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13 御神託


この世界は一神教である。神は絶対で他で神を名乗れば邪神である。


ウエルシア王国 大神殿では、今日もいそいそと大司祭と巫女たちが神にお祈りを捧げていた。

「おお―神様、今日も良い日でありますよう。神と共に栄え有らんことを」


すると神殿の神の座が輝きだした。

眩しさに少しだけ目が慣れると、そこには光り輝く人の形をしたものが立っていた。


それは、脳に響いた


― 汝らに下知いたす。一言一句たがわずこと

  これより4年の後の今日 黒い霧が空を覆い、厄災の忌子が降臨する。

  この世界は、魑魅魍魎が跋扈し、呪いの魔獣が荒れ狂い焦土と化すであろう。

  その場所・規模は、予測出るものではない。

  人類はこの試練に打ち勝たねばならぬ。

  王国ウエルシアの神殿に勇者を1年後の今日 異世界より召喚する。

  3年間、勇者を鍛え一人でも多くの民を救い、厄災を振り払うのだ。


 忌子が降臨するまで忌子に関する調査や害することをしてはならぬ、神界で少しでも災害を減らすよう対処している。もし忌子がそれを知れば被害は大きく拡大するであろう。ゆめゆめ忘るなかれ、静かに準備し降臨後、振り払うのだ。

 ―


大司祭は、この内容を神文書として書簡を作成した。巫女ともチェックしながら一言一句間違いがないか細心の注意を払いながら作成した。


出来上がった文書をこの世界に大神殿を持つ5大国

 ツルハシ帝国、コスモンス教国、サンドラ連合国、マツキヨン王国の神殿に緊急確認のため、神託の内容を送った。

各神殿にも同じ神託が下りているはずである。


次に国王に緊急で謁見を要請した。

国王はパインブック・ウエルシアである。

大司教「王様、一大事です。神託が下りました!」

これを読んだ国王は、「我が国に勇者が召喚されるのは、名誉な事だな。」と話し、宰相を呼び、テキパキといくつかの指針を指示した。


まず、各国に使者を送り、戦争の禁止を訴えた。


・・・

次に過去100年前に勇者がとった行動を分析させ、必要な補填を行うこととした。

・・

・・

その後、神託の信憑性が各国から証明され、全世界に現状が認知された。

5大国以外の有力国も含め、戦争の禁止を宣言し、全世界の人類は、この未曾有の危機を乗り越えるため、一致団結して取り組むこととなった。

各国は、自国が厄災に見舞われるのか分からないことから従ったと思われる。



勇者の分析は、以下のようなものだった。


・召喚直後の能力は、レベ1で、何の能力もなく無垢な状態であること。


・年齢は、13~15才で病気の状態で召喚される。

 不治の病で元の世界で“ちゅうに病”というらしく前回勇者は、右手に包帯を巻いて「俺の右手が暗黒マターを・・」といって右手を押さえたそうだ。当人にしか見えないらしく嬉しそうにしているのが気持ち悪いと記されていた。


・勇者は必ず魔王を倒すそうだが、いないと知ると忌子を必ず倒すことに必死になると記されていた。ラスボスと呼び、おっつあん俺は打つぜ、打つべし,討つべしと独り言をぶつぶつ言うと記されている。


・パーティーを組みたがる。聖女、魔導士、賢者は必須らしい。全員が女性でないと「ハーレムが、ハーレムが」と言いながら寝込んで何もしないと記されている。

斥候は獣人族の女性と決められていた。前勇者は猫耳モフモフと呼んでいた。

剣聖が入ることもあるが、女性は滅多にいないので暗黙的に外される。


・現在、女性冒険者が着けている防具を考案したのは200年前の勇者でビキニアーマーとして定着している。露出が多く防御力が低いのだが、動きやすいのと男性から“必絶超かわいい”と言われ、見せびらかすようギリギリまでそぎ落とし、谷間盛り、スーパーハイレグは当たり前になったとか。(結構チョロインがいそうだ。)


