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第八十三話 救うか救わないか


第八十三話 救うか救わないか


「では、投票を始めよう」ほとんど常に覆面で顔を隠しているニース(の分身)が、感情の読めない平坦な声で宣告した。

彼女が隊長になって以来、不死庇護内部で行われる初めての正式な投票となる。

「選択肢は単純:救う? 救わない?」分身は明確に説明し、セリを除外した残り六人での採決であることを伝えた。

もし投票で明確な結果が出れば、わざわざ眠り続ける「元隊長」セリを起こす必要はない。


金髪の剣士カイルの視線は、遠くに横たわり生死の定かではない赤髪の少女へと自然と向かい、理由のない不安と不合理感が胸に湧き上がった。

彼の考えでは、普通の人なら手を差し伸べることを選ぶはずだ。ましてや彼らは王国最強の傭兵小队「不死庇護」なのだ。一人の少女を救うことなど、彼らにとっては実に容易いことではないか。

しかし今、彼らはこのためらいなく選ぶべき選択のため、正式な投票を行わなければならない。そしてその可能性のある結果の一つは、この重傷を負った少女を見捨て、その生死を運任せにするというものだ。


「『救う』を選ぶ者は手を挙げよ。手を挙げなければ『救わない』とみなす」分身は投票のルールを簡潔に説明した。棄権や中間地点は存在しない。

カイルは緊張して振り返り、素早く他の者の表情をひと目見た。

自分以外の者は、誰もがこの事柄に興味がなさそうに見え、あるいは無関心さえ帯びていた。

カイルの内心は沈み、最終的に自分一人だけが手を挙げる可能性も、なくはないとさえ思い始めた。


「では、投票を始める」


---

この薄暗く、魔物が潜む危険な森の中で、環境にそぐわない一群の人々が存在する。

彼らは王国最強の傭兵小队であり、無数の人々を助け、数えきれないほどの伝説的功績を打ち立て、その名を知らぬ者はいない。

隊は「聖母マリア」の生まれ変わりと称されるセリ・エルマによって設立され、どんなに困難な任務を実行しても、常に奇跡的に全員無傷で帰還する。

隊の名は、まさに「不死庇護」である。


カイルは内心不安だったが、それでもなお確固として手を挙げた。その動作は規格通りで、疑いを挟ませない気勢を帯びていた。

しかし、彼は堅く目を閉じていた。あたかも投票結果をこの目で見るのが恐ろしいかのように。

(他の者も……私と同じように手を挙げてくれるだろうか?)この考えが彼の頭から離れない。

(まさか……最終的に私一人だけなんてことはないよな?)


彼はこっそりと片目を開け、緊張しながら覗き見た。

すると、皆の中央に立つニースの分身が瞬時に票数を集計し、口を開いた。

「3対3ですね」彼女は低声で、平淡な口調ながら、最も面倒な票数の結果を告げた。


(3対3……?)ニースの言葉を聞き、カイルはぱっと目を見開き、他のメンバーを急切に見つめ、彼らの選択を確認した。

(ニースは手を挙げていない……当然だ。トゥレンも挙げていない……予想の範囲内だ)カイルは視線をセリーネに向け、彼女がなんと手を挙げていることに気づいた。彼女の顔には特別な表情はなく、ただ何気なく選択をしたように見えた。

馬車の御者台に座るエリスは手を挙げていなかった。彼女はただ淡々と投票結果を一瞥するだけで、すぐに注意力を肩にもたれかかるセリに戻した。眼前のすべてに関心がないかのように。

(ならば残りは……)カイルは前方、メイドの小象に抱かれたヴィシャを見た――小象が代わりに彼の手を挙げていたのである。


中央に立つニースの分身は、習慣的に手を上げて顔の覆面を引っ張った。

「では、ルールに従い、セリを起こそう」分身は宣告した。セリに最終的な選択をさせるためだ。セリがどちらを選ぶかは、皆内心すでに分かっていることだが。

「わざわざ起こす必要ある?」セリーネが尋ねた。挙げていた手を下ろしながら。

「どうせ彼女がどっちを選ぶか、もう分かってるんでしょ?」彼女は付け加えた。セリのあまりに疲れ切った寝顔を見て、昨日はきっと何か心力を消耗する出来事があったのだろうと推測した。

(一晩中寝てなかったんじゃないか?)セリーネの視線は、昨夜ずっとセリと一緒にいたニース(馬車内の本体)を若有所思に一瞥し、いったいどんなことがセリをここまで疲れさせたのか内心で推し量った。

