表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/55

ロゼア

「いいんですか!ぜひよろしくお願いします!」


 ガバっと勢いよく頭を下げる。断る理由がなかった。

 とりあえずこの森を出なければ何も始まらないのだ。


「ああ、いいよ。ちょうどそろそろ話し相手が欲しいと思ってた所なんだ。それに、このババアの経験が若者の役に立てるならそれが1番さ。ほいじゃあ、早速始めようかね」


「もうですか!?噛まれた所、まだ動くには早いと思うんですが・・・」


「んん?まだ気づいてなかったのかい」


 老婆が俺に近づき、しゅるしゅると手足の包帯を取っていく。


「あ、れ・・・?治ってる?」


「と、言う訳さ。これなら大丈夫だろうよ」


 包帯の下から現れたのは!なんと!!傷跡一つ無いツルツルの足が!!!

 嘘だろ・・・間違いなく今後歩けないほどズタズタにされてただろうし、指も何本か食われてた気がする。

 やっぱりここは魔法がある世界で日本じゃないんだろうな。

 そんな未知に対する好奇心と寂しさがない混ぜになって押し寄せてくる。

 だが今は感傷に浸る時じゃない。特訓だ、特訓。


「本当にありがとうございます!おば・・・・・じゃなくて、おねえさ━━━」


「呼び方なんざババアでいいよ。そういや名前、効いてなかったね。あんた、名前はなんて言うんだい?というか覚えてるかい?」


「はい、名前はなんとか・・・城峰玖郎と言います」


「ふむ?シロミネ・・・クロウ・・・」


「・・・・・?どうかしましたか?」


 ふとした拍子に老婆は黙り込んでしまった。そんなに珍しい名前だったのだろうか。

 いや、異世界なんだからそりゃあ日本の名前が珍しいのは当たり前か。


「いや、珍しい名前でね。気にしないでおくれ」


「そうですか。流石にババアと呼ぶのは気が引けます。良ければそちらも名前を教えてくれませんか?」


「あたしの名前?まぁ、名乗ってもらっておいてこっちは教えないのは筋が通らないってもんよねぇ。あたしはロゼアって言うんだ。いつぶりかねぇ。人に名前を教えたのは」


 改めて、ロゼアと名乗った老婆を見る。

 薄い桃色の短髪に深い皺の刻まれた顔、そして大きく力強い四肢には幾つもの傷跡が刻まれている。 

 その容貌は、明らかに過酷な戦いを生業としてきた人のそれだ。


「よろしくお願いします!ロゼアさん」


「ああ、これからよろしくねぇ。坊や」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