・勇者はレベルが上がりやすく、数年もするとS級冒険者など赤子のようにあしらうと記述されている。聖剣との相性が良く、剣の能力が数倍になると言われている。


・歴代勇者の3割が女癖が悪かったと記載されている。

 500年前の勇者は、名もなき村に一月滞在した。

その村は、10ヶ月後ベビーラッシュとなった。

その時の赤ちゃんの顔が皆そっくりだったと記されている。

その村は、その後勇者村と命名され、多くの高クラスジョブ者を輩出している。

ただし、この時代の勇者は、厄災より、昼も夜も関係なく一日中御盛んだったため、厄災は拡大し、多くの被害をもたらした。


宰相は、各国に勇者の従者として聖女、魔導士、賢者の捜査と派遣協力を求めた。

宰相

「将軍、勇者の鍛錬期間は、3年だ。全くの素人らしいから計画性を持って鍛錬してくれ、過去の文献によると鍛錬中は、女性騎士を近くに置かないよう気を配るように」

勇者は、女性が自分を見ているだけで、ひょっとして俺に気があるんじゃないかと鍛錬に身が入らず、連れ込もうとするクズが多い。

「は、しかと申しつかりました。

 特に鍛錬には、我が国でも指折りの女になど目もくれぬ剛の者を選びまする。

ご安心くだされ。」

何かちょっと嫌な予感がよぎったが、宰相は、災厄を収めてくれればどうなろうと気にしないことにした。


神託の内容は秘匿され、漏らすものは一族郎党厳罰に処するとの戒厳令が敷かれた。


世の中というものは、するなするなと言えば言うほどしてしまうものである。

押すな押すなといって熱湯に入るは世の理。おやくそくと言うやつである。


巷では、既に噂が広まっていた。これは、酒場での出来事。


「おい、これは絶対に誰にも言うなよ。首飛ぶからな。

 出所は、宰相の次官関連から聞いた話だから、間違いはないぞ。

 (実際は、宰相の次官の部下が使っている小間使いの弟の飲み友達から聞いた話)

 勇者が召喚されるんだとよ。」

「ええーー、勇者が召喚されるって一大事じゃねーか、何か悪い事でも起こるんじゃねーか?」

「しー、声が大きい。

数年後 薬剤師のいい子が現れるんだと。世界は、いい子の御蔭で幸先がいい事が起こるんだが、そりゃーおめえ 続けたいわな。

そこで勇者召喚ってーわけよ。」

「いや、良くわかんねー、勇者なんかいなくても別に構わねーんじゃねえか?」

「ちっ、だから素人はこれだよ。お前の脳みそ納豆か?腐って糸引いてるだろ。

 まあいい、いいかよーく聞け、幸いがいっぱい起こったっていい子がいる内だけだろ

 そこで、わが国王パインブック様は考えた、いい子の子供が増えればもっと幸いが訪れると。しかしここに問題があった。畑は申し分なくいいが、種が良くねーとダメだろ。

おめえの種じゃ寝しょべんたれか借金しか生まれねーだろ。

そこで勇者召喚てーわけよ。

勇者の優秀な種ならこりゃ幸いどころか大幸いが起こるってー寸法さ。

王国では、既に勇者鍛錬プログラムが構築されるそうだ。

そこには、屈強な男が女人禁制で最強の技が仕込まれるそうだ。

そりゃ他に放出したら薄くなっちまうからな、濃ーーい 一番搾りが効く―ってやつだ。

腰にぶら下げた性剣はバッタバッタと女を突きまくり、その性能は、俺らの数百倍って言うから手に負えねー。


なぜ戒厳令が敷かれたかというとだ、薬剤師のいい子に悪い虫でも付いてみろ、折角の幸運の女神が逃げて行ってしまうだろ。折角育ててるのにほかの国に行かれてみろよ。大幸いは、世界に広まって独占できなくなっちまう。

いいか、おめえ絶対、薬剤師のいい子ちゃんには手出すなよ。わかったな」


それから厄災が始まるまで、言うまでもなく薬剤師の女がもてまくる現象が王国全土で吹き荒れることとなった。(娘だけでなく婆さんでも赤ちゃんでも見境はなかった。はたまた飼い猫の雌までも。いい子ちゃんの解釈は難しい ホント難しい。)


国王、宰相はキョトンと首を傾げた。

しかし、皆を他に目を向けられたことは、非常に良かったと胸を撫でおろした。


世のうわさほど怖いものはない。


1年間紆余曲折ありながら勇者召喚の準備は、進むのであった。


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