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『キリトリセカイ』  作者: くさかはる@五十音


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049 / なにげない一日


「いってきます」

「はーい、いってらっしゃーい」

朝7時、仕事に行く旦那を送り出すと、私は二階にあがる。


「さあ、もう朝よ。起きなさい」

旦那を送り出したら、今度は息子を小学校に送り出す番だ。

このところ寒くなったのもあって、息子はなかなか起きてくれない。

「たっくん、もう朝だよ。起きなさい」

「もうちょっとだけー」

それが許されるならどんなに楽か。

「たっくん!起きなさい!」

「えーわかったよう。うるさいなぁ」

三度目の呼びかけにして、孝也はやっと布団から出た。


階段に気を付けるように後ろからついていきながら、そのまま洗面所までいく。

「はい、顔洗って。ちゃんと歯をひとつひとつ磨くんだよ」

「はーい」

寝ぼけ眼の孝也は当然のように、いいかげんな歯の磨き方をしている。

「ほら、磨けてないじゃない」

私はかがんで歯ブラシを持って「こうやるんだよ」と手本を見せてやる。

「いいよお」と孝也は泡だらけの口で言うが、歯は大事なのだ。小さい頃から基本を叩きこんでおかないと私みたいに虫歯だらけになってからでは遅いのだ。


「パン焼くよ」

最近、箸の扱いを覚え始めた孝也には、朝ご飯に白米はまだハードルが高い。

「先生からプリント出すようにとか、言われてないよね」

昨日返ってきてからも聞いたのだが、子供というのはいい加減に返事をするので、何度も同じ質問をしなければならない。

「はい、じゃあランドセルね。こっちは給食袋。」


本人は気が付いていないが、孝也は旦那と同じ方の足から靴をはく。

私はそれを確認するのを毎朝たのしみにしている。

「いってきまーす」

「はい、いってらっしゃい」

朝8時、孝也を送り出したら今度は洗濯物を干す。

それが終わったら私もパートへ行かなければならない。


この単調な日々に彩りを添えているのは、間違いなく、毎日送り出している二人の存在だ。

大きな息子と小さな息子。

孝也なんか、こないだまで両腕におさまるほどの乳飲み子だったのに。

そのうち反抗期とかいって「死ね!くそばばあ!」なんて言われちゃうのかしら。

ふふ。

覚悟しとかなきゃあ。


今日の天気は曇り。

風が強いから洗濯物を洗濯ばさみで竿に止めておかなくちゃ。


ああ、今日も最高の「なにげない一日」が始まった。


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