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1 転生前

1.転生前  


 俺は、イクヤマ・タケオ34才 サラリーマンの父母(共働き)の家に生まれ、普通?に育った。小学校、中学校では、2次元大好きな平均的な子供だったと思う。


女性遍歴だが、惜しい!と思った事とはある。

 沢山の女性と手を繋ぎ、体を密着したことはある。

 「マイムマイム」こそが唯一の出会いの場だった。

 ”これ、ひょっとしてこの子、あるんじゃないか?”

 と思ったことが多々あったが、何もなかった。

 高校は、男子校だった。

これで俺の女性遍歴は終わりだ。


 友人は、オガワ・タクヤ一人で、新作ゲームが出ると遊びに来て独りでゲームして帰る。

俺は、一切参加しない。

今回買ってきたのは、レトゲと呼ばれる中古ゲームだった。

それは、月に代わってお仕置きしちゃいそうな女の子が「えい」とか言いながらモグラを倒すバトルアクションゲームだった。

チラチラ見えそうなスカートの下をテレビの真下から覗いて「惜しい!」とか言う奴である。

そんな事する奴が現実にいるとは思わなかった。

ちょっと痛い奴だが、唯一の相談相手だ。

学校の事情や世間の事情などは、タクヤ大賢者から教わっている。

女の子情報は、2次元なので役に立たない。


彼が言うには、自分がスクールカーストで最下位、俺が次点といった感じだと言っていたが、タクヤ以外と話したこともないし、共同作業もバックレるので実感はない。

 世で報道されるような、いじめや暴力的な事は、ほぼない。

現代でそんなことをすれば、即内申書に影響するし、AO入試は絶望的になるため見つからない範囲で遠くからじわじわ攻めてくる。

見つかると「みんな言っていたんでそうなんだと思ってしました」とか責任転嫁もいいとこである。LINEを使った嫌がらせでは、誰が最初に書いたか分からないようにグループでの日常会話に混ぜ、だんだんエスカレートさせるなど連判状方式?みたいに回し回しでいじめてくる。


 ある時、「先生、机がボコボコで字が書きにくいんですが」と言ったら「死ね、クズ」とか彫刻刀で彫ってあったので、臨時ホームルームになった。

先生が、

「みんな目を瞑って、やった人は手を挙げて」

と言った。

手を挙げる奴なんているわけがないと思っていたが、

その後、数人が職員室に呼び出された。

まじめな人って世の中に存在したんだとちょっといい気分になった。


机を用務員のオジサンが運んできてくれた。チェンジされた。

綺麗な机にスリスリしながら、惰眠を貪るのは、至極のひと時と言えよう。


 その後は、関わるとちくる奴と見なされたのか何もなく(ガン無視されていた?)、高校も卒業し(男子高の教室って汗とたまーにイカの腐った匂いしかしない)、IT関連会社に就職した。

 社長の話がやたら長い、要約すると大手上場ソフト会社の子会社が車の制御するソフトを開発しているが、車に異常があるとランプが点く部分を委託開発しているとのこと。

いわゆる孫会社で、いつでも問題が起きると責任を押し付けられて捨てられる会社である。

 ソフト会社に良くある話だが、孫会社に異常時の表示部分を担当させると、クレームや問題があった場合、表示部分から解析が始まるから、下請け会社が最初の調査の受け口になる。

請負元の会社に文句は言えない。言えば二度と仕事が来なくなるので、本当は、

制御部分にバグがあっても、表示を間違えたことにし、プログラムを直すふりをする。

その間に制御部分を請負元の会社が直し、納品する。

顧客からは、表示するだけなのに直すのに時間がかかり過ぎだとクレームを受ける。

一番大事な制御部分は開発させてもらえないので、ノウハウも溜まらない。

だから、仕事は中々増えない。まあ「うだつの上がらない」そんな会社だった。


 会社に入って1週間のオリエンテーションが過ぎたころ私の歴史の中で最大級の事件が起きた。

総務の女性(森下ラミネ20代)から唐突に食事に誘われたことが後で解った。

最初、俺を天才だと思って古代エジプト語で話しかけてきたんだと思ってしまったよ。

「この後、お食事どお?」

である。

日本語のようにも聞こえるが、かつて女性からこの様な言葉を掛けられたがことはない。これは相当高度な古代文明に隠された暗号に違いない。

俺は、モヘンジョダロのインダス?それともヒエログリフあたり?からの解析を大賢者(タクヤ)に頼まなければなるまいと思った。

だが、今、目の前に女性がいる。即返答をしなければならない。必死に考えた。

入ったばかりの新入社員だと言うのに、“汚職が自動的に出来る方法を勧めている?”

