女神様の日常編 第三話目
やぁ、レイだよ。
前回は姉さんが禁止カード連発してボロ負けしてしまった。
そして気付いたんだけど、この世界にカード事務局もwikiも無いんだよね。
だから細かいルールも把握できないし、エラッタ前のカードも使えてしまう。そのせいで姉さんが禁止カードばかり3積みしてデッキに入れてたけど、流石に止めたよ。後でデッキ確認したら八汰烏3強欲3天使3苦渋3エクゾパーツ3積みっていう地獄だった。
まぁ、それは良いとして、今日もいい天気だね。
こんな日は普段ならゴブリン退治とかして日銭を稼いだりするんだけど、
折角何も起こらない世界なんだし自由を満喫しないとね。
という訳で僕は今、ゼロタウンの大通りを歩いていた。
姉さんが言ってたように、子供たちの間でカードゲームが盛んなようだった。
うん、それはいいんだけど、
そこの子、ドローロックして対戦相手泣かせるの止めようね。
「おや、レイ様。お散歩ですか?」
僕が子供たちのカード対戦を見守っていると、後ろから声を掛けられた。声のした方を振り返ると、ちょっと露出多めの真っ白な巫女服を身に纏う女の子だった。
僕の仲間のレベッカだ。
歳は十二歳だよ。客観的に見ても死ぬほどかわいいよ。
「レベッカ、おはよう」
「おはようございます。それにしても、ここ最近変な遊びが流行っておいでですね。
かーどげーむ、というものですか? わたくしの故郷にはない物でした」
「ああ、うん。そうだね」
元々こっちの世界にあったものだし、知らなくても無理はない。
「そうだ、レイ様。わたくしの自作した小説を読んでいただきたいのですが」
「え、小説?」
そう言うと彼女は懐から紙束を取り出して僕に手渡してきた。
「はい。是非レイ様に読んでいただき、感想を貰いたいのですが」
「あ、うん。ありがとう……」
何これ、どうしよう。
僕自身、そこまで小説とか読むわけじゃないんだけど……。
とはいっても、レベッカは読んでもらいたそうだし……。
「じーっ……」
あ、駄目だ。読まないと帰してくれそうにない。
「わ、わかった。いつもの喫茶店に行こうか」
「はい♪」
レベッカは機嫌良さそうに微笑んで歩き出した。
僕は彼女に手を引かれながら歩く。
◆
そして喫茶店、ケーキと飲み物を注文して、
僕はレベッカに見守られながらレベッカに手渡された紙を読み進める。
内容は、辺境の地から一人で都会に向かう時、一人の少年と出会うラブロマンスだ。主人公の女の子と、少年が次第に惹かれあっていく描写が細かく描かれている。
この物語の中で主人公は男の子のことを徐々に好きになっていくんだけど……何処かで経験した事があるエピソードが多い。
これ、もしかして、僕とレベッカをモデルにした話じゃ……?
最後のページには『これは完全なるフィクションです』という一文が書かれていた。
「あの、レベッカさん……」
「はい、なんでしょうか?」
「これって、実話を元にしてるんじゃ……」
「いえ、違いますよ」
レベッカは、こちらを見つめ、そして口元を緩めてニッコリ笑った。
「そ、そうですか……」「はい♪」
その後、小説の感想を嫌と言うほど求められました。
今日も僕達の周りは平和です。
ロリっ子キャラは成長すると劣化するとかいうよね。
同意です。