彼女は無意識に自身の太腿の内側の某所を触った。そこには元々印があったが、今は何もなく、滑らかな肌だけが残っている。


(セリはきっと救うを選ぶ)全員の内心には結果がはっきりと分かっていた。


「私も……わざわざセリを起こさなくてもいいと思います」馬車の上、特に枕にされているエリスが同意した。

彼女は今のセリと親密な静かな時間を楽しんでいて、少し名残惜しかった。

それに、もしセリに自分がさっき「救わない」票を入れたことを知られたら、セリがどんな反応をするか……


「それはいけない」ニースの分身は即座に否定し、覆面を引っ張っていた手を下ろした。


「彼女にも参加意識を持たせなければ」分身は口ではそう言うが、現実的な考慮は……

「これが今後、不死庇護が同様の事態に遭遇した際に、我々が採る決定方法だということを知らしめねばならない」

これはニースが不死庇護の新隊長として立てた規律である。

「もちろん、この方法に異議がある者は、今申し出よ」

「『個別解決』とする」ニース分身の口調は相変わらず平静だったが、「個別解決」という四文字は、理由もなく冷たい重みを帯びていた。


「『個別解決』……だって?」トゥレンは異常な口調でこの言葉を繰り返した。ニースに対する彼の理解からすれば、このいわゆる「個別解決」は、またあの「武力説得」のことなんじゃないか? 確かにこれも一つの「解決」方法ではある。

そう考えると、彼はまた首筋を掠める冷たい幻覚を感じ、思わず震えが走り、背筋が寒くなった。

(同数……3対3……セリを加えれば……)カイルは速やかに我に返り、結果を計算した。

(ならば最終結果はあの少女を救うことになる!)セリは絶対に人を救う方を選ぶ。考えるまでもない!


「私が彼女をここに連れてきます!」カイルは激昂して言った。その口調には抑えきれない興奮と安堵が混じっていた。

(セリーネとヴィシャが救う方を選ぶとは思わなかった……)彼の頭には一瞬の疑問がよぎったが、それ以上に喜びが大きかった。

彼は最初、最終的には本当に自分一人だけが孤軍奮闘するのだと思っていた。

カイルは手を下ろすことさえ忘れ、待ちきれずに振り返り、足早に意識不明の少女がいる方へ走り去った。


他の者はその場に残り、彼の慌てて去って行く後ろ姿を見つめた。

小象の手だけが、ヴィシャが下ろす指示を出さないため、機械的に空中に挙げられたままだ。

ヴィシャは興味深そうに小象の腕の中に横たわり、真紅の目を瞬きながら、他の者を不思議そうに見つめた。今の状況があまり理解できていないようだ。


「彼女を直接、ぬいぐるみの新しい器にしちゃいけないの?」ヴィシャが突然、驚くべき発言をした。

彼が最初から考えていたのは、この少女を「救う」ことではなく、どう「利用」するかだった。

「本物の人体を使って、自由に動ける『生き人形』を作ってみたいんだ!」ヴィシャは興奮して彼の真の計画を話した。そしてこの「偉大な計画」の最適な素材は、言うまでもなく目の前のこの少女だ。

そうすれば誰かが一日中ババ抜きで遊んでくれる! 第二回ぬいぐるみババ抜き大会も開催できる!

(ところで、第一回ぬいぐるみババ抜き大会がどうやって開催されたのか、まだ誰も知らない……)


「前にサルの体で実験しようと思ったこともあるけどさ……」ヴィシャは独り言のように考えた。

「でもサルってどこにでもいるものじゃないし。その点人間は、雑草みたいにいくらでもいて、手に入れやすいんだよね」


「おいおい……」トゥレンはそれを聞き、呆れて額に手を当てた。

「そんな考えなら、最初から『救わない』に投票すべきだったぞ」どうやらヴィシャは最初から彼らの投票の真の意味を理解していなかったようだ。

「なに!?」ヴィシャはたちまち極度に驚いた表情を浮かべた。彼にとっては、「救う」というのは、「拾ってきて素材として利用する」ことのはずだった! 何が間違っているというのか?

「小象、手を下ろせ」ヴィシャは即座に指示した。

「了解」小象は言われた通りに、ずっと挙げていた手を下ろした。


「ニース~」ヴィシャはニースの分身に向き直り、哀れっぽい表情を作った。

「答えを変えていい?」なぜなら彼はさっき、投票の内容を完全に誤解していたからだ。

「僕が欲しいのは彼女の体を素材にすることだ!」彼は自身の要求を明確に再主張した。

これは彼女を救うのではなく、物尽其用にする「利用」なのである。


「その提案は後に回して投票しよう」ニースの分身は冷たく応じた。本当に「少女を生体ぬいぐるみ素材とするか否か」を不死庇護の第二回投票議題とすることを考えているようだ。

「今は、手順に従い、セリを起こす」彼女を不死庇護の一員として投票させるのである。

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