8位 敦盛 (平敦盛)、平家物語 (作者不明)、小説
平敦盛。
12世紀、平家の武将である。美少年。
どれくらい美少年かというと、敵方の武将・熊谷直実が、改心する程、である。
――― 熊谷直実は、一ノ谷の戦後、ひとり浜辺を逃げる騎馬の武将を発見。
「よっしゃ手柄を立てたる!」 と逸り、呼び掛ける。
『敵にうしろを見せるは卑怯なり。とって返したまへ』 とかなんとか……
実はこの武将が敦盛少年なんである。
「卑怯といわれて逃げられるものか!」 とばかりに引き返す中2! (年齢は中3、15歳。物語では数え年齢で17歳。)
そして負ける!
筋力も経験値も勝負勘も、山で鍛えたオッサン (← あくまでイメージ) には全く敵わず、あっさり負ける!
弱 い !
なのに……
『かくなる上はそっ首をとり、汝の手柄となせ』 みたいなことを言って向こう気を張る!
なんっって……!
プライドが高くて破滅的にヤンチャでかわいいんだ!
そこで直実、有り難く首いただこうと、ふと見たところで……
キュンときてしまった!
「見ればまだ子供みたいなものじゃないか。殺してしまったりしたら、親がどんなに悲しむだろう……」
そして見逃そうとするが、少年は頑固に言い張る。
「負けて見逃されるなど、恥以外のなにものでもない! さっさと首をとれ!」
傍迷惑なまでの潔さ!
中2極めてるよね!?
かっこりーとっ!!!
「いやしかし……」 と押し問答してるうちにも、迫りくる源氏方の大群。
(どうせ討ち取られるなら、心なき野蛮人よりも私の方がまだマシ……)
そう考えた熊谷直実、泣く泣く敦盛の首をとる。
遺骸を見れば、身につけた布袋の中に1本の笛。
「ああ……夜、闇に紛れて嫋々と響いていた笛の音は、この子が吹いていたんだ……」
戦場においても音楽を愛する心を忘れない、雅な若き公達の最期に、涙を禁じ得ない直実であった。
その後出家した彼は、敦盛の菩提を弔って一生を送ることとなるのである。 ――――
イヤモウ、涙なくしては語れぬエピソードよのぉっ!?
と思った後世の人により、能やら何やらが作られている。
皆さん御存じ、幸若舞 『敦盛』 の元ネタもこれ。
『一度生を得て、滅せぬもののあるべきか……』
信長くんも、この少年の中2っぷりに共感を覚えたり……したのだろうか。