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獣娘最強

「あーはっはっはっは! 甘い! 甘すぎる! お前らの精鋭部隊は殲滅したにゃ!」

新宿御苑に高らかとこだまする透き通るような若い女の声、ミャウだ。

山までも届きそうな声量。

その宣言は新宿御苑外縁に陣取っていた本隊にまで響き渡っていた。


「各隊、状況を報告せよ! アルファ! ガンマ! シータ! 誰でもいい! 報告を!」

「なんだこりゃ? もしかしてこれで話しができるのか? だから殲滅したって言っただろ!?」

通信機から聞こえてくる乱暴な物言いの女の声。

他からの通信は一向になかった。


「各隊……全滅の模様!」

「本部に通達、第一作戦行動における各隊の安否不明、第一作戦……失敗」

「……本部、報告確認。直ちに第二作戦に移行せよ」

「了解、直ちに第二作戦に移行します」


「いまから報復するから覚悟するにゃ!」

「うちら相手に闇討ちなんて間抜けもいいとこだよ!」

「俺たちがボコボコにしてやるから覚悟しやがれ!」


新宿御苑のおよそ中心にそびえる石造りの城壁の上に並び立つ影。

雲が流れて月明かりがその影を照らす。


頭の上にピンと立つ獣の耳、臀部からはゆらゆらと揺れ動く長短さまざまな尾。

艶やかささえ感じる美しく引き締まったしなやかな肢体。


瞳は爛々と輝き、今まさに始まろうとしている戦闘を前に、その顔は喜びに満ち満ちている。

口元からはまるで熱い煙でも吐き出しているようだ。


「祭りの時間だ!」

「第二作戦行動開始」

獣娘のリーダーであるリオがそう宣言するのと同時に、本部から次の指令が下されていた。

本隊で待機していた隊員たちが銃器、グレネードランチャーなどを手に足を進める。


「いっくにゃ〜!」

十数メートルもある城壁の上から飛び降りる獣人たち。

城門に控えていた獣人と合流する。


銃器が構えられ、獣人の爪と牙が月明かりにきらめく。

近代兵器と野生の暴力が、いまぶつかりあう……はずだった。


「待ってくれ! 三食昼寝付き! キミたちの食の安全は確保する! だから争うのはやめてくれ!」

この娘たちを危険になんて晒せるもんか!


突入部隊を背に一郎が叫ぶ。

ぴたりと止まる獣娘らの足。

事の重大さに気づいた一郎が獣娘たちを追い越していたのだ。


ぐぅぅぅぅ。

ミャウのおなかから盛大に腹の虫が鳴る。

「五食にゃ」

「手を打った!」


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