REFLECTION
レビュー執筆日:2019/11/16
●「ベテラン」と呼ばれる立ち位置にいながらも常に成長し続ける。まさに「未完」。
【収録曲】
<Naked>
1.fantasy
2.FIGHT CLUB
3.斜陽
4.Melody
5.蜘蛛の糸
6.I Can Make It
7.ROLLIN' ROLLING ~一見は百聞に如かず
8.放たれる
9.街の風景
10.運命
11.足音 ~Be Strong
12.忘れ得ぬ人
13.You make me happy
14.Jewelry
15.REM
16.WALTZ
17.進化論
18.幻聴
19.Reflection
20.遠くへと
21.I wanna be there
22.Starting Over
23.未完
<Drip>
1.未完
2.FIGHT CLUB
3.斜陽
4.Melody
5.蜘蛛の糸
6.Starting Over
7.忘れ得ぬ人
8.Reflection
9.fantasy
10.REM
11.WALTZ
12.進化論
13.幻聴
14.足音 ~Be Strong
23曲収録された『Naked』とその中から14曲選んで収録された『Drip』という2種類のアルバムが製作された本作。完全生産限定版には両方が、初回限定版と通常版には『Drip』のみが入っている、という形式になっています(現在は両方ともデジタル配信が行われているようですが)。こういった「アルバムが2種類」という形態自体が結構挑戦的だと思うのですが、中身となる楽曲の方もそのような点が多く見受けられます。『斜陽』は歌謡曲テイストのメロディが耳に残りますし、『REM』はダークに駆け抜ける様相と浮遊感のあるサビが印象的なナンバー。『WALTZ』はミュージカルのような雰囲気で悲劇を綴る楽曲となっており、キャリアを重ねてこれまでに数多くの楽曲を残しておりながらも「まだこんなに引き出しがあるのか」と驚かされます。また、こういった多様な楽曲を時には丁寧に、時には勢い任せに、時には苦しそうにと様々な表情を見せながら歌い上げるボーカル・桜井和寿の力量の高さも今作からうかがい知ることができるのではないでしょうか。
また、今作では多くの楽曲がメンバーのセルフプロデュースになっており、リリース前にすでにライブで披露した曲が多いということもあってか、従来と比べてライブ感があり、バンドサウンドの迫力が増しているように思えました。特に『未完』や『FIGHT CLUB』ではそれを強く感じられます。その中でも、『未完』に関しては無骨なサウンドの中に途中からストリングスが入ってくる点が非常に面白く、少なくとも、これまでの小林武史プロデュースの元では出てこないようなアイディアになっていると言えるでしょう。
『Naked』に関しては、前述の曲以外にも、ホーンを絡めたアグレッシブなロックナンバーの『ROLLIN' ROLLING ~一見は百聞に如かず』やフォーキーな『街の風景』のような様々な曲を詰め込んでいる印象があり、それゆえにアルバムとしてやや散漫になっている印象があるのですが、『Drip』に関しては、『Naked』と同様に「多様性」や「新鮮さ」を強く感じながらも全体的に上手くまとめ上げられており、個人的にはこれまでの彼らの作品の中では最高の出来になっていると思いました。完全生産限定版・初回限定版に付属しているDVDのライブ映像内で、桜井和寿は自分達のことを「完成されないバンド」と表現していますが、まさに今作は、デビューから20年以上経ち「ベテラン」と呼ばれる立ち位置にいながらも一定の作風に固執することなく成長し続ける、良い意味での「未完成さ」を感じられるアルバムになっているのではないでしょうか。
評価:★★★★★




