38 ヘアカラの街
マツキオン王国 ヘアカラの街に到着した。
門番に入場許可を求めた。
「どこから来た」
「サンドラ連合国からきました。」
「何しにこの街に来たのだ」
「はい、スギン王国を目指しているのですが、途中でこの街に立ち寄った次第です。
薬草を売りたいのですが、薬草を買っていただける所と安い宿屋をご紹介頂けませんか」
・・・
「まず、通行料銀貨2枚、薬屋は、この通りを真っ直ぐ行って右側に赤い看板のある定食屋がある。そこを右に曲がれば薬屋が数件あるからそこに卸せばいい。宿屋は、赤い看板の定食屋の二階が宿屋になっている。1階で確認すれば案内してくれる。」
「それから、明日からヘアカラ名物牛追い祭りがあるから街頭をフラフラ歩いてると牛にど突かれるからな、注意しろよ」
通行料が高い。銀貨2枚を渡し、ありがとうございましたと言って宿屋を目指した。
冒険者に登録すればタダだと思うが、痕跡を残したくなかった。
「こんにちわ。今日泊まれますか」
恰幅の良いおばちゃんが出て来た。
「1人かい、1人部屋なら銀貨1枚、6人部屋雑魚寝なら銅貨3枚 食事は、一階で注文しな、定食は、銅貨3枚だよ」
「一人部屋でお願いします。あと、手紙を出したいのですが、何処かありますか」
そう言って、銀貨1枚を渡した。
「蓮向かいのパン屋が郵便屋もやってるから、そこで便箋と封筒を買って出せるよ」
便箋と封筒、インク付けペンとインクを買った。銀貨1枚もしたぞ。
次に薬屋だが、何軒か中を覗いていくと10代後半くらいのおかっぱ黒髪で茶色い目をした黒縁メガネのかわいい子が店番をしていた。
当然、そこに行く。
ストライクかって?俺のストライクゾーンを舐めるなよ。同年代で可愛ければ100%ど真ん中だ。
「すみません。薬草を売りたいのですが、ご入用なものはありますか」
メガネがキラーンと光った。
「どれがご入用って、そのリュックに入ってるんでしょ。全部出しなさいよ」
「ちょっと私物もあるので、今、必要な物を言って頂ければ出しますので」
焦った。出せと言われてもダミーだから入っていない。
リュックに手を入れて、亜空間から出す予定なのだ。
「ふーん、何か怪しいわね。まあ、今足りないと言うかいつも足りないのが
ヒール草、毒消し草ね。高値で取引しているのが、HP回復草、MP回復草ね。」
リュックからHP回復用の薬草 50束、MP回復用の薬草 50束を取り出した。
「な、何―、こんなにあるの。今査定するね。」
HP回復の薬草が、綺麗に根元から切れてるわね。MP回復草のOKだわ
こいつ何者なの。特にMP回復のツケメ草は、夜しか取れないのよ。
「全部で金貨7枚ね。これでいいなら買い取るわ」
「ええ、お願いします」
タケオは、お金を受け取り店を出ようとした。
「ちょっと待ちなさいよ。これからお食事しない。ねえいいでしょ。」
手を取り胸元でギュとされた。
動けない!?これは金縛りか?筋力5万の俺が引き抜くことが出来ない。
柔らかい“ぷにゅん”とした感触が・・・・あ、やめろパオンするな。
前かがみになりながら、必殺の賢者タイムアタック!
円周率 π=、円周の長さ 2πR、円の面積 πR二乗
パイイコール、3.1415。。。パイ?ぱい?ぱいい!?
2ぱいアールよ! おおー!ぱいアールの2乗?重なってるよ!
ああー賢者さまーーー
・・・今は駄目だ。ここで朝チュンを迎えたら折角の隠密道中がバレる。
(タケオにとってお触り=朝チュンである。童貞街道爆走中)
未だ隣国だ。勇者だって近くにいるかも知れない。
家族に迷惑は掛けられない。
足跡は残せない!
・
「あ、ツケメ草が床に落ちる!」
「え、何処、何処」
彼女は手を離し、買い取ったツケメ草に駆け寄った。
「さいならー」
ふー、危ない所だった。超高速分析など遅すぎて使えん!
しかし、いきなりこんなおいしい話が来るとは、絶対、朝チュンだよな。
全く動けなかった。
いやちょっとだけ手の平返して動くのもいいかなと思った。
まだ、森から出て1日目にこんなことが起こるなんて幸運値3百越えは伊達じゃないのかこれからどうなっちゃうのだろう。
・
・・・・・薬屋の娘・・・・・・
ちっ、逃がしてしまった。
本当の取引値は、
HP回復草 1束銅貨8枚 50束金貨4枚
MP回復草 1束銅貨15枚 50束金貨7枚銀貨5枚
金貨11枚以上を7枚でOKだなんて、相場を知らない素人だわ。
ツケメ草は、昼は、萎んで薬効が無い。真夜中しか採れないし、今日持ってきたとすると昨日夜採取したはず。つまりこの近くに50束以上採れる群生地を知っている。
通常は、1束位しか採れないのに。
聞き出せば、大儲けだわ。
純情そうだから一回食っちゃえば、「子供出来ちゃった」で一撃だわね。
今度会ったら絶対逃がさない!
