24 タケオ ダンジョンへ2
ダンジョン5層までを2年半2000回周回した。
集めたスクロールは、2000枚になった。
え?一人1枚じゃないの?と思います?
だって一人一枚ってどうやって決めるか考えたのですよ。
スクロールのタグに真名が付く時点で確信しましたね。
ダンジョンで一匹もモンスターを倒さずとあったので、一回出て名前変えてまた挑戦
とすれば条件満たすとね。世の中で俺しかできない裏技だわ。
2000枚は、鍾乳洞の中に1番から一枚づつ開けられるよう壁に20枚を縦一列横50列並べた。
実際1000枚しか要らないはずだが、ここは、予備1000枚を収納に入れてある。
何が起こるか分からないから備えは大事。
あと、島に渡る方法が判った。
2000回も周回してると、毎回5mもある魚が陸まできて“バクッ”と丸呑み
しようとするのは、狂暴過ぎないかと思い、いたずらしてやった。
木で人形を作り、それを“パク”させたのだ。
そしたら、島まで行って吐き出していた。数回やっても同じだったので
本当に自分がパクとさせたら一分後には島に着いた。
あいつが、渡し船だったとは、考えつかなかった。
最初からパクられればそのまま行けたとは、お釈迦様だって絶対気付かないよ。
あと、知ってなかったら絶対怖くて出来ない。
試すとき、オーラ幕硬―くサイに作って貰ってから飲み込んでもらったもの。
あと、口の中がやたら生臭い(魚だから)、座っているとヌメヌメした液体でお尻がベトベトになる。気持ち悪かった。
サイとはこの2年半いろいろ話した。
サイの昔話を聞いていると、カッコいい剣豪がいた事を教えてくれた。
その達人は、木刀を“だらーん”と下げたまま全く動かない。
相手が業を煮やして、剣を上げると、体の急所に痣が浮かび上がったと言う。
その剣士は、エンシェントドラゴンに木刀で挑んだ。
絶対に切れないと言われた鱗を数枚確かに切ったと言う。その後ドラゴンの爪で切られ命を落としたが、ドラゴンは、切られた瞬間、魂まで切られた感覚があったと。
何万年も生きてきて一番恐怖したと語っていたそうだ。
アカシックレコードから剣士の生きた軌跡がわかる。
貧しい農村に生まれ、村に来る剣士を見て、憧れた。
しかし、誰も教えるものはなかった。
毎日木刀を振るった。彼にとっては、桜の枝を折っただけの棒が剣だった。
ただひたすら振った。農作業が終わると振った。
30才も過ぎて、村に野党がやって来た。木刀を振った。30人以上の夜盗は皆一撃のもとに倒れた。
国は乱れ、国の兵隊も夜盗となった。最早何人倒したのか分からなくなった。
鑑定が出来るものが、剣聖だと告げた。
ダンジョンから魔物が溢れた。倒した。何万と倒した。
いつの間にかジョブは剣聖から大剣豪と成っていたと教わった。
有名になった。多くのダンジョンから魔物が出るからと各地を転々とした。
魔物を倒した。とにかく数十年倒した。
50才 レベルがMAX、ステータスが筋力、俊敏、耐久、知力が3000となった。
魔力は50しかなかった。
彼のスキルに剣術、縮地など無かった。
国も安定し全国から挑むものが沢山現れた。小指一本で倒せる。
70才になった。鍛錬は怠らなかった。不治の病にかかったようだ。あと数年の命だろう。
今の力は、筋力、耐久は50くらいだろう。
でも50才の時より強いと分かっていた。
最後に世界最強の生物エンシェントドラゴンと戦おうと思った。
数年探しやっと見つけた。戦った。
勝てると思ったが、途中で寿命が来たと悟った。ドラゴンの一撃をわざと受けた。
要約するとこんな感じだった。この人お爺ちゃんで病気なのにエンシェントドラゴンより強い。
俺は敢えて名前を聞かなかった。この人は生き様こそがこの人でラベルで扱う人ではない。
