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恋のラスト・オーダー  作者: 篠宮 梢
7/23

◆相手にしてる暇はありません

更新しました。

 私の唯一無二の親友だった山野やまの 真波まなみ。 

 その真波は只今出産間近。と言うか・・・。


====

To:真波


Sub:あかちゃん


本文:もう生まれたぁ~?

   生れたんならお見舞い行くよ~?



====


 連絡用にと預けられた携帯で連絡を入れれば、すぐに返事が返ってきて、私がそれをにやにやと見ていれば、私の向かいに腰をおろしていた男の人(当然結城さん)が、ピクリと反応した。


 本当にこの人は心が狭い。

 きっと真波はこの男に騙されているに違いない。


 現に真波はこの男にメロメロ(死語)で、私の忠告には耳も貸さない。

 だからこれはほんの仕返し。


「良かったねぇー?男の子だって。ほら、可愛くない?名前は結翔君だってさ。」


 携帯の画面には、産まれたばかりの可愛い赤ちゃんと、ピースをしている真波の写真が写ってる。

 それを見た結城さんの顔ったら、すっごく悔しそうだった。

 今にも私の首を絞めるんじゃないかってくらいに。


 ふふん、ザマ~ミロっ!!


「エリートともなると、恋人の出産にも立ち会えないなんて可哀そう。私ならそんな男絶対選ばない」


「真波はちかちゃんと違って強くて優しいから。」


「強くて、優しい。ねぇー?本当にそう思ってるんなら、絶対後で後悔するんだから。」


 真波はそんなに強くもないし、優しくもない。

 真波と私はそっくりだから、真波の考えそうな事は判ってる。

 きっと真波の事だから多分・・・。


「ねぇ、桐崎さん。ここって一流の会社なんでしょ?」


「・・・そうだな。」


 私の持ってきた書類に目を通しつつ、興味なさげに応えるここの経営者サマ兼私の今現在の家主サマ。

 今の彼なら、なんでも簡単に頷くだろう。


「それなら一人くらい、半休とっても潰れたりなんかしないよねぇ~?」


「・・・、そうだな。」


 よしよし。


「なら、結城さんとデートしたいから、結城さん借りてくね?結城さん、いこ?」


 椅子から立ち上がって結城さんの手を取れば、結城さんは頭を横に振った。

 

 何よ、行けないっての?


 私の責めるような視線にそうっと目を閉じたかと思えば、結城さんは私の手を静かに離し、鞄を持って、外へと歩き出した。


(どいつもこいつもっ!!)


 なら、好きにすればいいんだ。

 後で捨てられても知らないんだからねっ!!


「ねえ、この辺で美味しいケーキ屋さんドコ?」


「・・・知らん。」


「あー、もう。もういいや。今日は帰らないからよろしく。」


 こんな無愛想な家主サマに付き合ってる暇はない。

 どうせ今日もこの家主サマも帰らないのだから、私も勝手にする。


 そう言い残し、私は桐崎さんの会社から友人の入院している病院へと急いだ。  





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