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それは孵化のような

人生初の小説を投稿します

拙い文章ですが、毎日投稿しようと思っているので読んでいただけますと幸いです

━━━━夢を見ていた気がする。とても長い夢を。だけど、中身は忘れてしまったようだ。


「ん・・・んんっ」


 手と足の先をピンと伸ばすと、心地よい感覚が身体を巡る。目を開けると敷布団に机、テレビが目に入る。いつも通りの自分の部屋だ。

 ふと、目元に違和感を感じ、人差し指で擦ってみる。すると、つぅーと水が伝った。


「あれ、なんでだろ。涙?」


 なにやら夢の中身は涙を流すようなものだったらしい。どんな夢を見ていたのだろう、無性に中身が気になってくる。

 再び目を瞑り、夢を思い出そうとする。


「もうちょっとで思い出せるような・・・・・・ああダメだ、消えちゃった」


 そんな側から見れば特に意味のない戯れを行うこと数分、なんとか喉の先まで出かかっていた情景は、ふとした拍子に忘却の彼方へと流れてしまった。

 ああ、夢とはなんと儚いものだろうか。



 それにしてもよく寝た気がする。最近こんなよく快眠できた日はあっただろうか。

 確か、前にこんなに寝れた日は・・・ああ、そうだ、学校に遅刻して先生にこっぴどく叱られた日だ━━━━━━!?


「ヤバい!夢なんて思い出してる場合じゃない!学校遅れる!なんで!?アラームは!?今日は何曜日だっけ!?っていうか今何時!?・・・って、あれ?」

 

 大量の感嘆符と疑問符を撒き散らしながらも、とりあえず目覚まし時計の時間を確認しようと腕を伸ばす。

 が、どういうわけか時計に触れることができなかった。


「なんだ、これ・・・・・・膜か?」


 意味がわからない。何故か目覚まし時計と自分の間に透明な膜のようなものがある。

 訳がわからず、指でツンツンとつついてみると少しだけ撓んだ。

 そのまま、手で触って調べていく。






 調べること数分、ようやく膜がどうなっているのか掴めてきた

 

「この膜、一体なんなんだ?透明だし、伸びるし、丈夫だし、しかも俺の周り全部覆っちゃってるし・・・はぁ、俺はこの膜に閉じ込められたままどうなっちゃうんだろう。おまけに外の音はなにも聞こえないし、不気味だ」


 途方に暮れていると、不意にぐぅ〜と間の抜けた音が鳴った。


「お腹、減ったな」


 まずい。どうやら食欲があるらしい。

 夢であればと思ったが、このままここで永遠に過ごす、なんてことは許してくれないようだ。

 タイムリミットがある以上仕方ないと覚悟を決め、膜を破ろうと決心する。

 幸運なことに先程の調査で下は地面とくっついている事が判明しているので、前に進むと転がるなんてことはなく膜が伸びていく。


「ふぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」


 一歩、二歩と進むたびにギギギと膜を伸ばすために必要な力が増していく。

 そして、膜からの抵抗力が増すごとにこのまま行けば破れるという希望も増していく。

 ついに限界が来た。それは、自らの力の限界でもあり、膜の耐久力の限界でもあったようだ。

 少しでも力を緩めると、ここまでの努力が無駄になってしまうだろうという状況の中、最後の力を振りしぼり、手を前へ突き出す。


「こわれ、ろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 その時が訪れる。膜を手が突き抜けた瞬間、ぱぁんという音と共に自分を覆っていた膜が消え去る。膜の外には、これまで通りの自分の部屋・・・・・

 

「じゃない!?」





 膜を消えて喜んだのも束の間、なんと膜の外に見えていた自分の部屋もろとも弾けて消えてしまった。

 どうやら部屋の風景はプロジェクションマッピングのように膜に映されていただけのようだ。

 一体そんなもの、誰が?何のために?


「ほんと勘弁してくれよ・・・で、ここ、どこ?」


 もう今日だけで一年分の疑問符を使ったのではないか。そんな明らかに不必要な考えが頭をよぎる中、今度こそ完全に膜の外に出た俺がいたのは何もない『平地』だった。


 これは追加でもう一年分どころではない疑問符を使うすることになる。そんな予感がした。

ここまで読んで頂きありがとうございます!


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