良く、名前を憶えて理解していると思っている人がいるが(自分もそうです)、インデックスのために名前を付けるのと全く理解していないから名前で全てを決めてしまうのは意味が違う。天才なんて言うのはその典型だ。
天才と使うとその人の事を理解するのを諦めてしまう。
この人は、理解できない部分が多すぎて名前で呼んでしまうと天才で終わってしまいそうだ。
「カッケーもう俺剣士目指すわ」
と思い、マネして桜の枝を切ってナイフで刀みたいにして振ってみた。
実は、剣や刀ってレベ1筋力1の俺には、重たくて振れないからと言うのは内緒だ。
なんかここずっとサイが一生懸命MPタンクやHPタンク、擬似魂魄作って処理増やしてるけど何に使うのやら。
“転ばぬ先の何とやら”ばかり考えてると、本当に転んだら起き上がれなくなりますよ。
サイが遊んでくれないので俺は“なんちゃって剣士”を目指した。
技能:すり身(達人)、見切り(達人)、夕凪(霞)、陽炎(揺らぎ)、空即是空(常態)、体感応、朧霞(世界)
を使いながらダンジョンで木刀を振るった。一層でゴブリンに合ったので、木刀で“ポク”と叩いたら、木刀が折れた。
サイに相談したらHPを木刀に纏うように使うことを教わった。大剣豪もそうしていたらしい。
HP1しかないのに木刀が相手に当たったらHP減っちゃうよ。と言ったら、高速回復するので大丈夫と言われた。
木刀は折れなくなったが、HPが減る感じが気持ち悪い。
段々慣れてくると恐らく体感能の能力だと思うが、相手の急所が判るようになった。
そこを突いたり、当てたりしていると、相手がちょっと痛そうにしていた。
大剣豪とは偉い差だな。あとHPも下がらない。
ただ、脂肪だったり鱗の内側にある急所は狙えなかった。
結局、一匹も倒せなかった。筋力1ってどんだけ弱いんだよ。
でも、剣ならと思ったが重くて当たらない。
急所を狙ってクリティカルヒットすると1秒ぐらい痛いみたいだ。
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前からゴブリン3匹が来た。3匹にワザと囲まれた。
上段から振りかぶるゴブリンの棍棒を握る指を木刀で叩く。
右から横なぎに払う2匹目の棍棒が来る前に左に避ける。
その左には正眼に棍棒を構え、間合いに敵が来たことで、一瞬固くなった瞬間
鼻を突く、横なぎに払い横腹が見えるゴブリンの喉を横から突く。
絶対、鍔迫り合いはしない。木刀が折れるのと動作が遅れるから。
こうして、躱しながら、急所を叩いたり突いたりしても痛いだけで一匹も倒れない。
大体10秒くらいで逃げていく。
ブラックセンチピートが二匹襲ってきた。
後ろから項を噛みつきに来る。下に避け顎を突く。
もう一匹は、一匹が邪魔で中に入れない。
もう一匹が1匹目の腹の下から横から出てきた俺を襲う。下から来たので、目と触覚を叩く、頭を蹴って、腹の見えるもう一匹の外骨格の殻と足の隙間に突きを入れる。
5分ぐらいすると、逃げていく。
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そんなことを29層まで出来るようになった。
その先は、階層ボスがいて、先に進めなかった。
半年後には、木刀を振るいながらでも
技能:すり身(達人)、見切り(達人)、夕凪(霞)、陽炎(揺らぎ)、空即是空(常態)、体感応、朧霞(世界)
を普通に使えるようになっていた。
全く魔物は倒せないが、瞬時に急所を打てるようになった。
魔物もいつも急所をクリティカルに突かれるので、相当の手練れになっていった。
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ちょっと最後の半年は、気が抜けた感があったが、準備はしたし、問題ないと思っている。
ずっと張り詰めるともたないからね。メンタル弱いし。
さて、ついに厄災の日はやって来た。俺は10才になった。