・・・・・・・・・・・
「寒っ!」ブルブル
一瞬タケオは寒気がした。何だったのだろう?
彼女は若作りだが、実際は30代後半の経験値てんこ盛りの危ない女だった
この辺では有名人である。年に2,3人が穴の毛まで抜かれて裏のごみ捨て場に捨てられている。彼は、逃げられたことが幸運だったのだ。
サイは知っていたが、喜んでいるのでチンキン(沈黙は金)に入った。
彼は、あまり女性に鑑定はしない。失礼だと思っている。
(嘘である。もし、知っていることを知られ、ワンチャン逃しを恐れて怖くて見れないチキンなのだ。)
彼女が自分の母親と同じくらいの年だと知ったらどうなるのだろう。
守備範囲に入るのか元34才!
・・・・・
宿に戻り、1階の食堂へ行った。
「今日の定食は、何ですか?」
「今日は、グリーンボアのサーロインステーキ銀貨1枚、ホーンラビットのシチュー銅貨3枚だよ。パンとスープ、サラダもつくよ」
「グリーンボアは、高いんですか?」
「ああ、中々入荷しない。柔らかく美味しいんだが狂暴だからね。進んで取りに行くやつはいないね」
ほー、高いんだ。ウンクロが仕留めた奴も含め、70頭は、収納してるな。
「じゃあ、グリーンボアで」
銀貨一枚をテーブルに置いた。
・
暫くして、ステーキが来た。
ちゃんと調理した食事をするのは、何年ぶりだろう。
この十年間、厄災を祓い、脆弱な自分を鍛えやっと成人まで生き延びた。
・
ステーキを口一杯に頬張る。
ちょっと熱くて涙が目尻に溜まる。
肉を奥歯で噛む、嚙む、噛む。
肉汁が、口一杯に広がる。ニンニクの香りが鼻を抜ける。
脂が柔らかく溶けて喉を通って行くと肉がホロっと喉を通る。
「旨い!」
2ポンド(900g)くらいあるだろうか、後はひたすら食べる。
食った。満腹だ。
余韻に浸るため、水だけを飲む。
やっぱり、満腹は幸せだ。
御馳走様と言って2階の部屋に行った。
今日は、お手紙を書こうと思う。
「たいへんお久しぶりです。ジョージです。
先日は、私の子犬を助けて頂きありがとうございました。
こちらは、商売も上手くいっております。
ご心配なきようお願いします。
各地を行商した後、数年後には、そちらにまた寄らせていただきます。」
と言う文書を書いた。
キーワードは、ジョージと子犬を助けるがテルであると打ち合わせた。
厄災を祓えた場合は、商売がうまくいくと打ち合わせしていた。
久しぶりにベットで寝た。
・
――ちゅん・ちゅん――
朝起きたら、2人が床に倒れていた。
泡を吹いて痙攣している。
実はこんなこともあろうかと、ヨイショ子アンチ君をモデルに防犯用魂魄を作動していたのだ。
その名をガード丸。
ダサい名前だが、内容は優秀だ。
ヨイショ子君改造時に作った。兄弟機だ。
ヨイショ子と機能的には似ているが、夜、野外など寝ている時に俺の周囲をガードするように魂魄回路を形成している。仲間認識機能完備。
気配遮断Ⅶ、危機感知Ⅶ、気配察知Ⅶ、希薄幻影、神速B、魔盾を付与した。
魔法も使える。アースバレット、エアーカッター、ウォーターボウル
ホーリーバレット、ダークバレット
魂に直接コンタクト出来る槍と銛の返し付きを持っている。
捕縛用にジャイアントスパイダーの縄を持ち捕縛する。
縛りは、逆エビぞりの亀甲縛りに猿ぐつわの完全無力化だ。
部屋に侵入した時点で、皮膚が一ミリでも出ていれば、神速で魂に直接槍が刺さる。はっきり言って、レベルもステータスなど関係ない。
生き物であれば、魂から痺れて気絶する。
連続で数回刺したら廃人だ。返しの付いた銛でぐりぐりされたら来世にも影響する。
魔法を入れておいたのは、遠隔戦闘のため。
とっても怖―いガードマンなのだ。
朝、門番の前に盗人を亀甲縛りのまま置いてきた。
目立つわけにはいかない。
宿を引き払い、手紙を出しに行った。銀貨3枚だった。
やはり、国を跨ぐと倍高くなる。
お昼前に
魔道具屋に行き、ダンジョンのドロップ品が沢山あるので
筋力10UP、俊敏10UP 、魔攻撃10UPなど需要があって、良く出回る指輪30点くらい売った。怪しまれない程度でね。
金貨20枚になった。
買ったものは、以下の通り
雑貨屋 ランプ油、洗剤(灰を混ぜた脂取り)、石鹸、歯磨き粉など消耗品類補充
服屋 麻の服上下20、日除け帽2、手ぬぐい、タオルなど
靴屋 冒険者用のハーフ皮ブーツ10足
食料品 塩、コショウ、食用油、ニンニク、玉ねぎ、小麦粉など
今日は牛追い祭りなので、沢山の屋台が出ていた。
片っ端から屋台の食べ物を買いまくった。
人が多いので一杯買っても目立たない。
金貨20枚くらい飛んだ。売った分とイーブンと言った所だ。
そろそろこの街も出ましょうか。




