自分の魂魄を使っただろう。俺の魂とちょっと混じったな。しかし、凄い魔力量だな。底なしか?」

あ、これまずいパターンだ。ウンクロとは言わないが、何か嫌な予感がする

「我にお前が呼びやすいように名を付けろ。もっと近い存在になってお前の恩に報いよう」

まあ、名前くらいいいか、どうせ世の理の話を聞いたらおさらばだし。

こいつ最初焦げてて黒いかと思ったら本当に黒い竜だったんだ。

俺の心と同じで黒いのしか集まらないのか?

名付けでは、ウンクロの時、ちょっと失敗したが、クロは被る。

ブラックで、ブラ・・・ラックだな。

「お前の名はラックだ」

そう言うと、“約束の契り受け取った”と言って俺のMPを吸い始めた。


――ああー、こういうパターンだったの――


どこまで吸うの。MP無くなりそう、いや予備タンクから補給してるけど。

いったい何十万、何百万吸うつもりだよ。


ラックは、段々色が虹色になり始めた。


しまった!こいつ黒じゃなかったんだ。

でもラックってつけて正解だったな。

色関係っぽくないし惚ければバレなさそうだ。


レインボードラゴン・ラックの誕生だった。


名前の由来を聞かれたが、俺の昔の国では幸せをラックと呼ぶ。お前は幸せを呼ぶドラゴンだ。

と大嘘をかましといた。


レインボードラゴンの生態は解っていない。能力はドラゴンの中でも物凄く高いらしいが、生まれた時から魔力欠乏症で浅黒く短命なため、滅多に成獣化しない希少種だった。

その上で、覚醒し虹色をしたのは、この世界で初めてかも知れない。

えっらい疲れた。MP予備タンク半分無くなったぞ!厄災の時だって一度にこんなには減らなかったぞ。

お前絶対確信犯だよな。俺のMP狙ったよな。


*いいえ違います。ドラゴンは、龍脈からでも直接魔力は供給できます。今回、マスターが生まれた時から欠陥のあった魔力回路を治したため、本来の力を発揮したのだと思います。まあ、近くに魔力タンクを見つけたので龍脈へ行くより楽だし、道中危ないし、と思い、吸われたんだと思います。ものぐさチキン野郎です*

虹色の美しいドラゴン30mの横に赤40mと青45mのドラゴンが押し寄せて来た。

後、小っちゃいのが2匹いた。

一瞬ちびったが、何か危なくない感じだったので聞いてみると奥さんだった。

小さいのは子供だ。小さいと言っても俺と大きさは変わらない。


俺をガシガシするな。


奥さんが“すいません まだ小さいから何でも口に入れちゃって”とか言ってるが、普通の人間だったら、もう半分くらい食べられちゃってるぞ。


普通ドラゴンは交尾が終わると巣は別々になる。

子育て中の雌は気性が荒くなり他を寄せ付けないはずなのだが。。


聞いてみると、押しかけ女房だそうだ。いつもいちゃラブの3人で新しい感覚を持った新世代ドラゴン家族なのだそうだ。


おい、お尻フリフリするな赤い奴


ラックなんだその凄いのは、メーター級?俺の身長と変わんねーぞ

本物のエイリアンじゃねーか。

涎垂らして“シャーー”とか言いそうだぞ


こんな処でおっぱじめる気か子供の教育何だと思ってるんだ。

けだものだぞ。あ、獣だった。


俺が嫌な顔をすると

「すまんすまん、ご無沙汰だったのでつい。お子様には刺激的だったか」

こいつら、楽しい家族計画だな。リア充だな。

緑色になって魂まで爆発しろ。


童貞 34+15の俺に見せてどうしろってんだよ。ドラゴンおかずに出来るほど上級者じゃねーわ。


なぜ、戦いになったか聞いたのだが、今回戦ったドラゴンは、青いドラゴンにちょっかいを出していたが、報われずストーカー化しつつあったそうだ。

そこにラックが夜這いをかけて攫ってしまったものだから怒り心頭だった。

ラックは弱い(いつも魔力欠乏状態)ので森の浅いところまで餌取りに来るのを狙って襲ってきたそうだ。


何が誇り高いドラゴンだよ。痴情の縺れじゃねーか。


もういいや、世の理なんてどうでもいい。

むりやり さよならした。

二度と会うか!ものぐさチキン


ばいばいしたら念話で語りかけて来た。

最早、魂が混じり俺の盟友なのだそうだ。

世界の果てどころか隣の世界でも話が出来るらしい。

落ち着いたら話そうと言うことになった。

そんなこんなで、シャプリンの街まであと少しの森まで来た。夜も遅いのでここで野営することにした。

当然、ガード丸が見張りについてる。


お休みなさい。



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