サクラの日常編 第三話目
ハロー!アリスだよ!!
今日はね、大切な友達のサクラの家に遊びに行くんだ!!
いつもママに女の子の友達は大切にしなさいって言われてるからね。
それに、私もサクラと遊ぶの楽しみにしてたんだよ?
「えへへ……」
私は自然と笑顔になってるのがわかった。
今日はサクラとショッピングに行くんだー!!
新しい魔法の杖も欲しいし、
サクラに可愛いリボンを買ってあげたいなー、ふふふ。
「さっ、くらー!! 遊びに来たよー!!」
私は元気よく扉を開けて中に入った。
――すると
サクラが、よく分からない生き物と戯れていました。
「あ、アリス、いらっしゃーい」
サクラはもふもふした生き物を抱いてベッドでコロコロしていた。
「………サクラー?」
「んー?なーに?」
サクラがこっちを見てニコニコしてます。
顔がすっごく緩んじゃってる、サクラとってもかわいい。
「それ何?」
「もふちゃんっていう魔物だよ? アリスも見たことあるでしょ?」
「う、うん知ってはいるけどね」
えっと、霧の塔の1階くらいで見たことある魔物かな。
見た目はふわふわした白い毛玉みたいで、『くぅ~ん』とか言いながら甘えてきた事を覚えてる。でも、見た目に騙されてはいけない。この魔物は、こうやって人を油断させて大口を開けて急に襲い掛かってくるのだ。
アリスも最初『わー、かわいいー、良い子良い子~』とか頭撫でてたら、口裂け女みたいに口が開いてびっくりして思わず口の中にファイアボール叩きこんじゃったよ。
その時の悲鳴といったらなかった。
っていうか、一応魔物なのになんでサクラの家に居るの?
「……サクラ、何でその魔物がここに居るの?」
「あのね、ちょっと前にこの子が霧の塔で他の魔物に虐められてるのを見ちゃってね。わー!って言って魔物を追い払ったら、この子が懐いてきちゃって。それからしばらく飼ってるんだ」
「へ、へぇ……」
まぁ、こいつは魔物の中でも最弱って言われるくらい弱いし、
ゴブリンにも負けるし、臆病だからサクラのいう事も多分本当だ。
だからって家に魔物を入れるのは流石に危ないんじゃ……。
「ねぇ、その子大丈夫なの?」
「大丈夫だよ! 2時間くらいずっところころしてるけど大人しいから」
そういやサクラも結構マイペースだったね……。
「それより、アリスも撫でてあげなよ、可愛いよー」
「そ、そうだね」
なんかもう色々諦めよう。
アリスもサクラの隣に座って、一緒にもふちゃんを転がすことにした。
うん、やっぱり可愛いかも。
私はもふちゃんの頭を優しく撫でると、気持ち良さそうな顔をしてる。
―――二時間後
ころころころころころころころころころ……
「ふふっ、かわいいー♪」
「ほんとねー!」
アリスとサクラはもふちゃんを転がすのに夢中になってしまってた。
とっても楽しい時間なんだけど、何か忘れてるような……。
―――更に、二時間後
「―――あっ」
思い出した。今日はサクラとショッピングに行く予定だったのに!!!
「サクラ、今から買い物行こう!!」
私、アリスはそう言って、サクラの手を掴んだんだけど……。
「ぐー…………」
ね、寝てる……。
もふちゃんを抱っこしながらサクラ寝ちゃってるよ……。
「……まぁいっか」
サクラの可愛い寝顔も見れたし、買い物は今度遊びに来た時で良いよね?
それよりも今は……。
「ふふふ、サクラは今とーっても無防備だからぁ………」
一度、サクラの胸じっくりを見たかったんだよね。
アリスと二歳しか離れてないのに大きさは四倍くらい差があるんだよ。
とっても不公平だと思わない?
そんなサクラの大きな胸を、うふふ……。
さて、覚悟してね、サクラ。それじゃあ、ごかいちょ――
「………」
サクラがもふちゃんを抱え込んでいるせいで、胸を触れない!!
「ちょっと、邪魔だからどいててね、もふちゃん」
アリスは一言だけ言って、もふちゃんを退かそうとするんだけど……。
「くー………んんん?」
アリスがもふちゃんを引き剥がそうとすると、
サクラが凄い力で掴んで離してくれない。
そのもふちゃんはサクラの怪力で掴まれて、結構苦しそうだ。
「え、ちょ、サクラ!?」
このままだとサクラの馬鹿力でもふちゃんの体が大変なことに!
サクラはその気になれば素手でホブゴブリンを一方的にボコれるくらい強いから、アリスの力じゃとても引き剥がせないよ!
「も、もふちゃん! 逃げて!」
私がそう言うと、もふちゃんは『クゥーン』とか言いながら必死に逃げようとするけど、無駄だった。だって、サクラは絶対に逃さないように全力で抱きかかえてるもの。
「サクラ起きて!!! もふちゃんがぁぁぁぁっ!!??」
その日、一匹の魔物が天に召されました。
今日もアリス達は平和です。
□もふちゃん
レベル1 HP10/10 MP0/0 攻撃力15 守備力5 魔法耐性0 状態異常耐性0
可愛らしい姿で油断を誘い骨抜きにし、油断したところを襲い掛かってくる魔物
か弱く臆病な性格なため、他の魔物に虐められていることが多い