“自動的に汚職する”俺は汚職で海外逃亡指名手配、彼女は、お金を持ち逃げ良い暮らし。ふふ、これが世に言うハニートラップだな、暗号は解いた。


「汚職 自動はちょっと」


「きみ、食事も断るの?草食男子だってその辺の雑草は食べるでしょ、あんたカスミ食ってる訳?霞男子なの?二度言うけど霞男子でしょ」

と言われた。

後から聞いたのだが、彼女は、肉食系の上位種 猛獣系に属し、守備範囲は、5才から70才までOKなスーパーオールラウンドプレイヤーだ。(おむつと棺桶はだめらしい)その中でも有名なショタコンで、初ものは、必ず食う主義らしい。

また、すごい香水の匂いで、まわりの人も1m以内には入らない。

朝までご一緒すると3日は独特の香水の匂いが抜けないらしく、不倫をした上司が一発で奥さんにバレ、1年間話もしてくれず、娘にはお父さん「汚な臭い」と高濃度罵声をいまでも浴びているらしい。この話は、社会でやってはいけないことという道徳的?噂話として社内に広まった。それ以来彼女はグリムと呼ばれている。

この話を教えてくれた先輩の説明は、あまりにも詳く具体的過ぎる。

絶対、s級モンスターにほぼ全食(おむつ、棺桶以外)フルコースでおめしあがりされている。

 社内すべての男性、それと関連会社の男性に至っては、息子、果てはおじいちゃんまで濃厚な香水の匂いがしたことがあるという。親子丼は聞いたことがあるが、男性版でこのケースは、何と呼べば良いのだろうか?「おおーい大賢者(タクヤ)どうにかして」

しかし、会社は、男性限定だが、関連会社に至るまでチームワークがすこぶる良い。何かワンチームって感じで働きやすい職場だった。グリムを教訓?に道徳的でかつ兄弟?的な(おむつ、棺桶は除く)。“聞かなくても分かるよ“みたいな独特の一体感があった。


そんな時、タクヤの訃報があった。理由は、新入社員歓迎会の時に無理やり飲まされ、急性アルコール中毒であっけなくこの世を去った。


今まで空気みたいにいつの間にか一緒にいるアイツのことなど考えたこともなかった。

それなのに、今までの彼との記憶がこれでもかこれでもかと言うほど頭の中を駆け巡った。

この時初めて俺の中でタクヤが唯一大事な存在であったことを知らされてしまった。

アイツを大事にしたことなんて一度もない。

 ほんと俺ってバカだ、クズだ。どうしていいか解らない感情が黒く渦巻く。きっと俺が理性的に対応できたのはタクヤのおかげだ。

いつも周りの状況を教えてくれたり、色々な所へ連れていってくれたのは彼だった。


俺は自分では何もしなくて、感じなくてほんと情けなかった。

俺の魂の友は、いなくなった。

何かその時、俺の中で「プツン」と音がして・・・・・会社を辞めた。


今の現代社会を批判する気概も頭もないが、何となく人が多すぎる様な気がする。

別に自分がしなくとも他の優秀な誰かがやればいいよね。

それから、その10日後から34才まで家に引きこもった。

・・・

どうしてこうなったのだろうか?何となくこの世界に俺がいなくとも進んでいくだろうと思ったら存在の必要性を感じなくなった。

その間、説得という名の説教を幾度となく聞いたような気がする。

いつの世でも「現代人は、無気力・無関心」と言う人がいるが本当の無関心は、ゲームもしないし、怒ったりもしないし、いじめたりもしない。

・・・・・・人の話など聞こえない。飯も関心が無くなってきた。

そう・・・深く沈んでいく・・・・・・・


初めての作品投稿です。

不慣れではありますが、温かい目で見て頂けると幸いです。

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