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20 勇者召喚(王国SIDE)


王国はこの一年、勇者召喚のための準備をして来た。

過去の勇者の動向を調査し、万全の準備をしてきたのだ。

しかし、どんな人物かは、来て見ないと分からない。


神託では今日、神殿に召喚される。

5大国含め、各国の大司祭か大司教が集まった。

皆、荘厳な衣装を纏い、神殿内に鎮座した。

何時にとは決まっていないので、朝8時頃から集まった。

午前中は何も起きなかった。

教会の最高峰が一同に会することは、滅多にないため、外の広場で昼食を取ることになった。テーブルの上には、高級な果物が並び、脂の乗った分厚いステーキが皆の口に入っていく。

会話は進み

「今日は、晴天、召喚日和ですな。」

「今代の勇者は、どのような方なのか、良かったらわが娘婿にどうかと思うのだが」

「ははは、サンドラ大司教 抜け駆けはいけませんぞ。お宅のご息女は19才ではありませんか、うちの娘は14才、丁度お似合いです。譲れませんぞ。」

などと,ほのぼのとトラタヌ話をしている時、事件は起こった。


お茶を飲み始めたころ、神殿で「きゃーー」と言う叫びが聞こえた。


そして、神殿から真っ裸の男が出てきた。

身長は、150㎝位か、腹がポチャリしていて、腕は細い、小象ちゃんは、ちょっとだけ小エイリアンが覗いている。右の乳首から10㎝の毛がひらひらしていた。早生か?

年の頃は、12,3才と言ったところだ。

「あのー」と声がした。


近衛兵が出てきて、「無礼者!」と言いながら抜刀し、首を刎ねようとした瞬間。

「俺、勇者なんだけど」

皮一枚で剣は止まった。

「ひいーーーー」

と尻もちをつき、“ジョオーーー”という音が響いた。

各国の大司教・大司祭たちは、口を開けたまま一言も喋らなかった。

これは一体誰得なのか、全くの珍事であった。


最悪の召喚スタートを果たした勇者は、とりあえず服を借り、王城に招かれた。

勇者の名前は、森下 錠 年齢14才男 身長150㎝ 体重67kg

顔がまん丸”プクプク”、ちょっと小太り、手足が短く、赤ちゃんがそのまま大きくなった

ような童顔のかわいい?子だった。身長は、成長期前?と言った感じ。

運動などしたこともなく、ゲームに一日のほとんどを費やしていそうな感じだった。


謁見の間に通されたが、“ボー”と勇者が立っていると、「近衛兵が膝を付け」と後ろから小突いた。勇者は、“ポテッ”とその場に倒れて動かなくなった。


王様と宰相が現れ、王は椅子に座った。

宰相から「面を上げい」と声が上がったが動かない。

近衛兵が近づいてみると、気絶していた。

宰相  「これは、どうしたのかな?」

近衛兵 「は、膝を付くよう申し上げたところ、見事な五体投地だったのでそのままにしました」

王   「もう良い、起こせ」

近衛兵は、襟元を左手で掴み持ち上げた。右手で“パパパン”と平手打ちすると「ううーん」と目を覚ましたので床に立たせた。

王   「勇者よ。良く来られたな。」

勇者は、”プルプル”しながら涙目で無言で立っていた。

宰相  「これ、何か申せ」

「あのさ、失礼だと思うんだよね。召喚されたら、神殿に掃除のおばさんしかいないし、次は殺そうとするし、後頭部殴って気絶させるし、父親に一度も触られたこともないのにビンタするなんて酷過ぎでしょ宰相役の人」

(父親に叩かれなかったではなく触られたことないって、凄い寂しい人生だったんだな。しみじみ)


