第5話:約束
今回はあまり、ストーリーが展開していません。
軽い気持ちで見てください。
「それにしても、あんたの部屋も変わってないわね」
「そりゃあ、そんな変わらねぇよ。まぁ適当に座れや。今、菓子とか持ってきてやるから」
すると、扉がノックされた。
「はい、ツバサちゃん。これ、クッキーと紅茶」
「おっ、サンキュー」
「ふふ、それじゃサクラちゃん。ごゆっくり~」
扉を閉めるときの母さんの顔が、にやにやしていたのが少し気になった。
「ほれ、クッキー」
「うわぁ! 久々のツバキさんのクッキーだ!」
「それじゃ、ささやかながらお前が帰ってきた祝いでもするか?」
「あら、あなたにしては気が利くわね」
「うるせぇ。ほら、乾杯だ」
俺達は、紅茶で乾杯をした。
そして、一通り世間話を始めた。
「で、なんでアンタはあの学校に入学したわけ? 確かにもうすぐ共学化の話があるからってアンタが通う理由が分からないわよ」
「それはな、俺の母さんとあの学校の理事長が幼馴染みらしいんだよ」
「えっ!? 嘘でしょ!」
「どうやらそうなんだ。だから母さんの息子である俺が選ばれたみたいなんだ」
「へ、へぇ~。世間って狭いのね」
「まぁ、そのおかげでお前ともまた会えたんだけどな」
「ちょ・・・あんた、なんでそんな言葉をさり気なく言えるの?」
「え? なんで?」
俺はサクラが言ってることの意味がイマイチわからなかった。
「はぁ~あんた、それで何人の女の子を泣かせたのかしら?」
「?」
「まぁいいわ。これでこそツバサらしいから。ん~、それにしてもやっぱりツバキさんのクッキーは美味しいわ~」
「昔みたいに、教わってみれば?」
「それもそうね。じゃあさっそく・・・」
コンコンっと、また扉がノックされた。
「サクラちゃん。はいこれ? クッキーのレシピよ」
「うわぁ~ありがとうございます。ちょうど聞きに行こうかと思ってました」
「ふふふ、お役にたててよかったわ」
なんていう、タイミングのよさだ。そう言えばさっきも、俺がお菓子を取りに行こうとしたら丁度良く、母さんが入ってきたな。
「どうかしたの? ツバサ?」
「いや、なんかタイミングよく母さんが入ってくると思ってさ」
「なにそれ? ちょっと考え過ぎよ?」
「そうよツバサちゃん。あまり細かい所を気にしちゃだめよ」
母さんが扉を少し開けて、こちらを睨んでいた。
そして、扉をそのまま静かに閉めた。
「ま、またタイミングがピッタリだな・・・」
「き、気にしちゃダメよ。それより私そろそろ帰るわ」
「それじゃ送ってやるよ」
「いいえ大丈夫よ。どうせ、すぐそこだし」
「そうか、じゃあ気をつけろよ」
「ええ? あっちょっといいかしら?」
「ん? なんだ?」
「こ、これから同じ学校に通うわけだから、あ、朝、迎えに来てあげようか?」
「え? えっと、まぁお前が迷惑じゃなければいいぞ」
「そ、そう! しょ、しょうがないわねなら、明日、朝迎えに来るから」
そう言ってサクラは帰って行った。
そして、その夜。
「か、母さん!? なんだよこの黒い四角い機械は?」
「あらあら、とうとうばれちゃったわね・・・」
「それ、どういう意味だよ?」
ちょっとした言い争いがありました。