産声
●一作の中で交じり合う、「往年のミスチルらしさ」と「新しいミスチルらしさ」。
【収録曲】
1.キングスネークの憂鬱
2.Again
3.Saturday
4.ウスバカゲロウ
5.Glastonbury
6.禁断の実
7.平熱
8.空也上人
9.Stupid hero
10.Nowhere Man ~ 喝采が聞こえる
11.産声
12.Umbrella
13.家族
前作『miss you』に引き続き、「既発曲は先行配信シングルのみ」となったMr.Childrenの新作アルバム。タイアップ曲は一切無し……というわけではないのですが、『Again』のみと少なく、相変わらず「アルバムとして聴かせる」という姿勢を強く感じられます。
ただ、全体的な作風は『miss you』と異なり、よりポップな面が強調された感じでしょうか。過去作で例えるなら2002年にリリースされた『IT'S A WONDERFUL WORLD』に近い印象があります。曲ごとに見ていけば、先程挙げた『Again』は『youthful days』を、『Umbrella』は『君が好き』を連想させるものがありました。『ウスバカゲロウ』は明るいメロディに悲しげな歌詞を乗せており、こちらは『Over』(1994年にリリースされた『Atomic Heart』の収録曲)に似た雰囲気でしょうか。
そういう意味では、数十年前の作風に戻った……とも言えますが、冒頭からアグレッシブな打ち込みのサウンドを繰り出す『キングスネークの憂鬱』やダンサブルなファンクチューンの『空也上人』といった「異色」と言える楽曲も上手く交ぜてくるのが面白いところ。『産声』のような2ビートのリズムを聴かせる曲も彼らにしては珍しいと思いますし、最後に歌謡フォーク調の『家族』で締めるという構成も新鮮。『ウスバカゲロウ』とは逆に、悲しげなメロディに乗せたどことなく希望を感じさせる歌詞が耳に残りました。
近年の彼らのアルバムは、「これまでにない要素」を強調させるがゆえに「地味」になってしまった印象があったのですが、今作は「往年のミスチルらしさ」と「新しいミスチルらしさ」が程良く共存しているうえに、「新しさ」もしっかりとインパクトに結び付けており、現在の彼らなりの「勢い」を充分に感じさせる傑作に仕上がっているのではないでしょうか。30年以上のキャリアを重ねた段階でこういったアルバムをリリースしてくる辺り、やはりMr.Childrenというバンドは一筋縄でいかなそうです。
評価:★★★★★