宰相「な、な、何と無礼な、神殿からいきなり裸で出てくれば、誰でも不審者と思うであろうが」

「宰相役の人、今、裸で出てきた人不審者って言ったよね。神様が裸にしたんだよ。異世界のものは持ち込ませないって言って。

神様言ってたよ、いつも一糸まとわぬ姿で送り出すって。文献なんかに書いてあったはずだよね。

神様が裸にしたのに、不審者で無礼って、神様を批判したよね。

わかってんの、カス!」

「カ、カ、カスだと! 衛兵、このものの首を即刻刎ねよ!」

「いいよ、神様に今回の件話すからね。神様に言われてるから、邪魔する奴は次に生まれ変わる時ミジンコにするって、神様に冗談通じないし、言い訳通じないよ。

お前はゾウリムシにしてもらう。首刎ねた奴もゾウリムシだからね」

さすがに、神の使徒が嘘をつくとは思えないと衛兵は、後づさった。


「宰相、お前は下がれ!神の使徒に何たる暴言、後ろに下がっておれ

衛兵、近衛兵も我の命令なしに動いたら、反逆罪と見なし、一族郎党斬首とする。

「勇者すまぬ。非礼を詫びよう」

そう言って、パインブック王は、深々と頭を下げた。

「解ってくれれば、いいけど。」

「して、名は何と申す」

「森下 錠 14才 中学二年生 学校行かずにラノベとゲーム大好き少年です。

 こちらでの名前は、ジョーです。」

―――「モラシタ ジョー」小さな声でどこかから聞こえてきた。

ぷぷぷと周りから小さな笑いが上がった。

「あ、今言ったやつ、笑ったやつ出てこいミジンコにしてやる。

そういう渾名つける奴いるんだよなー、日本帰ったら一生言われるんだぞ。

クラスカースト最下位通り越して、マスコット的いじめられキャラになるんだぞ。

もういついじめてもOKみたいになるんだぞ。

サッカー部の奴“犬ウン”蹴ってくるんだぞ。顔に当たると100点なんだぞ

もう絶対、学校関係の女子と付き合うことは一生できなくなるんだぞ。

絶対言ってはいけないんだぞ。」

「あー、相分かった。今後、勇者を“お漏らし勇者“?ではなく”漏らしたジョー”と言うことは禁止とする。城内に緘口令を敷け」

あっという間に、“お漏らし勇者を漏らしたジョーと呼んではいけない”と言う緘口令がだされた。

これ、お漏らし勇者と言ってもいいってことだよね。


「王様の誠意は通じたけど、僕、テンションダダ下がりで、なんかやる気なくなっちゃたんだよねー。しばらく休むから部屋に誰も近づけないでね」

と言ってトボトボと帰っていった。

・・

王は、緊急で謁見の間に重臣、王城で働くものたちを集めた。

「皆の者、面を上げい」

「此度の勇者の件であるが、余りにも軽視した態度が目に余る。

 彼は、厄災を祓い、多くの民を助けるために神から遣わされた使徒である。

 彼の言動は、神の言動と同じとは思わぬが、容姿、物言いはともかく、わが世界を救う救世主であることは、間違えのない事実である。

 尊敬の念を以て接し、機嫌を損ねること相許さん。」


大司教「神殿に誰もいないとのお話しでしたが、たまたまお昼時で、数年に一度あるかないかの各国の教会TOPが一同に会する機会でしたのでコミュニケーションを活発化しようとしただけでございます。後、一糸まとわぬ程に神々しく光ったと書かれておりましたので本当に一糸まとわぬとは思いも寄りませんでした。」


宰相 「しかし、文献では、横柄な態度で躾が必要と書かれておりました。

それで関係者には、しきたりや姿勢など気合をいれて仕込むよう指示致した次第です。」

王は、“はー”とため息をついた。

「お前らの脳みそは、納豆でできてるんだろ。腐ってねばねばしてるだろ。

 神様は、俺より下か?お前らより下か?大司教より下か?

 その使徒は、神様の代理で来てるんだぞ。お前らより下か?考えなくとも解るだろ。

 外国の来賓を迎えるより圧倒的と言うより雲の上の人を迎えるのにそんな態度をとるなどあり得んだろ。

 宰相、お前が来世ミジンコになるのは、自業自得かも知れぬが、ミジンコにできる人を怒らせたらお前の孫もミジンコで生まれるかもしれんぞ、衛兵お前の娘はゾウリムシかも知れんぞ。

もっと態度を改めねば、将来この王国は、ミジンコ、ゾウリムシに成ってしまうのだぞ。」

一神教のこの世界では、改宗も出来ない。神様を名前呼びしないのは、神は一人だからだ。

勇者を奴隷のように使ったら、その時はいいが、来世やこれから生まれる子孫に何があってもおかしくはないのだ。

段々怖くなってきたのか、宰相が行った。

「我々は、どうすれば宜しいのでしょうか?」

「まず態度を改めよ。それと勇者が喜びそうなことを考えよ。躾けるとか、自分本位で考えるのではなく、勇者を中心に知らないことを教え、導くのではなく導いて貰う気持ちを持つことだ。」

それから、劇的に勇者の待遇は変わった。

皆が、すれ違うたび挨拶をし、メイドだけでなく全員が何かすることはないか聞いてくるようになった。

ちょっとやり過ぎ感はあるが、上へ下へのおもてなし、この国の事を聞けば、歴史学者が出てくるほどだ。


そして、勇者はやる気になった。元気いっぱいになった。

それは、従者を紹介した時である。

聖女、魔導士、賢者、斥候の4人を紹介すると

賢者:シッカロール 伯爵家次女 金髪縦ロール、15才175㎝のスレンダー美女

魔導士:ミルン   金髪碧眼の14才160cmのバランスの取れたボディ 美女

聖女:マリア 庶民的だがシルバーブロンドの15才 もはや巨大メロンが二個ついてるボボーンキュボンのスーパーボディ 大きな目が少々たれ目でもう萌えー美女

斥候:ミリイ 茶毛で猫耳がかわいい幼児体形のモフモフ担当

勇者は泡を吹いて倒れた。

宰相が聞く。

「勇者様、お気に召しませんでしょうか?即取り替えますから」

「ななな何いってんの。ぼぼぼ僕のものだから、返さないよ絶対!

 宰相解ってんじゃん、最初からこうすれば、僕はあんな態度取らなかったのに。

 グッジョブ、マーベラス、宰相最高」

宰相は、ゾウリムシから脱却した。

宰相は囁いた。

「合意ならなにしてもいいと家の方に確約取っておきましたから」

「ななな何と、宰相様一生憑いていきます。何でもしますーー」

勇者はちょろかった。所詮14才は下半身さえ押さえれば何でもありである。

最早、勇者は宰相の傀儡と化すのであった。



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