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第九十話 魔術師の手品


第九十話 魔術師の手品


王国最強の隊に拾われた緋色の髪の少女リーアは、今、手に持っている一束の札を見つめている。

(全然減っていない…)彼女は表情を曇らせ、手元の13枚の札を見つめる。

(そもそもこのルール自体、組み合わせるのが難しいけど…)リーアは他の数名の手札の枚数を見る。

(自分が最下位なのか…)少女は内心で仕方なくため息をつく。


(元々は札遊びを通して車内の他のメンバーと親しくなる機会を増やそうと思ったのに…)リーアは手元の、最初に引いた時からずっと離れないジョーカーを見つめる。

当時はカイルが自主的に参加すると言い出した。理由はもちろんセリと一緒に遊べるからで、特にセリが初めてババ抜きをすると知り、彼はさらに興奮した。

(自分が参加したいと言った時、その感じはちょうど一人足りないから…みたいな感じだった)彼らが何かで足りるとかいう話をしていたのは聞き取れなかった。


(だが…)リーアは一緒にババ抜きをしている三人を見る。

(左は名前を知っているカイル様、右は突然別人のように感じられるメイド、向かいは…)少女は馬車の中でもまるで自ら光を放っているかのような白髪の女性が、カイルがゆっくりと彼女の手から札を引いていくのを見つめる。

(なぜか向かいに座って、全く接点がない…)リーアは内心で仕方なくため息をつき、向かいの白髪の女性が振り返ってメイドの手から札を引くのを見つめる。


(一応名前は…セリって言うんだよね?)他のメンバーが皆そう呼んでいるのを聞いた。この馬車のメンバーの中心人物のような気がする。少女はセリを見つめる。

(この名前、どこかで聞いた覚えが…)リーアは内心考えるが、全く手がかりがない。

初めてババ抜きをするセリは、再び注意深くメイドの手から引いた札を見つめ、自身の手札と照らし合わせ、一枚の♠️スペードのクイーンと♣️クラブのクイーンを、動作が軽やかに中央の札の山に置いた。


リーアが呆然と、セリの天使のような外見を見つめていると。

「ねえ、私が引く番よ」傍らで豪快な座り方をしたメイドが彼女を呼ぶ。

「あ、すみません」リーアは急いで札を差し出し、メイドの縫い目で覆われた不気味な指が、彼女の札の上を行き来し、その後あまり考えずに一枚を引き抜くのを見る。

しかしその後、引いた♥️ハートの2と自身の手元の♦️ダイヤの2を捨て、そして退屈そうに周囲を見回す。


(彼女、どうして毎回引くたびにちょうど組み合わせられる札を引けるんだ…)リーアは内心考え、理由もなく手元の札を、あのジョーカーを含めてシャッフルする。

(自分は一枚も組み合わせられていないのに…)彼女は振り返って傍らの金髪の男性を見る。カイルはとっくに手札を差し出していたが、視線は完全に少女には向いていない。

「セリが今一番少ないね…」カイルは口を開き、セリの手元の七枚の札を見つめる。


「そうですか?」セリは困惑して言い、自身の手元の七枚の札を見つめ、その後傍らでトランプを使った曲芸をしているメイド(子狐)を見る。

自分の札は彼女の手元の同じはずだ、セリはそう思う。印象では子狐の手元にもあまり多くの札はなかった。

「セリは毎回引くたびに組み合わせられる札を引いてるね…」カイルは札が引かれたのを感じると、ゆっくり手を引き、もう一方の手を上げてセリが持つ七枚の札を引こうとする。


(運がいいんだね…)いわゆる初心者運か?

カイルはセリの手から引いた札を見つめる。

「よかった、組み合わさった!」カイルは興奮して♣️クラブの6と♠️スペードの6を捨てた。

(自分は手元に9枚か…)カイルは考え、残る二人をチラリと見る。リーアの手元は変わらない13枚、そして向かいのメイド(子狐)は手品のように手元の札を弄んでいる。


(ジョーカーもいつ引かれたか分からない…)カイルは手元の札を見る。さっき注意力は完全にセリに集中していて、自分が最初にジョーカーを配られたことしか覚えていない。

今回は自分が配ったから、またニースのような状況にはならないだろう。

(これなら最下位にはならないだろうな…)今一番多いのは自分ではない。

(セリがいるだけで自分は運が良くなった気がするよ~)たとえ手元のにはまだ多くの札があるが、心境の変化の問題だろう。


「どうぞお引きください、セリ様~」メイド服を着た子狐は口調を軽くして言い、手品のように、消えた札を空中から出現させ、手に持つ七枚の札を持つ。

「え~、あなたの札、私とほとんど同じね」セリは自身の手元の六枚の札と、眼前のメイドの手に持つ七枚の札、そしてあの曲芸のような手品を見つめる。

「まあ~、ね~」メイド(子狐)はセリの細い指が札の上を行き来するのを見つめる。表情は微笑んでいる。


(早く終わりすぎてもつまらないしな…)彼女は内心思う。


セリはメイドの手から一枚の札を引き、裏返した。

「ない…みたいですね」セリは手元の引いた札と、自身の元々の手札を注意深く照らし合わせる。組み合わせられるものはない。

セリが考えていると、メイド(子狐)は二枚の札を捨てた。

「今は私が一番少ないですね~」彼女は愉快に手元の残る五枚の札を挙げて言い、その後、手を返すと札を消した。


セリは珍しそうに彼女が札を消し、また手を返すと一二枚を手元に出現させるのを見つめる。

「あれはどうやってやってるの…?」セリは好奇心を持って尋ねる。

「セリ様、この技に興味がおありですか~」メイドは愉快に言い、一枚の札を手元に出現させる。

「これは私が以前マジシャンをやっていた時に学んだものです」子狐はその♦️ダイヤのクイーンの札をセリの目の前で掲げる。


「マジシャンですか…」さっきは料理人だと言ってなかった?

「教えてもらえますか?」セリは少し緊張して尋ねる。

「それはちょっと無理かもしれませんね~」メイドは口調を穏やかにするが、目つきは意外にも冷たい。

セリの前で手を返し、手元のあの札を消す。


「マジックの手法は死ぬまで秘密ですからね~」彼女は愉快に言う。


(お前、もう死んでるじゃないか…)カイルは傍らでリーアが札を引くのを待ち、自分がセリの札を引けるようにしている。

「子狐…」その時、座席に座る黒髪の少年が、真紅の瞳で冷たくメイドを見つめ、手元には小象のぬいぐるみを抱えている。

「セリが教えてくれって言ってるのに…」ヴィシャは冷たく言う。たかがぬいぐるみがよくもセリの願いを断るなんて。

(許せない…)じっと。


メイド(子狐)はヴィシャの冷たく、全く子供とは思えない恐ろしい目つきを見て、手元の札を全て手元に戻す。

「では簡単なものから学びましょうか~」彼女は微笑んで言う。

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