第1話:通学
季節は、4月。
外を見ると、桜が咲き誇り、そよ風が吹くと花びらが舞いあがる。
俺は歩道を、少し落ち込みながら歩いていた。
「はぁ~。なんか気が重いな・・・」
全てはあの日の手紙。
この街唯一の女子校。『聖ローズ女学園』からの手紙だった。
女子校であるこの学校が、近いうちに共学化したいらしく、理事長と幼馴染みだという俺の母さんが、お試しということで、俺を入学させてもらったらしい。
そのため、俺が頑張って受験した学校を辞退しなければならなくなってしまった。
「まぁ・・・。起きてしまったことはしょうがないな」
ちなみに制服は、セーラー服ではなく、ちゃんと男子用のブレザーで、薄目の水色をしていた。
「それにしても、意外と俺の家から近かったんだな」
学校は、家から歩いて約15分ぐらいの所にあった。俺が通っていた中学とは逆方向にあるため今まで、気がつかなかった。
「えっと、もうすぐ到着か」
それからすぐ学校には着いた。そう『学校』には到着したのだ。
「で、デカすぎるだろ・・・。未だに校門が見えないじゃん」
「(ねぇねぇ。あれがもしかして噂の?)」
「(あぁ~。そうかもね?結構、いい感じね)」
「(そうね。なんか今年度、楽しく過ごせそうね)」
俺の隣を女子校生が通り過ぎる。話からするとこの学校の生徒だ。
「さっそく噂になってるんだな。もしかしてあれか?」
校門らしきものをようやく見つけた。登校中の大勢の女子生徒が群がっていた。
「う゛・・・。なかなか入りにくいな」
「(男の人だ!?)」
「(やっぱり、本当だったんだ)」
「(うっそー!! わぁすごぉい)」
「(同じクラスになれるといいな)」
小声で話しをしている。
聞こえているが、聞こえないふりをした。
「(あいつ、本当にこの学校に・・・)」
「もしかして、あれがクラス表かな?」
校舎の入り口前に、巨大な白い模造紙が張り出されていた。
「えっと、俺は・・・あった、C組か・・・」
クラスを確認してから、校舎に入った。
学校の中は、なんだかふわっとした香りがした気がする。
やっぱり女の子ばかりだからなのか?
1年生の教室は2階。
階段を登って、自分の教室を見つけた。階段を登るとき、前の子達のスカートが見えそうで目を逸らしたりと大変だった。
2階に上がり、『1年C組』のクラス表が掛けられている教室についた。
「よし、まずは第一印象か・・・」
俺は意を決して、扉を開けた。