1
「結婚は人生の墓場」なんて文句があるが、私は、それは専ら男性視点での言葉であると認識していた。
男女平等が叫ばれる現代ではあるが、それでも社会的に男性が優位であることはまだまだ事実であるだろう。結婚した男女が、その後どうやって家庭を築いていくかと言うと、主に夫が稼ぐ、もしくは共働きというのが一般的であるはずだ。主に妻が稼ぐ、という風なスタイルは浸透していない。それが男女不平等の何よりの証拠でもあるだろう。
つまり何が言いたいかと言うと、「結婚は人生の墓場」とは、男性が自分の稼ぎをいつ、どこで、何に使うかを制限され、詰まるところ、人生の楽しみを奪われることを皮肉した言葉であるのだと、私は思っていたということだ。家庭を金銭的に支える存在の比率が、もしも男女に偏りがないのなら、そんな言葉は生まれなかった、もしくはこれほどまでに広がらなかったのではないかと私はそう考えていたのである。
しかしそれは婚前の私の考えに他ならなず、結婚生活がちょうど1年が経とうかという頃の私にとって、やはり結婚とは人生の墓場なのだと認識がふつふつと芽生え始めて来ているのだった。