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恋のラスト・オーダー  作者: 篠宮 梢
15/23

◆叫んじゃっても良いですよね?

 朝目覚めてみたら、隣には見知らぬ男。


 そんな実に恋愛小説系の、在り来りで、王道的な体験をまさか自分で体験する羽目になるなんて。

 せめてのも救いは、全くの見知らぬ人ではないと言う事くらい。


 昨日とは打って変わってすっきりとした気分に体調。

 掌で額を触ってみても熱くないし、寒気も感じない。

 座ったままの体勢で、背伸びをしてみれば・・・。


 ボキッ、ボキボキ、ミシッ。


(わおぅ~。すっごい音)


 一日動かなかっただけでこれなら、長引けば長引くほどもっとひどくて凄い音が鳴るかもしれない。


 ひゃっほ~い!!

 一日で治って良かった~。

 流石に若いね、私!!


 あまりの気分の良さで、寝ていたベッドから降りようとした所で、ふと疑問が生じてしまった。


 あれ?私ベッド寝てたっけ?あれれ?

 うーん、思い出せない。

 思い出せないよ、私。どんだけへばってたんだろね、私ってばさ。


 腕を組んで、自分の事を考えていた私は、隣で寝返りをうった人の「・・・ん、」と言う、如何にもな吐息に慌ててその大きなベッドから降り、ひたひたと裸足で音を立てない様に歩き、静に部屋を脱出した。


 その間、時間にして約三十秒。


 一緒に暮らし始めてまだそんなに経ってないけど、桐崎さんが人の気配や、物音に敏感なのはすぐに判った。そしてその代わりに、人一倍気遣いやな性格でもあると言う事も知ってしまった。


 怜悧な表情と物少なな言葉、非道とも思える態度で誤解されがちな人なのだなという考えに至ったのは、実は一昨日のお昼の事。


 でもそれを知ったからと言って、私の何かが変わる訳でもなし。まぁ、少しだけ見直したかな?と思ってしまったのは、まぁ、この際脇に置いておく事にして。


 ひらひらと揺れるパジャマの裾を気にしつつ、(ショートパンツをすぐに履かなかったのは、面倒だったから)顔を洗う為に洗面所に行った私は、そこで見知らぬ女の人とばったり遭遇した上に、更には思いっきり胸を下から揉まれてしまった。


 だから。


「ぎゃあーッ!!」


 だから朝っぱらだって言うのに、叫んじゃってもしょうがないよね?

 お願いだから、しょうがないと言って下さい。

 

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