第3話:演説
少々、長くなってしまいました。
ですので、話が繋がってない部分があると思いますが
よろしくお願いします
ホームルームが終わり、先生が教室を出て行った。
「さてと」
「あら、どうしたの急に立ちあがって?」
「いや、始業式の前にトイレでも行っておこうかと」
「そう、なら遅刻しないようにね」
「分かってる!それじゃ」
俺は、トイレを探しに向かった。
教室を出て、廊下を歩いているとトイレを見つけた。
しかし、おかしいことがあった。
「あ、あれ? 入り口が一つしかない?」
普通、トイレと言うのは、“女子用”“男子用”の二つの入り口があるはず。
しかし、一つしかなかった。マークを確認してみると、赤い女子用マーク。
「女子校だから、女子トイレしかないのは当たり前か・・・。じゃあ俺はどうすればいいんだ?」
「そこの貴方。何、トイレの前でうろたえているのですか?」
「えっ?」
突然声をかけられた。
振り向くと、一人の女子生徒が立っていた。凛とした顔立ちで、右手を腰辺りに当てていた。髪型は茶色っぽい髪を結んで、ポニーテールだった。
恐らく先輩だろう、リボンの色が俺のクラスの女子達と違うからたぶんそう。
「え、えっと・・・」
「ん? もしかして貴方、新入生ね。しかもお試しで入学したという、この学校唯一の男子」
「は、はい」
すると、彼女は俺とトイレを見比べた。
「あぁ~なるほど。周りが女の子ばかりで、抑えきれなくなったその欲望を一気に発散しようと、女子トイレにやってきたのね。なるほど、やっぱり男の子か・・・」
「ち、違います。俺はただ純粋にトイレに行きたいんです。でも女子トイレしかないんです」
「ふむ。そういえば、その事は会議でも話題にはでなかったわね。なら、教師用のトイレを使えばいい。あっちは男性用のトイレもあるから」
「そうですか。ありがとうございます。で、そこは何処に?」
「1階の職員室の前にある。早く行かないと始業式が始まるぞ」
「分かりました。では失礼します」
俺は小走りで、トイレに向かった。
そういえば、あの人の名前聞いてなかったな。
トイレを無事に終わらせ、始業式に出るため体育館にいた。
「それではこれより、始業式を始めます。まずは理事長からのあいさつです」
視界の人がそう言うと、壇上にスーツ姿の女性が登壇した。
「皆さんおはようございます。そして新入生の皆さん、ご入学おめでとう。私がこの学校の理事長、蒼乃里香です。」
とてもスラッとした体型に一瞬ドキっとした。これで母さんと幼馴染みだと、とても同い年には見えない。
「おっと危ない、歳の話しをすると後が怖いからな母さんは」
「なに、一人でぶつぶつ言ってるの?」
「いや、別に」
そうこうしてると、理事長の話が終わった。
「次は生徒会長からのあいさつです」
すると一人の女子生徒が登壇した。その人は何処かで見たことがあった。
「あっ、あの人だ!」
「あの人?」
「いや、こっちの話」
「皆さん、生徒会長の篠山トウカです。本当はこの場で私があいさつしようと思いましたが、ここで私からの提案です。今年から男子生徒が一人入学しました。そこで、その男子にあいさつして貰おうかと思います。それでは、速見くん、ステージに登壇してください」
生徒会長、もといトウカさんがあいさつをすると思ったが、突然凄い提案をしだした。その為、在校生、そして先生までもがザワザワしだした。
それにしても、速見くん。たいへんだな。こんな状況であいさつなんて・・・・・・。
「俺かぁ!!!!」
「ツバサ、うっさい!!黙ってステージに行きなさい」
どうやら、逃げ場がないみたいだ。
俺はしぶしぶ、登壇した。そして、マイクの前に立った。そこから少し離れた所からトウカさんがニヤニヤと見ていた。
「えっと・・・。僕も急に女子校に通うことになりびっくりしてます。ですか、皆さんと楽しい学校生活をしたいと思ってます。よろしくお願いします」
俺があいさつをすると、周りから拍手が鳴り響いた。どうやら成功したみたいだ。俺はマイクのスイッチを切り、ステージから降りようとする。そして、トウカさんの前を横切ると
「ご苦労様、あなたやるわね。あんなアウェイななかで」
「誰のせいだと思ってるんですか」
こうして、始業式はなんとか終わった。