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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ツンデレ初恋

作者: 渓流花月

あぁ。つまんねぇ。

「はぁ。」

溜息をつきながら校内30周ランニングをしている俺は永野輝。

ランニングといっても自分の趣味とかじゃなくて、野球部のトレーニングとしてあるのである。

まだ高1なので雑用やランニングばかり。

野球は小学校のころからやっていて中学では県内での優勝まで経験したことがある。

それが認められたのか受験もせずにこの高校へ入学できた。

授業時間以外は朝から野球尽くし。

今日はランニングばかりだ。

「はぁ。」

また溜息。でもこんなに走らせているんだから少しくらい溜息をついてもいいだろう。

そう自分で肯定させながらランニングに集中する。

「永野ぉ!」

大きな怒鳴り声がグラウンド中に響く。

どうせ顧問の蓮池だろう。

「はい。」

めんどくさがりながらも、しぶしぶ返事をする。

「はい。じゃねぇだろ。もっと声を張らんか!」

ったくなんだよ。他のやつには甘いくせに。

「はいっ!」

とにかく声を張り上げて叫んだ。

「永野以外寮に戻れ。永野はあと20周!」

蓮池は俺が受験なしでこの高校に入ってきたことをよく思っていないらしく、いつも怒鳴られるのは俺ばかり。

「はいっ。お疲れ様でした!」

他のやつらは全員寮へと戻っていく。

あぁ。今日は最悪の一日だ。


「はぁっ、はあっ。」

息がだんだん荒くなってきている。

よしっ。ラスト1周っ。

「輝っちぃ!」

ったくなんだよ。こんな時に。でもこの呼び方で俺を呼ぶのは1人しかいない。

高3の村田咲喜先輩。

女みたいな名前だが野球部の部長である。

「っんだよ。」

不機嫌そうに返す。こんな風に会話できるのも村田先輩が優しい性格ということを知っているからだ。

「まだ走っているな、と思ってな。」

わざわざ見に来てくれたのか。

正直うれしかったが自分がそれを言葉にできる性格ではないことくらい分かっている。

そしてそのうれしい、の気持ちが自分の中ではどういうものかということも。

「あっそ。」

そのためこんな返事しかできないのである。

「素直じゃないなぁ。」

やっと30周走り終えたところで不意にそんなことを言われ顔が赤くなってしまったがすぐに先輩のいつもの冗談ということに気づき目をそらした。

「本気なのになぁ。」

なんて言いながら俺の後ろから抱きついてきた。

「ったく。やめろって。」

そう言って振り払おうとした時だ。

後ろを振り向いた瞬間目の前に先輩の顔があり、驚いて避けようとすると顎を軽くつかまれ、唇にやわらかい湿ったものに触れるのが分かった。

はじめは何のことかわからず抵抗なんてできなかったが徐々にキスということに気づきあわてて振り払った。

「っはぁ。っにすんだよ!」

俺は頭の中が真っ白それを言うので精いっぱいだった。

「…ご…ごめん。ごめん。冗談だって。」

返ってきたのはいつもの明るい返事。

冗談を言うときはいつもこんな感じだ。

自分の中ではキスなんてとても…冗談でできることじゃないのに。

「…。」

「ごめんって。初めてじゃないんだろ?」

初めてとかそんなことはどうでもよかった。ただ…

「うっせぇな。こんなこと冗談ですんなよ!」

自分は冗談でされたことに対して怒っているのだ。

俺がどんな気持ちで先輩を見てるかなんて先輩は知ってるわけもない。

言いたくても言えない気持ちがあるから。

「ごめん。…ほんとは冗談とかじゃないから。」

いつもふざけている村田先輩が真面目そうな目で見つめてくる。

「…だから。」

小さな声で聞こえない。

「えっ?」

思わず聞き返してしまった。

村田先輩は次は大きな声で

「好きだからだよ!!!!」

って叫んだ。

運動場には村田先輩と俺だけ。

俺は嬉しいのかドキドキしているのかよく分からない心情に陥った。

それからの沈黙はとてつもなく長く感じた。

多分この沈黙を破れるのは俺の気持ちだけ。

俺は自分の正直な気持ちを打ち明けることにした。

冗談だったとしても、この気持ちは伝えておきたい。

「先輩。俺も...」

その後が続かない。

たったこの2文字を言うだけなのに、何で俺は言い出せないのだろう。

こんなにも伝えたくてたまらないのに。

いつもの強気な性格も何処かへ行ってしまったようだ。

その間にも沈黙が流れている。

自分がその続きを切り出せないでいると、先輩がその沈黙を破ってくれた。

「ごめん。無理に合わせなくていいから。」

とても切なくてでそれでもはっきりとした声だった。

俺はその言葉に何かを打たれた。

気づけば叫んでいたみたいだ。

「合わせてるわけじゃない!!!俺は...お、俺も先輩のことが好きだから!」

先輩は驚いたような顔をした。

もしかして、これも冗談じゃ...?

それよりも、好きの気持ちはこんなにも簡単に言えるということに驚いていた。

「ありがとう。」

先輩はそう言って僕を抱きしめてくれた。

夏場なのに、そのほんのりとした先輩の体温が嬉しかった。でも

「先輩。暑いです。」

流石にこの夕焼けの暑さには耐えられない。

その後先輩はいつものように、笑って

「ごめん。ごめん。」

と謝ったのだった。


それから、先輩と付き合うことになったのだ。


はじめまして。渓流花月(けいりゅうかげつ)です。始めての作品でいきなりBLをやられていただきました。しかも連載。

私はこれを書いていて、まだまだ語彙力が足りないなぁと改めて実感しました。

この小説を読んでいて誤字やここ、こんな表現の方がいいんじゃない?なんてコメントもジャンジャン受け付けていますのでお待ちしております。

最後にこれからもよろしくお願いします。とだけ言っておきます。

では、また次の機会に。

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