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2位 ティリアン (ティリアン・パーシモン、イギリス海軍大佐)、エル・アルコン-鷹- (青池保子)、漫画

 ティリアン・パーシモン、イギリス海軍大佐。

 16世紀イギリスにて、スペイン貴族の母とイギリス貴族の父との間に生まれる。

 父は幼いティリアンを、不義の子、と疑って虐待。父から殺されそうになった少年は、ナイフで反撃して逃れ、泣きながら家の外に駆けていく。


 その時、少年の目の前に広がったのはドーバー海峡…… そして、少年の脳裏に広がったのは世界中の7つの海と空であった。



 ――― 7つの海と7つの空を征服する。―――



 ティリアンの胸に、野心が生まれた瞬間である。



 その後、ティリアンは海軍学校に進学。

 卒業後に副官として就任した艦で、水兵たちに反乱を教唆して艦長を殺害させ、艦の支配権を一挙に握るのである。



 なぜ、ティリアンはそのようなことをしたか?



 それは、彼がスペインのスパイとして働いていたからである。


 ――― ティリアンの目的は、短期間でイギリス海軍で出世し、なるべく高い地位を得た上で、スペインで重要人物として迎えられること。

 そして、世界最強のスペイン艦隊を統率し世界中の海を制服することなのだ。―――



 The・悪役!!

 正統派ダークヒーロー!!



 己が目的のためには、偉いさんの令嬢を籠絡した挙げ句に殺したり、友を陥れたり。

 叔父さん (実の父疑惑あり) を絞首刑(ハンギング)にだってしちゃうんだぜ!!



『人の生涯は一瞬だ。ならば私は、己の野望に全てを賭ける』


 狂おしくも純粋な熱意!!


 かぁっこいいーー!!!




 その後、ティリアンはイギリス海軍大佐の地位まで登り詰めた後、スペインへ亡命。

 憧れだった己の旗艦を建造し、それに 『エル・アルコン――鷹――』 と名付ける。

 ――― その鷹が、7つの海を渡り、7つの空を飛翔することを夢見て。―――



 しかし、その矢先にアルマダの海戦が勃発。

 あわれ、ティリアンは宿敵の刃に倒れるのであった……!




 ……というのが大筋であるが、ここで1つの疑問が生じる。


 なぜ、わざわざスペイン海軍へ?


 アルマダの海戦といえば、イギリス艦隊が世界最強と謳われたスペイン艦隊を制した戦いとして有名だ。


 大砲を撃ちまくっては、さっさかさー、と逃げるイギリス海軍の戦法は、白兵戦が主だったスペイン艦隊のそれを上回ったのである。


 …… ティリアンほどの優秀な人物が、なぜその時代の流れを察知せず、旧態依然としたスペイン海軍にこだわったのか? ……


 それは、彼の生い立ちと深く関わっている、と考えられる。


 スペイン出身の母親から、スペインの美しさを聞いて育った少年にとって、スペインは懐かしいユートピアだったのだろう。


 つまり彼は、イギリスに生まれ育ち、そこで高い地位まで登り詰めながらも、生涯そこに馴染めぬ、故郷を失った孤児だったのである。



 なんっと哀しい……!!




 同情の余地のないほどの悪役でありながら、その生い立ち、そして少年のようにひたむきに夢に生き、夢に滅ぶ生涯により、永遠のヒーローとなった男。



 それが、ティリアン・パーシモンなのである。

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― 新着の感想 ―
[一言] 確か伯爵の先祖が主人公の学生海賊の敵役がティリモンだったけど、主人公より人気が出てしまい。青池先生は「エルアルコン」を描いたと言っていたような・・・
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