5.出会い
朝から意気揚々と家をでたロイも断られ続けるとさすがに心が折れかけていた。
朝から商家や家に訪問し依頼がほしいと伝えるも、
もう30件ぐらいに断られていた。
断られるのも無理はなく、依頼をするときに依頼者がまず確認をするのが、無事に成功してくれるのかどうかが重要だった。
ロイはまだEランクになったばかりで成功率はそもそも0%のため断られやすいのだ。
「無名の商家に頼むぐらいなら格上の商家に頼むよな〜」
そんなことをつぶやきながら、噴水の女神像の前にたどり着いていた。
周りには冒険者が複数組おり、冒険者の肩付近の腕には各々のマークがはいった布を巻いていた。
このマークは各商家のもので、専属の商家がいる場合マークをつける事になっていた。
それにより冒険者と商家の契約関係がわかる仕組みとなっていた。
ロイが噴水の前を歩いていると1人の冒険者にぶつかってしまった。
ぶつかった男性の肩にはマークがなく、無所属の冒険者ということがわかる。
「すいません。」
「こちらこそ申し訳ありません。」
冒険者から謝られ、すぐにロイも謝罪をした。
「私、商家マチルダの店主ロイと申します。お怪我はありませんか?」
「こちらの不注意でした。すいません。僕はルカと言います。」
ルカはロイと同じぐらいの年齢で顔立ちが整っていた。
装備はハットを被り、マントを装着している。腰元には杖を装備していた。
魔術師か
ロイは身なりと武具で役職を見極めていた。
「魔術師の方ですか?」
「そうです。まだEランクですが、、」
「私も商家として最近Eランクになったばかりなんですよ。」
「そうだったんですね。お互い頑張りましょうね。」
「もしよろしければこれもなにかの縁。IDを教えてもらう事はできますか?」
「問題ないですよ。これからまたよろしくお願いいたします。」
「また依頼などがありまして、ルカ様がその時無所属であればご連絡させていただきますね。」
「ありがとうこざいます。」
ロイとルカは会釈をしつつ別れたが、
ロイにとっては、専属ではないが初めての顧客を囲う事ができた。
「あとは依頼だけだ。」
ロイは心新たに依頼をもらうために走るのであった。