23 タケオ ダンジョンへ
災厄の日まで3年を切った。
今、タケオは、野良ダンジョンの前にいる。
そう、幸運値10UPのスクロールがドロップするダンジョンだ。
ドロップさせるためには条件がある。
・レベルが1であること。
・入口から入って魔物を一度も倒さないこと。
・一度ドロップすると二度とドロップしないこと。
である。
このダンジョンは、誰も入ったことがない。ヒカリゴケが繁茂し、中は普通に明るい。
風通しが良く匂いに敏感な犬系の魔物もいる。
既に100層に達し、最深部では、SSS級、エンシェント種もいる。80層を超えると何が出てくるか分からない。数年毎にスタンピートが起こっているが、余りにも大森林の奥なので拡散して終わる。
しかし、お目当ての場所は、浅層の5階にある。
「まず、一回行ってみよう」軽いノリの偵察である。
気持ちだが、入口前の丸い石に手を当て、中に入った。
中は明るい。いつもの丸腰だ。
気配遮断が使えなくなったので、息を殺しながらマッピングを最大発動した。
1層目は、10kmの丸いエリアだった。魔物の点は、数百と言った所か、弱い魔物ばかりの点ではあるが、2階層階段までの最短で遭遇しない経路を割り出した。
俊敏・筋力1の俺では、一般の人が走るより遅い、まあ7才だし、仕様がない。
点は動くので経路を頭に浮かべ、匂、音、風のざわめきなど気配を感じながら気づかれないよう2階入り口に進んだ。
気配察知しながら避ければいいと思うだろうが、相手に気づかれてしまうと戦闘になる。
切り抜けは出来るが疲れる。また、相手を如何に見つからず躱すかは、鍛錬になるからだ。
だから匂い遮断のマントも羽織っていない。
野ツボに落ちたからじゃない既に20回目の洗濯でほぼ匂いは無くなった。
ほぼって言うところがちょっと引っ掛かる。誰かにあげようかなと頭を過る。
ちょっと思考がズレたが気を取り直そう。
・
2回に下りる階段だが、隙を突くモンスターは、階段の下や壁に張り付いていたり、
穴があると入っていたりする。
穴に入っているとマッピングには出るが、気配察知には、引っ掛からない。
マッピングがないといきなり現れるとその瞬間に危機感知が鳴り出す。
ダンジョンの壁は特殊で、硬いし勝手に修復するだけでなく、カモフラージュにも使えるのだ。
また、入口がここしかないので、トラップも含め回避も出来ない。俺は空即是空を使いながら下に降りた。
3mも離れると追ってはこない。
2階層~4階層までマッピングしながら降りて行った。
さて、5階に来たが直径1kmの湖の真ん中に島がある。ここが目当てのスクロールが出る祠だ。
これ絶対レベ1の人来れないよね。
周りに魔物はいなかった。
湖の中を覗くと、緑色の視界10㎝の中に黒―い5mはありそうなお魚が見えた。
こちらが見えたのか、湖面からジャンプして襲い掛かってきた。
歯がギザギザで口の直径は2m近く開いた。
「これ、一飲みだな」
怖えーーー
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・
どうしようか悩んだ。
・
最初全部の水を亜空間にぶち込んでやろうかとも考えたが、毎回これやるのは、負けた感じがしたので別の案を考えた。
天井は、40m位上は無理かー
絶対、製作者は、意図があって設置したはずだとゲーム感覚で考えてみた。
まず、筏を作った。近くに森があったので筏を作るのことにした。
種類は、樫、杉系だったので樫の木でを刳り貫いて作った。
噛みつかれても大丈夫なように長さ7m、幅1mの大きな船にした。幅は大木でもこれが限界だった。
中を火で燃やしながら、下を泥で抜けないよう何度も慎重に作った。
5日掛かった。テントを張り頑張った。
HPの魂魄で強化し、噛みつかれても壊れないよう強化した。
湖に船を浮かべ、ロープを付けて、流してみた。
10mのお魚さんに一撃で撃沈された。
―乗らなくて良かった-
次に湖面の周りをゆっくり観察しながら歩いて見ると半透明な道があった。
幅1m程の半透明な道が島に向かって伸びていた。
半透明で途中までしか見えないが、繋がっているように見える。
足で叩いてみたが渡れそうだ。
取り敢えず行ける所まで行こうとしたらサイから石を投げてみろとのことで、ちょっと魔力を使って、丸まる石をコロコロ転がし投げた。
30m位で道が朧気になった先からアンコウのような大口が“バクン”と石を飲み込んだ。
何?アンコウの舌?提灯じゃなくて舌で釣ってたの?
-危ねー、油断も隙も無いぜ-
一旦塒に戻ることにした。サイに頼んで、色々な木の実、鉱物を集めた。
痺れ薬の調合である。殺してしまうと条件を満たさないので毒は使えない。
それを持ってまた湖に行った。いろいろばら蒔いてみた。普通に泳いでいた。
こいつら凄い麻痺耐性を持っている。きっと毒も効かないだろう。
俺は両手両膝を着き、“どうしろってんだよー”と叫んでしまった。
俺はヘタレで頭が悪い。
正攻法で行こうと決めた。まず最初に水深2mの浅瀬で、直径10mの出っ張りを見つけた。
そこの真ん中に立って、魚が来るのをバシャバシャさせながら待った。
5mの奴が一匹入ってきた。水の中で躱しながら慣れていった。
まず足捌きでは躱せない。体を捻り全身で躱す。
夕凪(霞)、陽炎(揺らぎ)も空即是空も使えない。
透明度10cmでは、予測も難しい。
意識、魂で感じろ、全身で感じろ、集中、集中、意識をこの10m四方まで延ばし、流れを読め! オーラを敏感に捉えろ、肌の産毛で感じろ、汗の毛穴で感じろ、、、、
オーラで感じろ、・・・段々馴染んできた。
躱した後の流水が体を押し流す、押し流すくるくる回る流水の逆向きになったベクトルの流水を掴む。後ろへ行く力を相殺する。相殺する。相殺する。
技能:体感応を開眼した。
今度は、湖の中に入った。5~10m越えの魚体皆一斉に噛みつこうと襲ってきた。
空気は亜空間から供給した。
水の中で小さな音波を感じる、何が来るか解る。するすると通り抜ける。
小さな音を体を揺らして消し去る。段々魚が寄ってこなくなった。
いつの間にか島についていた。
技能 体感応、朧霞(世界)を覚えた。
朧霞(世界)は、現実世界の自分の存在を希薄にする。
最早、実態の自分、気配察知、鑑定を使っても存在を否定できる。
ただ、30分が限界だわ。レベ1の筋力・俊敏1のHP1では、30分だけでも
凄い省エネでないと出来ない。
世の理の端っこへ近づいた気はする。30分くらい。
島の中心には、6階へ下りる階段があった。
左へ歩くと小さな祠があった。中に手を入れると長さ20cmの丸まったスクロールが
“カコン”と音がしながら手に落ちてきた。
幸運値10 ジョージと刻印があった。




