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悪魔のささやき
俺は気がつけば屋上の柵に足をかけていた。目頭は熱くなっていて、とてつもない脱力感に襲われた。そして柵を抜けて、もう沈みかけてしまっている太陽に向かってただ叫ぶ。叫び終わって、泣いてくしゃくしゃになった顔をさらにくしゃくしゃにして力なく笑う。
「俺が女だったら、よかったのかな?」
今更嘆いてももう遅かった。体は宙を舞い、ゆっくり落ちていく。目をつぶり、最後に一言残した。
「生まれ変わったら、女の子になりたい。」
そんな悲痛なまでのか細い声を誰も聞き取ることはできなかった。
「君は、女になりたいのか?」
そんなささやきが聞こえてきた。そして、喉で止まっていた言葉を吐き出す。
「俺は、女になりたい!」