奇跡の基礎
奇跡をどんなふうに貰えるのか気になる。
先生に聞いてみよう。
先生というのは孤児院の偉い人だ。
「先生、奇跡ってどんなふうに貰えるの？」
「そういや、お前ももう4歳か」
「奇跡は5歳になった時つまり十二時になったら奇跡の名前と詳細が頭に浮かんでくるんだ」
「その時に寝てたら？」
「寝てたら起きた時にわかるというか、一度奇跡を得たらずっとわかるようになる。まあ、大体の子供は興奮して起きてるけどな」
「わかったか」
「うん、わかった」
儀式とかは必要なく思っていたより普通に貰えるようだ。
ゴイルにも聞いてみよう。
「おーい、ゴイルー」
「どうした？」
「奇跡貰った時どんな感じだった？」
「頭の中にいきなり言葉が入ってくるんだ」
「今も入ってくるのか？」
「いいや、知りたいと思ったときだけ入ってくるんだ」
「不快感とかはないのか？」
「不快感ってなんだ？」
「気持ち悪くならないのかってことだよ」
「気持ち悪くはないな」
「お前ももうちょとで貰えるんだろ、俺のより弱くても落ち込むなよ」
「ああ」
ゴイルの貰った奇跡は「鱗」と「ブレス」だ。
魔物種はシンプルな身体拡張系の奇跡が多いらしい。
鱗は魔力による身体強化とともに強くなる鱗を作れる能力でブレスは魔力を消費して色んな種類のブレスを吐ける能力らしい。
奇跡についてはよく知らないが正直、かなり強いと思う。ドラゴン族は強奇跡が出やすいらしいから仕方ない、でも2つとも身体機能の拡張だから余り無茶は出来ないだろう。
どんな奇跡が有るのか気になるから調べて見ようと思う。
でも本で調べるのにも限界がある。書庫には確かパソコンがあった。でも5歳になるまでは触らせてもくれない。
………夜にこっそり使おう。
ということで夜寝床をこっそり抜け出して書庫に向かう。書庫にはパソコンが2台ほど配置されている。パソコンに触るのは前世以来初めてだ。
キーボードやマウスは少し前世と違うが、この世界の言語は1つしか無いから問題なく使える。
まずは、奇跡の基本について調べよう。
子ども用のサイトに奇跡の基本が書いてある。
Q.奇跡と魔法の違いは？
A.魔法は精霊に頼んでやってもらっているけど奇跡に限界はないよ。
Q.奇跡って変えられないの？
A.奇跡の根本的な性質は変わらないけど進化や覚醒をすれば強くなるよ。
Q.進化や覚醒って何？
A.奇跡は使い続けるとたまに強くなるの。それを進化といって、2回から3回ほど進化すると一気に変化するの。これを覚醒というよ。また、一度目の覚醒を迎えた人を”覚醒者”二度目の覚醒を迎えた人を”絶対者”と呼ぶの。
例えば身体強化2倍という奇跡だと
2倍→進化→3倍→進化→5倍→覚醒→10倍→進化
→12倍→進化→13倍→覚醒→30倍→進化→33倍
→進化→35倍→………
といったような感じだよ。
そして覚醒は２回までしか確認されていないの。
だから、最高の進化数は2覚醒34進化だよ。
Q.一番強い奇跡って何？
A.色んな種類の奇跡があるから比べるのは難しいけど一番多い意見は最高進化数である2覚醒34進化を迎えた奇跡「永久」が一番強い奇跡であると言われているよ。
でも、この奇跡は戦闘向けじゃ無いから一番では無いという意見もあるんだ。
なんだか眠くなってきた。
戻って寝る前に絶対者という存在が気になる。
調べてから戻ろう。
絶対者まで到達できるのは大体十万人に一人だ。
そして絶対者に到達した者には二つ名が与えられる。現在までの確認されている偉大なる絶対者を下に出しておこう。
第一位 "救世主"ステラ 34進化
奇跡名「永久」
第二位 "肉体論者"パワップ 30進化
奇跡名「成長」
第三位 "魔王"フランツ 27進化
奇跡名「魔王」
第四位 "変態"コーク 25進化
奇跡名「テンション」
第五位 "悪魔"オイター 21進化
奇跡名「契約」
第六位 "最強"サリオサ 20進化
奇跡名「最強」
第七位 "教祖"キイス 1９進化
奇跡名「信仰」
なんだか
体が重くなってきた。
……ヤバい。
…………倒れる
視界が暗くなった。
