表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

8位 敦盛 (平敦盛)、平家物語 (作者不明)、小説

 平敦盛。

 12世紀、平家の武将である。美少年。


 どれくらい美少年かというと、敵方の武将・熊谷直実が、改心する程、である。



 ――― 熊谷直実は、一ノ谷の戦後、ひとり浜辺を逃げる騎馬の武将を発見。

「よっしゃ手柄を立てたる!」 と逸り、呼び掛ける。


『敵にうしろを見せるは卑怯なり。とって返したまへ』 とかなんとか……


 実はこの武将が敦盛少年なんである。


「卑怯といわれて逃げられるものか!」 とばかりに引き返す中2! (年齢は中3、15歳。物語では数え年齢で17歳。)


 そして負ける!

 筋力も経験値も勝負勘も、山で鍛えたオッサン (← あくまでイメージ) には全く敵わず、あっさり負ける!


 弱 い !


 なのに……


『かくなる上はそっ首をとり、汝の手柄となせ』 みたいなことを言って向こう気を張る!


 なんっって……!

 プライドが高くて破滅的にヤンチャでかわいいんだ!


 そこで直実、有り難く首いただこうと、ふと見たところで……



 キュンときてしまった!



「見ればまだ子供みたいなものじゃないか。殺してしまったりしたら、親がどんなに悲しむだろう……」


 そして見逃そうとするが、少年は頑固に言い張る。


「負けて見逃されるなど、恥以外のなにものでもない! さっさと首をとれ!」


 傍迷惑なまでの潔さ!

 中2極めてるよね!?

 かっこりーとっ!!!


「いやしかし……」 と押し問答してるうちにも、迫りくる源氏()方の大群。



(どうせ討ち取られるなら、心なき野蛮人よりも私の方がまだマシ……)



 そう考えた熊谷直実、泣く泣く敦盛の首をとる。


 遺骸を見れば、身につけた布袋の中に1本の笛。


「ああ……夜、闇に紛れて嫋々(じょうじょう)と響いていた笛の音は、この子が吹いていたんだ……」



 戦場においても音楽を愛する心を忘れない、雅な若き公達の最期に、涙を禁じ得ない直実であった。


 その後出家した彼は、敦盛の菩提を弔って一生を送ることとなるのである。 ――――



 イヤモウ、涙なくしては語れぬエピソードよのぉっ!?



 と思った後世の人により、能やら何やらが作られている。

 皆さん御存じ、幸若舞 『敦盛』 の元ネタもこれ。


『一度生を得て、滅せぬもののあるべきか……』


 信長くんも、この少年の中2っぷりに共感を覚えたり……したのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 地元ですよね。 熊谷直実様は私も拙作「女王蜂様」に体育の先生役で出演させたあげく、アイドルに変身させるという大変ひどい扱いをしているので人のことは全く言えませんが、「山で鍛えた人」ではないで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